プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ネイチャー&カルチャー

2010-03-18 23:59:15 | ニュージー&タスマニアカヤックトリップ
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 さて、ほんとはニュージー&タスマニアトリップについてガンガンアップしていきたいところなんですが帰国後やらなきゃいけないことが山積みで、また明日から三重県で開催されるシーカヤックアカデミーに行かなきゃいけなかったりでなかなかアップできなくてごめんなさい。

 先日からアイランドストリームの湯浅湾ツアーもスタートしましたが、やはり日本の海って素晴らしいなと、いつも海外から帰ってくると実感するように、今回もまた改めてそう思いました。「sightseeing」という言葉があるように「見る」という意味において世界には美しい自然場所がたくさんありますが、日本の自然には「見る」だけではなく五感全体に訴えてくる独特のコク、味わい、情感のようなものがその空気の中にふんだんに含まれているなという感じがします。それは四季の変化が非常にダイナミックかつ微細で、日によって、あるいは時間帯によって刻々と移り変わるその表情の多面性から生まれるものだと思っていますが、とにかく素晴らしいです(案外世界にはそういう場所は少ない)。
 この風の中の春の香りとか、なにげに最高です。

 しかし同時に日本の多くの海岸線や川では「やたらと人工物が目立つな」と改めて感じました。護岸、沖の防波堤、消波ブロックなど、いかつい建造物があまりにも威圧的かつ取ってつけたようにミスマッチに、ダサく景観を損ねちゃってるなあと、帰国後改めて気付かされ、悲しい気持ちにもなったりしました。
 だってあちらでは、美観を損ねるような人工物はほとんどなかったですから。自然保護の思想が浸透していて、海岸線や自然のフィールドにも、ゴミひとつ落ちていないという徹底ぶりだったので日本に帰ってきてその落差を結構感じたわけです。(もっとも湯浅湾は人工物がものすごく少ない、自然がたっぷり残された場所なのですが、やはり人工物ナッシングなところからくるとどうしてもテトラとかには目が行く。工事のための工事、税金を使って美しい歯をわざわざ抜き、人工入れ歯に差し替えるような行為だ)

 海外を旅してるとその土地のことに興味を抱くと同時に、日本にいる時よりも日本のことが気になり色々客観的に比較したりするものなのですが、この「自然保護の思想の違い」って一体どういうことやねん? と結構深々と考えましたね。とくにキリスト教文化圏と東洋の違いってその自然観の違いを見るとすごくはっきりすると同時に非常にナゾが深まる部分があるのですが、その辺の話も始めるとものすごく長くなるけど興味深いことなのでおいおい記事の中でも書いていこうと思います(自然保護の思想はあちらのほうが進んでいるけれど自然文化の歴史的な深みは日本の方が比べ物にならないほど面白い。それだけに色々ジレンマとかある)。
 ま、ひとまずは写真で勘弁してください(クリックしてでかくしてみてくださいね)。

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おそろしく美しい湖、タスマニア 「レイク・バーバリー」


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タスマニアの海や湖や川は、その水がやけに赤っぽいところも多い。ボタングラスという植物の平原から染み出したタンニンによって赤く染まる。タスマニア西部「ストローン」の湾の出口付近にてカヤッキング。

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ニュージー南島、アオラキ・マウントクック国立公園とフッカー氷河から流れ出た湖。なんとここでもカヤッキングできる(ツアーしている業者もある)

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タスマニア北西部「モンタグ(montagu)」沖の湿地帯にて。遥か北半球からやってきた渡り鳥の宝庫となっている干潟が展開されるが、このペリカンさんもそんな中の一人。

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上のモンタグ沖のバックウォーターはものすごく複雑な水路となっていて、深追いすると迷子になる。ここにも昔アボリジニーが住んでいたが、彼らは水路やそこに生息するあらゆる生物について完璧に把握していたのだろうということを考えるとすごいな、コズミックだなと思った。

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タスマニア東部海岸のベイ・オブ・ファイアーの海水には魅入られてしまう。

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カヤックで釣りするとこういうベラみたいな魚はガンガン釣れる。引きが強いので結構楽しめた。タスマニア・ブルーニー島ライトハウスジェッティービーチ沖にて。

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南緯40度線上には南米からアフリカ大陸をスルーしてタスマニア&ニュージーの他に陸がなく、よって障害物に邪魔させずものすごい距離を渡ってきた西風が、とんでもない波を巻き起こす(波の高さ=風の強さ×風の吹き渡ってきた距離×吹き渡った時間。※フェッチという)。ニュージー南島最南端、インバカーギル近郊にて。

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上記のとんでもない風波は「roaring 40's (ローリングフォーティーズ)※吠える40度線という意味」と呼ばれていますが、そいつの洗礼を受けた木はこのように曲がったまま伸びることになる。

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タスマニア最後のウィルダネス、南西部バサースト湾。

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タスマニア北西部「モンタグ」の複雑な入り江にアプローチするボートランプには、「隠れた水路がたくさんあるのでここでのヒラメ釣りはとんでもなく危険である」という看板が立っている。

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で、上記したような看板がある場合日本では「絶対に立ち入らないこと」という看板がその横に立つことになるがあちらではそうならず「自己責任にてどうぞ」という看板が横に立っている。ここにお国柄、民族性、「個」というものの考え方がすごく出ていて非常に興味深かった。で、実際漕いだけれど潮の流れと潮波がハンパじゃなく、ヤバイなと思った。

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絵に描いたようなワイングラス・ベイ、タスマニア東部。


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ムーンビームとそれを映し出す海面。タスマニアは空気が澄んでいて星空もすごい。南十字星とかいろんな星座も勉強になった。

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ベイ・オブ・ファイアー、かなり惚れた。


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