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博多陥没事故~原因究明へ

2016-11-16 16:53:53 | 博多駅前陥没

”はかた駅前どおり”が通行再開。陥没事故からちょうど1週間、ようやく高島市長の市民への謝罪の言葉を聞いた。復旧は早かったが謝罪は遅かった。気になる原因究明については、中立性や客観性が求められるからと、国土交通省と連携して専門家による第三者委員会において進めるという。どのような形で進められるのかわからないが、きちんと市民に公開されなければならないだろう。

昨日の通行再開については、市民から不安な声も少なくなかった。にもかかわらず、専門家会議の中身は公表されることはなく、市はただ安全が確認されたというだけだった。会議には、大学教授3名と地質専門家1名、国土交通省職員2名の計6名が参加して、現場を視察。すぐさま問題ないとの結論が出た。報道によると、教授らから、流動化処理土の下には崩落した土砂がそのままの状態で残っているため、地表を車が長期間走り続けると土砂が沈下し、再び陥没が起きる恐れがあるという意見も出ていたらしい。これに関して、福大佐藤教授は「空洞ができたとしても、処理土が厚いので、すぐに影響が出るとは思わない。もし地盤が少し緩くなったとしても、薬液を注入するなどの対応をすれば大丈夫だと思う」と述べている。そのためか、市は今後、修復した路面の強度や地下水のモニタリングなど定期的に行うという。これで安全と言えるのだろうか。

昨夜、福岡市役所で大成建設社長の謝罪会見があった。専務は「ほかの場所と比べて地層の予想が難しい地盤で、複雑な地層を完璧に予想するのは困難だった。工事はきちんと行ったと思っているが、施工者としてのまずさがあったかもしれないので、徹底的に原因を究明しなければならない」と述べている。一方で、市と大成建設は、事前の地質調査や設計に問題はなかったと主張している。地下鉄七隈線延伸部の地質縦断図(福岡市資料)を見ると、事故が起きたところの地質は、風化頁岩や砂質頁岩などの軟岩層で、岩かぶりは2~3mと薄い。しかも、地下水位は地表から2.5mのところにある。(下図参照)素人目でも作業が容易でないことは想像に難くない。今後、きちんとした原因究明なくして、工事再開はあり得ないだろう。

 

 

11月15日開通後(左)と11月8日事故後(右)(日刊工業新聞より) 

 

 

  

 

地下鉄七隈線延伸部の地質縦断図。星印の地点をNATMで掘削している際に事故が発生した。図中のbは盛り土や埋め土、asとdAsは砂質土、acは粘性土、dAgは砂れき、Trは風化頁岩や砂質頁岩などの軟岩層。(日経コンストラクションより

 

 

《関連記事》

博多陥没、それでもNATMで掘った理由(日経コンストラクション 2016.11.14)

陥没1週間突貫復旧 博多駅前15日早朝通行再開「固まりやすい土」威力(西日本新聞 2016.11.15)

博多陥没「追加の対応を」専門家指摘(読売新聞 2016.11.15)

 

 《関連資料》

福岡市HP。博多駅前2丁目交差点付近における道路陥没事故に関するお知らせ(随時更新)

福岡市交通局HP。七隈延伸事業