海と違って湖では、
閉じられた内水面であるせいか、
時として不思議の国に迷い込んだような錯覚に陥ることがある。
そういうトリップ感覚も好きだ。
写真はニュージーランド南島・モノワイ湖。
ここはほんとに不思議の世界、異次元の入り口のような空間だったなあ。
立ち枯れた木がシンメトリックに水面に映し出され、
押し黙っている。
水そのものも表情がなく、生き物がいる気配もない。
時間すら動きをなくしている。
実際はレインボー&ブラウントラウトがいて、
ぼくはそいつを狙ってカヤックフィッシングしていたんだけど、
まったく反応なし。
魚影すら見なかった。
唯一見たのは、立ち枯れの木々の合間にいた1mくらいのウナギ。
この世界におれとこのウナギしか生物はいない、と、
錯覚すらする瞬間だった。
寂しいような、切ないような、 なんともいえない気分。
が、それもまた、悪くはなかった。