一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

739  秋深き隣は何をする人ぞ  

2012年10月21日 | 

 この句の「秋深き」は、「秋深し」と同じ。「秋さぶ」「秋闌ける」などとも言い、冬の迫った晩秋のこと。それにしても、近頃は夜になると虫の音も細り、風も冷やかだ。冬が近い。

 「隣は何をする人ぞ」は作者の立ち位置が問題だ。普通、「向こう三軒両隣」、「遠い親戚より近くの他人」という諺があるくらいで、普通隣を知らないはずがない。それを知らないのだから、普通ではない。最近隣に人が引っ越してきたとか、自分が引っ越してきたとか、も考えられる。又は、旅先など旅館やホテル、知人の家でのことかもしれない。いづれにしてもこんな句、知らないことを自慢しているようで、面白くも何ともない。

 さて、支考の笈日記にこの句が登場する。作者は芭蕉、死の十数日前のことである。どうでも良いような句に解説が付くと、俄然光彩を放ち出し、歴史に残る名句となる。俳句とは、実に不思議な世界である。


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