プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

バックウォーター

2009-04-06 03:06:42 | インド編(南アジア&アラビア半島カヤック

※インド編(南アジア、アラビア半島カヤックトリップ)の続き記事。

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 南インド・ケーララ州ではまず何より、コーチンの南から南北約900キロもの距離にかけて(上のグーグルアース地図クリックして参照)、多くの川が海岸線に沿って走り、また無数の支流が内陸までくねくね入り乱れて伸びるバックウォーター(水郷地帯)が有名です。

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↑ ケーララってのはヤシの木という意味だけど、バックウォーターでは行けども行けどもヤシの木に出くわす。田園地帯を縫ってヘビのように水路が入り乱れている。

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↑ 道路のない大昔からこの水路網はケーララ州の交通網であった。だけどきちっとルートを把握してないと間違いなく迷う。ものすごく複雑な水の道だ。

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↑ ここでは今も交通手段として手漕ぎの船が活躍している。

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↑ こういう観光用ハウスボートも頻繁に行き来する。観光は最大の現金収入源となっている。

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↑ メジャーな水路沿いにコマーシャルの看板が並んでいたりもする。

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↑ 水路沿いでは庶民の生活くささも垣間見ることができる。じいさんがぼーっと水路を眺め、おばちゃんが洗濯し、ガキどもが濁った水に飛び込んでハローとかアイラブユーとか知っているすべての英語を叫びながらこちらに向かって泳いでくる姿などが頻繁に見られる。

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↑ チャイニーズ・フィッシング・ネットと呼ばれる4つ手網。これを水底に沈め、半日ほど待って引き揚げるという他では見ることのできないスローな漁法。大昔に中国から伝わったもので、中国のアモイでも同じものが残っているという。

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↑ ところどころ水路が海へ抜けている。開放的な気分になる瞬間。

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↑ 水路沿いでしばし見られる物凄い面積のゴミの山。燃やして立ち上る煙が殺ばつ感を演出している。

 ていうか、インドではとにかくゴミをきちんと処理するシステムがない。みんなそこらへポイポイ捨て、掃除もしない(基本的に掃除するカースト以外の人は掃除しない)。11億もの人々が出すゴミ、大気汚染などは今後深刻な環境問題になっていくだろうと思われる。インドとそれから中国を合わせると、どえらい数になっちゃうからねえ。で、今後そのインド、中国が世界をリードしていく流れにあるわけだから、日本もそろそろきちんと「環境立国」とかそういうようなスタンスを表明してアジアの中でのうまい立ち位置を見い出す必要があるんじゃないだろうか、と旅の間結構考えさせられました。中東や北アフリカまで続く21世紀のアジア文化圏がドラスティックに動いている中でアメリカべったりの日本は孤立しているというか問題先送りばかりして止まってるというか鎖国的な感じになってきているけれど、やはりちゃんとアジアの中での立ち位置を決めなきゃとヤバイだろうと痛感する。でも日本は先進国なので泥臭いことはできない、なんというか「クール・ジャパン」で行った方がいい。クールさ、クレバーさでリードするってこと。そうすると「環境立国」っていうのが一番ふさわしいだろう、というのが旅の実感として考えたこと。彼らに安全な環境、衛生的な環境、美しい環境、快適な環境、クールなカルチャーを日常で楽しむ環境などを売るわけだ。今後両国に中産階級以上が増えるとビジネスとしても成り立ち、そうすると日本でももっと新しい産業が生まれ、若者の希望も育まれる・・・と考えるのは単純な発想なのだろうか?

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↑ 一見美しい夕焼け風景だが、ゴミを燃やしてくすぶった煙がその美を不気味に演出している。空にはカラスやトンビが徘徊していて、あたりには鼻が曲がりそうな異臭が漂っている。シュールでSFチックな風景。インドの環境問題、やばいっすよ、マジで。

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↑ というわけでこのバックウォーターも実はズルをしてカヤックは漕がず、観光ボートに乗って廻ったわけです。インドの本土は、全体的に汚いというかなんというか、あんまりカヤックを漕ぐ気にはなれないところでした。インド文化とか面白いし、これから高度成長期を迎えるこの大国がどう変わっていくのかてことにはすごく興味があるけれど、好きか嫌いかと聞かれると、うーんと唸ってしまいます。そういやこのケーララ州でブータン人の留学生と知り合っていろいろ話をしたけれど、やはり同じようなことを言っていました。非常に興味深いし面白いが好きではない、という複雑な感情。

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