プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

融合の海

2012-09-12 08:49:56 | インポート
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 昨日9月11日は2001年9.11米同時多発テロから11年目になるが、その時ぼくはシーカヤックでの日本一周単独航海中で、下関近くにいた。で、その後関門海峡を渡りずっと九州沿岸を南下していたのだが、アフガン空爆、イラク戦争と推移する世界の流れの中、非常に胸の痛みを感じながら漕ぎ続けていた。
 昨日ふと、そのことを思い出した。
 海はリアルな世界である。海ほどリアルな世界はない。それまで計10カ月近くリアルワールドの舞台である海に喜び、海にビビリ、海に圧倒され、海に同化する毎日を続けてきた結果、陸上の人間世界に対するリアルの感受性もこれまでにないほど高まっていたのだった。
 「アメリカに従うかいなか、2つにひとつを選べ、従わないものはすべて敵とみなす」とジョージブッシュが言い、戦争になだれ込んでいった時、これ以上ないほどの憤りを覚え、たまらないほど胸が痛くなった。
 要するに異文化に対する圧倒的な不寛容の精神を全世界に押し付けたわけだが、そこの部分に異様なほどの憤りを覚えたのだ。よくよく考えると日本でふつうに生きる上においてそこまでの感情に至る必要のないことかもしれないが、やはり海というのは人間の感情感覚に及ぼす作用という意味においても「超伝導体」のような媒体なのかもしれない。2000キロ向こうの台風からも波うねりは今ここに届けられこの身を揺らすように、水平線の向こうのリアルワールドから届けられた世界のうねりも我が心を揺さぶる。異文化に対する不寛容、それは多分世界の諸悪の波をまき起こす根源のハリケーンなのだろう。
 その後いかにして自分の中で折り合いをつけるかと考える中でひとつの発想に達することによってようやくその異様な憤りのようなものが和らいだわけだが、それがぼくのひとつの原点にもなっていて、またそれがアイランドストリームの底に流れる発想にもなっている。ぼくの考えるシーカヤック観の一番深い所に渦を巻く潮汐流。
 それはこんなのだ。
 http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20051206


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