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【現地報告】五ケ山ダム放流、福岡市取水開始

2019-02-15 17:34:54 | 五ケ山ダム

昨日(14日)午前11時、福岡市の水道用水を確保するため、五ヶ山ダムの放流がはじまった。現地上空ではヘリコプターが飛び交い、現地ではメディア(NHKとKBC)が取材に訪れ、福岡県土木整備部の担当者が対応していた。福岡市水道局の車も目にした。

脊振山の245T剤埋設地で調査をした後、午前11時半頃、急いで五ヶ山ダム堤体下へ駆け下りた。メディア取材も終わったところで、タイミングよく県担当者から話を聞くことができた。まず放流量について尋ねてみると、福岡市が発表している1日12万㎥という数量は目安で、きっちりその数字にはならないと話していた。当然、今後の雨の降り方で数量は変わってくるだろう。そこで、なかなか試験湛水が終わらない中での放流について尋ねてみると、すぐに取り戻せるだろうと楽観的だった。昨年の西日本豪雨時の様子について、貯水量は常時満水位を2m超え、サーチャージ水位の手前4mのところまで水は達していたという。そのため洪水調整が行われた。だが、その後、少雨が続いたため試験湛水は終わっていない。県担当者は楽観的な話をしていたが、昨年の京大防災研究所の研究報告によると、日本では今後も少雨と豪雨を繰り返すことが予測されている。巨大ダムゆえ、そう簡単に水は貯まらないのではないか。

一方、貯水率が16%(2月14日現在)まで落ち込んでいる南畑ダムについて質問をしてみた。貯水率低下は五ヶ山ダムの影響があるのではないかと言うと、「それはない」と断言していた。あれは南畑ダムの問題だと意味不明な回答だった。そもそも雨水は山で蓄えられ、谷や川からダムへと流れ込む。ところが、南畑ダムのすぐ上(およそ1kmのところ)に巨大な五ヶ山ダムをつくったことで(ここで貯めているので)、それらの水の流入がストップした。貯水率低下の原因は、少雨によるものだけではないだろう。子供でもわかることだと思うが、そこは五ヶ山ダム事業を推進した福岡県。口が裂けても言えないのだろう。

福岡市は五ヶ山ダムがあるから水は心配ないといっているが、果たしてそうだろうか。巨大なダムをつくることによって、森林は減少し、温暖化は進む。その結果、災害が増える。さらに災害によって自然環境が悪化する。この悪循環を断ち切ることが、水を守るために何より必要なことではないだろうか。それができない人間の儚さを、自然は教えてくれているのだと思うが。  

 

さて、五ヶ山ダムの放流がはじまって、いよいよ解決しなければならなくなった”問題”がある。それについては、次稿で。

 

撮影日:2019.2.14

放流はじまる  クレストゲート(上部)からではなく、副ダム(下部)から

 

 

 

 

減勢工(ため池のようなところ)の右側壁から水がでているのがわかる  流木は洪水調整の際に流れたもの

 

 

 

 

放流された水は那珂川へ (橋の上に取材クルーと県担当者、右の建物は操作室)

 

 

 

 

上空には取材ヘリ

 

 

 

 

ダムから流れた水がやってくる (南畑ダム手前の橋から)

 

 

 

 

水は南畑ダムへ

 

 

 

 

水が勢いよく流れ込んでいる(正午前)

 

 

こちらは放流前の様子(午前10時頃)

 

 

 

南畑ダム堤体付近(14日午前10時ごろ)福岡市取水のため放流されるので、当面、水位は上昇しないだろう

 

 

 

 取水・受水系統図(福岡市・31年度水質検査計画案より)※参考まで

 

 

 

 

 《関連記事》

・ 雨不足で五ケ山ダムの水活用(NHK福岡 2019.2.14)

《関連資料》

福岡県HP。県管理「五ケ山ダム」において試験湛水中の貯留水の放流を実施します(2019.2.12)

福岡市HP。『五ケ山ダムの水の放流開始』について(2019.2.12) 

 



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