プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ワン・ラヴ・アフリカ・ザンジバル

2013-04-17 19:54:54 | タンザニア・ザンジバル島カヤックトリップ
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 アフリカン・サンセット。

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 こういう名もない漁師が簡素なカヌーに乗る姿が特に印象に残ったこの旅だった。次はこういう人たちの生活するローカルエリアをテント&居候で旅してみたい。

  ※タンザニア・ザンジバル島カヤックトリップの続き記事。当カテゴリの下から順に読んでいくと話の流れが分かりやすいです。

 さてさて、最後にダーッと立て続けに旅記事をアップしてきましたが、今回のこの記事でひとまず最終回にしたいと思います。まあこの旅はかなり・・・、というか年々ぼくの旅も言いたい事が山積みになる傾向があるのですが、とりあえずはこれくらいにしておきたいと思います。ま、後々雑記的に記載するかもしれませんが連載はこれでいったん打ち切っておきます。アイランドストリームのツアーの話やスケジュールやら色んな書かなきゃいけないことも迫っていますからね。

 えー、ザンジバル旅の最後にSauti za Busara(スワヒリ語で音の叡智という意味)という名のアフリカ音楽のフェスがあって三日間踊りまくりだったのですが、これがまたカヤックトリップをぐっと彩るスパイスとなりました。セネガル、マリ、ケニア、タンザニア、南アフリカ、カメルーン、ナイジェリアといったアフリカ音楽でよく知られた国はもちろん、ブルキナ・ファソやマダガスカル、レ・ユニオン、ジンバブエといった国のミュージシャンもすごく個性的な演奏を繰り広げていて、盛り上がりました。

 なお、観客はアフリカ系黒人とその他海外からの旅行者の、半々か旅行者がちょい多いくらいの割合で、野外会場は人種のるつぼとなっていました。旅行者はヨーロッパ系が多かったですが、中国人、韓国人、日本人といった東洋系も結構いました。ロシア系の顔立ちの人たちも多かったです。白人、黒人、東洋人、ラテン系、アラブ系などなど、様々な人種がケンカもなく分け隔てもなく楽しそうに踊り、盛り上がる姿を見て、やはりこれだなと思いました。
 
 カヤックにて海上に出て感じ続けたインド洋からの風。
 この風がインドやアラブの商人と現地人の交易をもたらし、
 スワヒリ語圏の文化を形成を促した。
 その中継地点として栄えた風の中の島・ザンジバルとは、
 ミックスカルチャーの象徴。

 そしてそこで今日も形成される人種のるつぼ状態に
 我が身を置く事によって、
 未来的な風を感じたというわけです。

 吹き抜けていく風の未来・・・。

 今現在、世界には国境の壁が厳然としてありますが、20年とか30年とか後ではなく、300年とか500年とか1000年とかの時間スケールで物事を見た場合、ひとつ言える事は、やがて国境がなくなっていくことだけは間違いないということです。それは右翼も左翼もなく、好むと好まざるとに関わらず、そうなっていくことでしょう。

 国境なんて初めはなかったわけで、
 とことん長い目で見れば、またいずれなくなります。

 ということは、現在もすでにそういう流れになっているかもしれないと考えることもできましょう。なぜなら、現在というのは未来につながっていて影響を与えているものだからです。二十一世紀に入ってからのグローバリズムとはその流れの証かもしれないし、その反動としてのナショナリズムや民族主義は川の本流に対するエディ、つまり反流や逆流みたいなものかもしれないと考える事もできます。本流の流れはまだゆっくりかもしれないし、意外と速いのかもしれないですが、本流はやがて反流や逆流をも巻き込み、国境なき世界という海に向かって流れゆくことでしょう。

 浮世離れした長大な時間スケールで物事を捉えるというのも、
 海という大いなるスケールの世界をゆく、
 シーカヤッキングの神髄的な感性かと思います。
 だって、目の前の洞窟ひとつとっても数億年単位の
 時間スケールでできたものなわけで、そんなものに毎日のように接していると
 日常のスケールとはまた別の感性ってやつも芽生えてくるというものです。

 ヨーロッパではボスニア・ヘルツェコビナの悲劇、
 アフリカではルワンダやコンゴの悲劇等が、
 反動として起こりましたが、そんな民族紛争もいずれ、
 千年万年単位で考えると消えてゆくものとなるでしょう。

 現在、グローヴァリズムというと、
 アメリカのような強国が圧をかけて各国の規制を緩めさせズカズカ入っていって
 権利を奪い乗っ取ってゆくものと考えられがちで、実際そういう側面も
 あるのですが、ほんとの本流はそれともまた違うと思います。

 自然の理で考えると結局、国境線や人種の違いなんて
 誰かの都合で勝手にでっちあげた架空の取り決めにすぎなくて、
 文明なんてものも数百年とか千年くらいの単位でやがて廃れるもの。
 行く川の流れは絶えずして、のことわざがあるように、
 全ての物事は長い年月のスケールをかけて、
 やがて自然の理の方に向かっていくと思います。

 国境など、間違いなくなくなってゆくことでしょう。

 で、ぼくは今回、ザンジバルを旅した最後に、
 国籍の分け隔てなくケンカもなくみんなで一緒に踊ることによって感じた、
 このピースフルなフィーリングこそが、現在社会では伏流水のように隠れてはいるけれど、
 本当の自然の理であり、本流の正体なんじゃないかなと思った次第なのでした。
 
 島と流動とミックスカルチャー。
 フリーダム・スピリットを探求する、カヤックトリップの真骨頂。
 
 というわけで、よい旅ができ、またゴールデンウィークまでに何とか
 旅の報告を終わらせる事ができました。
 読んでくださった方に、感謝いたします。
 またよろしければ感想等も送っていただければ幸いです。
 sunnyrain@nifty.com まで

 それではまた、皆さんと海でお会いできる日を楽しみにしております。
 
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 ピース・ヘアカッティングという散髪屋があった。ペンバ島にて。これと同じ髪型にしてくれとかましながら入ってゆくと、店内でだべっている4、5人くらいのオッサンに大笑いされました。ボブ・マーリーは今でもアフリカで絶大なる人気を誇っていて、その平和主義の精神は人々の胸の中で生きている。アフリカは悲劇がとことん繰り返されてきた血と涙の地だが、だからこそみんなpeaceを求める気持ちが強いんだと思う。特に庶民の間ではね。(アフリカのエリート高官や政治家など権力者はとことん腐敗していて、クレイジーな脳みそになっている方々が実に多い)

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 違う国籍、違う民族の人たちが踊る空間というのは実に気持ちがいいものでもある。お互いの差異を気にせず、You are OKという考え方がどこかになければ成り立たない空気感でもあり、その寛容の精神が心に余裕をもたらしてくれるからだろう。画一主義の苦手なぼくは特にそいつを愛す。

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 未来の風の象徴である子供たち。

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 美しかったザンジバルの海。
 I love you ザンジバル島。
 God bless you ザンジバルの人々。
 インド洋から吹きつけ、
 アフリカ大陸に抜けてゆく、風の島。
 さよなら、いつかまた会おう。

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