プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

タンザニア・ザンジバル島カヤックトリップ話スタート

2013-03-21 11:50:54 | タンザニア・ザンジバル島カヤックトリップ
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 さてさて、お待たせしました。先月に行ったタンザニア・ザンジバル島へのカヤックトリップの話をこれからしばらく連続でこのブログに書いていこうと思いますのでよろしくです。

 まずはザンジバル島ってどこにあるかというところから話をしますと、ちょうど一番上のグーグルアースの画像をクリックして拡大して見ていただければ分かりやすいかと思います。タンザニアの首都・ダルエスサラームのやや右上に島がふたつ並んでいますが、北島がペンバ島、南島がウングジャ島と言います。日本で言うとそれぞれ淡路島くらいの大きさの両者を合わせて「ザンジバル島」と総称されます。両者とも珊瑚礁に囲まれ、またさらに微細な小島を有した美しい諸島でもあります。断然南島の方がよく知られていて、ツーリストも多く、通常「ザンジバル」というと、南島のことを指すようです。一方、北島のペンバ島はあまりツーリストのいない、ローカル色の濃い島です。現金収入的にはとても貧しく、ろくすっぽ銀行も病院もないような島でしたが、緑が多く、田んぼとかもあって、バリ島とかジャワ島にも似たアジアンテイストがあって、ぼくはとても気に入りました。

 さて、では今回なぜザンジバル島に行ったのかという理由ですが、これまでぼくが旅してきたのはアジア方面が多く、東南アジア、インド亜大陸、アラビア半島と来て、その延長で今度はアフリカ方面に行きたいなと思っていたからです。アジア・アフリカの連続的な関係性は感じられるかなあ、と。また実は昔からアフリカ文化には興味があり、特にアフリカの音楽にはすっごく関心があり、いつかいきないなあと思っていました(アフリカへの興味に関することは以前このブログでも書いたことがあります。参考までに、http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20120122

 あえてこれまで行かなかったのは、
 ぼくの思い描いているアフリカ観が、
 実際に訪れる事によって崩れてしまうことが、
 嫌だったからというのもありました。
 (旅において、そういうギャップというのもよくある)

 ではなぜアフリカ本土じゃなくザンジバル島なのか? と思われるかもしれません。確かにそうですね。タンザニアだったら野生動物のサファリにキリマンジャロ登山とアウトドアを満喫できるだろうに、全くお前は変わり者だな、と実際あちこちで言われたりもしました。

 理由とすればまず物理的に、カヤックで旅することを考えた場合、大陸っていう場所は全く向いてないんですね。特に治安の悪い場所が多いアフリカにおいて、フォールディングカヤックなどという重い物を背負って歩くことは大きなリスクになります。悪漢に襲われたとしても、スタコラサッサと走って逃げる事ができません。またアフリカの海岸線はインド亜大陸と同様、外洋に面した単調な地形が多く、なかなか漕ぐのに面白そうな場所が見当たらないという面もあります。もしアフリカ大陸を旅するならば、文化を見に行くということに絞って、フォールディングカヤックなど背負わず、小さなバックパックひとつで旅することになるかと思います。

 また、大陸のすぐ近くに付随する島や半島というのは、その大陸の文化を凝縮したような要素を持っていることも多いものです。辺境にこそ、中央の失われたエッセンスが宿っているということも多くあります。そういうことも微妙に意識しながら旅先をどこにしようか考えます。

 でも結局なんだかんだ言っても、カヤック旅人としてのぼく自身が、
「アイランダー」志向であるということに尽きるかと思います。

 カヤックトリップを中心に考えると、絶対に島か半島に限る。
 これだけは断言できます。
 カヤッキングのフリーダム・スピリットは島か半島にこそ宿っているのです。
 (日本も島国だしね)

 島っていうのは一見狭い閉鎖的な空間に思えるかもしれないけれど海人にとっては逆で、四方八方海に囲まれてるがゆえに海路として全方向に開かれています。風も通るし、空も広い。で、そういう場所を漕ぐとイマジネーションも全方向に開かれます。交易の歴史を身近に感じたり、国境など超えた自然の営みの地球的スケールをリアルに感じとったりします。で、そのイマジネーションの広がり感がカヤッキング特有のフリーダム・スピリットだったりするのです。

 そういった意味で、アフリカを意識すると必ずこのザンジバル島に目がいきます。
 それがカヤック旅人のサガというものです。
 (西アフリカ沖の「マカロネシア」と呼ばれる「カーボ・ヴェルテ諸島」も気になりますが・・・)

 ザンジバル島はアフリカ大陸とアラビア半島、インド亜大陸とを結ぶ交易の中継地として栄えた島で、ちょうどロケーション的にも、ハブ空港的というかターミナル駅的というかレーダー基地的というか、そういうヴィヴィッドな場所にあります(奴隷貿易という暗黒歴史もありますが)。

 そしてこの諸島への旅の終わりに、3日間に渡るアフリカ音楽のフェスがありました。出演者はアフリカ全土からやってきたアーティストで、また客はアフリカ人4割、その他の外国人6割くらいの割合でした。白人、黒人、東洋人、ラテン系、アラブ系・・・、カザフスタン人とかロシア人とかもいたなあ。実に色んな人たちがケンカもなく分け隔てもなく仲良く楽しそうに踊っている姿を見て、「ああ、これだよなあ」と思いました。
 島と流動とミックスカルチャー。
 フリーダム・スピリット。

 そんな旅の話をこれからしばらく続けていけたらなと思います。
 どうぞよろしく!!

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