脊振山など全国46ヵ所(うち九州19ヵ所)に埋設されている枯葉剤原料(245T剤)問題について、昨日(5日)、衆議院農水委員会で田村議員(共産党)が林野庁などに質問を行った。それにより、脊振山中の埋設状況が明かされた。ただ事実かどうかはわからない。
質問に先駆け、田村議員は枯葉剤の研究をされている北九州市立大学の原田和明氏とともに脊振山の埋設地を視察している。それで先日、原田氏から埋設地で2ヵ所の陥没痕跡が確認できたとの連絡があった。落葉のため地面が見えやすくなっていたようで、これで同じ場所に2つに分けて埋められていることが明らかになった。実は、21年前の福岡県議会本会議の議事録に、245T剤が2ヵ所埋設されているような記述があったため、今年10月、原田氏と2ヵ所目を探してみたが、それらしき所は見つからなかったのである。
5日農林水産委員会。田村議員は埋設地の写真を示し、もし掘って取り出されたらどうするのかと問い正した。それに対し、林野庁長官は、現地調査の内容を説明し、適切な管理をしていると惚けた。そこで、再度、田村議員が問い正したところ、2立法㍍のコンクリート塊にして埋められているので、簡単に持ち去ることはできないと答えた。しかし、それを証明するものはない。林野庁によると、埋設方法については、昭和59年、埋設に従事した職員から聞き取り調査をして確認したもので、写真などはないという。つまり、コンクリート塊の状態で埋設されていることを証明するものは何もないのである。もしかすると、245T剤はコンクリートで固められてないのではないか。だから、埋設場所は陥没しているのではないか。この点について、田村議員の追及はなかった。
周辺自治体(福岡市・那珂川市・春日那珂川水道事業団)は、毎年、林野庁に245T剤撤去の要望書を提出している。田村議員によると、要望書には「数十年に一度という記録的な豪雨が全国各地で多発している状況であり、当該埋設箇所においても想定外の事象が予想されます。水源汚染に対する不安を払拭するために埋設物の安全対策を徹底し、245T剤の移設或いは無害化処理をして頂くことを要望します」と書かれているという。切実さが伝わってくるが、それもそのはず、埋設地からわずか1キロ程のところには、われわれ福岡市民の水道用水となる五ヶ山ダムがあり、水源汚染はいつ起きてもおかしくない状況なのだ。
なぜ、40年も放置しているのか。この問いに対し、林野庁は245T剤を掘削して処理をしようとすると、コンクリートの破損によって245T剤やダイオキシン等が飛散するリスクがあるので、地中で安定的に保全管理をしたほうがよいと答えた。これはいかがなものか。コンクリート塊を掘り出すのにリスクがあるというが、その気になれば破損させないで取り出す方法はある。する気がないだけだろう。掘ったらまずいことでもあるのか、と勘繰りたくなる。
田村議員は今後もこの問題を追及していく、245T剤を撤去して無害化処理を求めていくと述べている。あとは当事者(利水者)である福岡市民の関心(世論)が高まってくれれば、、
脊振山中の245T剤埋設地(今年10月撮影) 冬のうちに陥没痕跡を確認しに行こうと思う
《関連資料》
・【録画】枯葉剤245Tの埋設、投棄について 田村衆議院議員20181205農水委
《関連記事》
・ベトナム戦争後、行き場を失った枯葉剤が日本に埋められている――全国54か所の国有林リスト(日刊SPA 2017.11.27)
・九州20ヵ所に猛毒埋設 ベトナム戦争の枯れ葉剤成分 専門家「漏出の恐れも」 地元に不安(西日本新聞 2018.8.23)