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書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

次の一瞬で。

2011-04-25 21:49:18 | 出たもの
23日(土)、24日(日)の二日間にわたり、4月いっぱいで閉館するWiCANアートセンターのクロージングイベント、「ありがとう栄町、ありがとうアートセンター ~ここから次へ~」が開催されました。

2009年12月以来、イダヅカマコトとともにオープンマイクの朗読イベント「千葉詩亭」を隔月で開催させて頂くという形で、このWiCANアートセンターと関わらせて頂いてきました。

今回のクロージングにあたっては、初日のフリーイベント内に「千葉詩亭」の出張版的な枠を設けさせて頂きました。

ご参加くださったのは、

ケイコさん


稗田恵一さん


OOMさん


川島むーさん


という皆さんでした。ケイコさんは二度目のWiCANアートセンター来場にして初めてのパフォーマーとしての参加、稗田さんとOOMさんはこれまでの千葉詩亭を支えて下さった常連さん、むーさんは第五回の千葉詩亭でゲストとしてお招きして以来の参加です。朗読、映像を使ったパフォーマンス、パントマイム、語り芝居。初めて千葉詩亭に触れた方にも何かを感じて頂けたのではないでしょうか。

私は「蛇」と「歌う通り」の二篇を朗読しました。「歌う通り」はこの日のためだけに書いた詩で、今後他の場所で朗読することは二度とないと思います。

二日目のトークイベントの中では、WiCANの生みの親である長田謙一先生と、WiCANの副実行委員長である大島賢一さんをゲストにお招きし、「アートセンターができるまで」というテーマで、全体の最初のトークセッションの聞き手を務めさせて頂きました。歴史というものは常に、表面に現れる記号はあくまで象徴的なものでしかなく、その底では常にリアルタイムで携わる人々の息吹と葛藤と熱量が存在していることを強く意識するひと時でした。

トークセッションは四部まであったのですが、その最後、「スペースを持つこと」というテーマのセッションの中で、アートセンターがなくなって困るか?という問いを頂きました。

私は、困らないと答えました。アートセンターがなくなるのは大変に寂しく、辛いことではあるけれども、だからといって今まで積み重ねてきたものを無にし、アートセンターがなくなったからもうやれない、ということがあるとすれば、それはアートセンターに対して失礼であるばかりでなく、自分自身をも貶めることになると思うからです。今までアートセンターを舞台にやらせて頂いてきたことを今後もしっかりと発展させてゆくことで、恩返しに代えさせて頂きたいと思います。

人間には、今あるものを何も失わない方法が一つだけあります。死ぬことです。自分自身を失えば、何もなくさなくて済みます。そして、代りに何かを得ることが二度とできなくなります。

生きている限り、自分を取り巻く世界との関係の中で、人は失い続け、得続けていきます。それは誰にも止めることはできません。だからこそ人は考えるのではないでしょうか。自分と他者との関係について、世界と自分との関係について。今この時、自分がどうすればいいのかということについて。世界の中で自分はどうすればいいのかについて、世界の中の自分をどうすればいいのかについて。

改めて、アートセンター、WiCANの皆様、そして千葉詩亭という時空間を通して関わってきた全ての皆様に対し、心からの感謝を捧げたいと思います。

本当にありがとうございました。

イベントのサブタイトルにもあるように、次の一歩を踏んでゆく中で訪れる一瞬に、またお会いしましょう。

それが、素敵な一瞬でありますように。


大島健夫

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