京阪神からちょっと足を伸ばしただけでたどり着ける
別世界のような場所は、まだまだたくさん隠されている。
別にエキスパートレベルにならなくても、
今よりちょっとレベルを上げてみるだけで・・・。
この梅雨の時期の南紀・田辺湾もなかなかよかったですね。
一番上の写真は、博物学者の南方熊楠(19カ国語しゃべれたという驚異的天才)が、
旧石器時代からの黒潮流域特有の植生がそのままキープされた島だとして、
未来へのタイムカプセルとして保存すべく、
天然記念物に指定するよう強く行政に促した無人島・神島(かしま)の写真です。
その他の写真はその近辺のものですが、
このエリアは島が多く、地質の形状が面白い場所も多く、
また特有の南国風情が漂っていて、大好きなフィールドです。
このブログを愛読して頂いている方には耳にタコができるほど繰り返している
ことだと思われるでしょうけれど、
基本的に紀伊半島では岬ひとつ南に向かうごとに南方の香り、
黒潮の香りが微妙に濃くなってきます。
特に湯浅湾や産湯海岸、みなべ海岸あたりを漕いだ上でこの辺りを漕ぐと、
その微妙な違いを肌身に感じ入ることができ、
土地の自然と親密になれたような気がして、
お金には換えられない、リッチな気分になれるものです。
ところで、ハカマカズラという名の、葉が袴の形をしている、
亜熱帯植物をご存知でしょうか?
前述した南方熊楠は、
黒潮に乗ってやってくるその植物の北限地を、
ここ田辺湾の神島だとばかり思っていたらしいけれど、
実際は前記事に挙げた湯浅湾の黒島が北限地となっています。
もちろんアイランドストリームでは神島も黒島もツアーで行く場所ですが、
それらの島々を、海から眺めることによって微細な違いと共通項が分かるわけで、
(実際、黒島は湯浅湾の中でも一等、黒潮フィーリングの濃い場所だ)
そんなのを発見できた時、
まるで自然の女神がぼくだけにシークレットを教えてくれたような
秘密事めいたニュアンスがある。
自然と交歓する最良のツールであるシーカヤックの妙味。
別にエキスパートレベルにならなくても、
今よりちょっとレベルを上げてみるだけで
誰でも到る事のできる境地だ。