観音寺は市街地から離れた田園地帯に中にポツンとある。京都に見られる大伽藍を構える寺院とは少し違う。
関東の方であれば鎌倉に存在する寺院の在り方を想像すればよい。
加茂町近隣の寺院の在り方は規模こそ異なるが、ほとんどこのような在り方のようである。
観音寺は少し前までは、普賢寺と称していたが最近になって観音寺と改称されたようである。
本堂にかかる額も普賢寺のままである。なぜ観音寺に足を運んだのかは、ここに国宝の十一面観音立像があるからである。
いわば本堂のみともいえるこの寺院に多くの人が足を運ぶのは、本尊の十一面観音立像があるからに他ならないと言ってもいいであろう。
ここ観音寺の十一面観音立像もまさに目の前で見ること事ができる。その見事さはしばし足が止まるが、いかんせ行列状態での拝顔であり惜しみながらも足を進めなければならなかった。
海住山寺の十一面観音立像が木造であるが、観音寺の十一面観音立像は木心乾漆造りといわれるものである。
これは大まかな彫刻を木で造り、漆で練った大鋸屑のようなもので形を整え、その上に漆を施し仕上げていくのである。そのため極めて写実性が高い。
今年ブームを巻き起こした奈良興福寺の阿修羅像がこの造りである。ここまで来て、ふっと疑問が湧いてきた。
実は岩船寺にも十一面観音立像があり、加茂町を回ったほとんどの寺院の本尊が十一面観音立像なのである。ブログの表題どおり私はいつも、ぶらり、ぶらりの道行きで、下調べなどほとんどしない。しかし、これだけの十一面観音立像と出会うと、やはり少し調べてみたくなる。
十一面観音の後に出てくるのが、どうやら千手観音のようであるが、こんどゆっくりと調べて見ることにしよう。