一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2981  初鏡たしかにこれは祖母の顔   吟

2023年02月05日 | 新年

 この句、鏡に映った顔がよく似ている程度の話ではなく、作者の祖母の顔そのものだと言っている。つまり祖母と驚くほどよく似ている、というのだ。

 ここには、多分複雑な想いがあるだろう。ああ、私はこんなに年取ってしまった、という老いに対する悲哀。一方、優しかった大好きだった、今は亡き祖母への恋慕、そんな初鏡だったのだ。又似ているのが母でないことも、気にかかるところ。作者の心は分からないが、それで良かったのか、それとも悲しんだのだろうか。

 さて、ものの見方には、共通点を探す見方と相違点を探す見方がある。日本人は、生まれて間もない赤ん坊を見て「あら、おばあさんにそっくりね」などと、よくお世辞というかご挨拶のように言う。

 一方、瓜二つの双子の兄弟を見て、AちゃんとBちゃんの区別がつかないのはよく見ていない他人だからで、違いの分かる母親が間違えることはあり得ない。

 つまり、共通点を探すのは易しくて、相違点を探すのが難しい。ワインの世界ソムリエコンテストで優勝することができるのは、違いが分かる味覚があるからなのだ。

フキノトウ(蕗の薹)


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