yamanba's blog

報道されない情報を発信します
気分転換に山の話題など

博多陥没事故~一部、工事再開

2016-11-17 17:59:50 | 博多駅前陥没

七隈線延伸工事の他の工区で、陥没事故のわずか3日後(11日)に工事は再開されていた。高島市長は記者会見で「前代未聞」の事故と言いながら、一方で早々に工事を進めていた。今日の日経コンストラクション記事にそれが掲載されていた。事故後、他の工区で緊急点検が行われていたことは承知していたが、まさかこれほど早く再開しているとは思わなかった。しかも、福岡市は工事を再開したことを公表していない。

報道によると、福岡市は今月中にも国の調査委員会の結論にもとづいて再開防止策を講じた後、工事を速やかに再開させる方針だという。事故原因の究明には現場の地質を詳しく調べる必要があり、開業は遅れるのではないかと内部から懸念の声も出ているという。こちらとしては、速やかに再開されるほうが心配だが、何故、福岡市はそんなに急いでいるかといえば、2020年の東京オリンピックに間に合わせたいからだ。果たして、きちんと原因究明されるだろうか。

ところで、大成建設JVは事故が起こる2カ月前に設計変更していた。設計変更は三つ。まず、トンネルの天端の位置を1m下げて掘削断面を縮小した。当初の設計では、トンネルの天端から岩盤層の上端までの距離である「岩かぶり」が約1mと迫っていたからだが、博多駅周辺の不均一な地盤に合っていたかどうか、今後の論点の一つになるという。二つめは、先受け鋼管の長さを当初の設計よりも短くしたこと。先受け鋼管を短くすれば、トンネルの天端近くの地山を支える力が弱まる。そこで設計変更では、トンネルの側面から横断方向に打つロックボルトとサイドパイルの長さを延長し、トンネルの変形を抑えることにしたという。 この設計変更が崩落の引き金になったのではないかという指摘もある。三つ目は、トンネルの掘削の進め方。当初の設計では全断面を一度に掘削する方針だったところを、小径の先進導坑を掘ってから拡幅する工法に変更し、より安全な施工を目指したという。それにもかかわらず、事故を防ぐことはできなかった。

福岡市議会では、共産党市議団が15日、小畠議長に百条委員会の設置を申し入れた。設置の可否については、今後、各会派代表者会議で議論されるようだが、議会は百条委員会を速やかに設置し、しっかり追及してほしい。「前代未聞」の事故が起きたのだから。



工事概要図(福岡市資料)に事故現場を記入 工事が再開されたのは西工区と東工区

 

 

 

 《関連記事》

博多陥没、直前に設計変更するも防げず(日経コンストラクション 2016.11.17)

博多の陥没1週間で完全復旧!世界から称賛の嵐…英紙「日本の職人芸と能率の良さ」(スポーツ報知 2016.11.17)

博多陥没:共産福岡市議団「百条委設置を」 /福岡 (毎日新聞 2016.11.16)


《関連資料》

福岡市交通局HP。七隈延伸事業

大成建設HP