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リオデジャネイロ五輪 VR Samsun Gear VR 360度映像 8K  次世代映像サービス

2016年08月14日 09時50分13秒 | リオデジャネイロ五輪
8K/Super Hi-Vision、VR(Virtual Reality) 次世代映像サービスに挑戦 リオデジャネイロ五輪




リオデジャネイロ五輪開会式  出典 Rio2016



NHK 8Kスーパーハイビジョン試験放送開始 番組表 リオデジャネイロ五輪

8K/Super Hi-Visionで中継されるリオデジャネイロ五輪
 リオデジャネイロ五輪では、オリンピック史上初めて、開会式や閉会式、主要競技が8K/Super Hi-Visionで中継されることになった。8Kの音声は、22.2chサラウンンド音声が採用される。 IOCが設立した組織で、オリンピックのホストブロードキャスターを担当するOBS(Olympic Broadcasting Services )が明らかにした。
8K/Super Hi-Visionの中継映像は、開会式、閉会式、競泳、柔道、陸上、バスケットボール、サッカーの競技の約130時間で、ブラジルから日本にライブで伝送する計画だ。また8K ENGカメラのクルーで他の競技をピックアップして撮影される。



NHKの8K中継車 SHC1 出典 池上通信機 HP

 8Kのコンテンツ制作を担うのは、勿論、8Kでは世界を圧倒的にリードするNHK。最新鋭の8K中継車や8K/ENGカメラ、中継・取材要員をリオデジャネイロに送り込みオペレーションを実施する。NHKは日本国内で8K試験放送を8月1日に開始するが、その幕開けを飾るのがリオデジャネイロ五輪中継だ。これまでFIFAワールドカップやロンドン五輪などでは、世界各地で“8Kパブリック・ビューイング”を行ってきたが、リオデジャネイロ五輪では、“8K放送”になる。“放送”ともなると公共放送NHKとして責任の大きさは比べものにならないだろう。
一方、4K/Ultra HDについては、“評価テスト目的”(testing and comparison purposes)で信号が制作されるにとどまった。
8K/Super Hi-Visionのコンテンツを4K/Ultra HDにOBSがダウンコンバートし、ライツホルダー(RHBs)の配信する。しかし、この配信サービスは、技術的な評価テスト目的で行うので、一般の視聴者に放送されることはないとしている。
2015年2月、ラスベガスで、OBS(Olympic Broadcasting Services )のCEO、イヤニス・エグザーチョス氏(Yiannis Exarchos)は「OBSは4Kサービスを実施する計画はない。ライツホルダーから4Kの要請がないからだ。放送機関からの“指示”がなければならない」と明言していた。
4Kサービスについては、OBSは極めて冷めた見方をしていた。
 一方、8Kサービスについては、対照的に意欲的な姿勢を示した。
 エグザーチョス会長は、「4Kと8Kとでは視聴者が実感する差は極めて大きい。OBSは8Kでの映像制作のコンセプトを検証している。スポーツ競技映像は編集する必要があるのだろうか?」と述べ、4Kサービスをとばして、その次世代の8Kサービスの実現に取り組む姿勢を強調した。
2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、4K/8Kの普及が予想されている中で、さらに大規模な4K/8Kサービスのトライヤルなどを実施する計画だとしている。
 リオデジャネイロ五輪で世界の放送機関に配信される国際映像サービスは、開会式や閉会式、すべての競技を合計7000時間、映像はHD(2K)、音声は5.1 Surround Soundで行われる。五輪映像の配信は、世界220の国と地域を対象にサービスされて、50億人以上の人々が視聴可能になるとしている



Panasonic パブリックビューイング


VR(Virtual Reality)に挑戦


新たに開発された360度VR(Virtual Reality)カメラ 各競技場に3台づつ設置 (出典 OBS))


VR(Virtual Reality)を楽しむ市民 (出典 Rio2016)

 映像サービスの分野で新たな技術革新に世界的に注目が集まっている。
 VR(Virtual Reality)、「仮想現実」と呼ばれるサービスで、新たな映像処理技術を開発して、ユーザーがあたかにその場にいるような臨場感があふれる空間を提供する。
 目前に飛び出してくるようなリアルな3次元の立体映像や360度見渡すことができる映像などが体験できるようになる。
 VRサービスは、Oculus Rift やSamsung Gear VR、PlayStaionVRなど専用のヘッドセットを使用して行なわれるものや、Google Cardboardなどより簡易な“のぞき眼鏡”を使用するもの、ヘッドセットなどは不要で、Facebookなどを通して視聴する方式などがある。
 VRサービスは、ゲームやイベント、スポーツなどのライブ中継、映画・ビデオなどのエンターテインメント・コンテンツなどで最近、急激に注目を集めている。
さまざま調査機関が今後VRの市場が急速に拡大するという予測をしている中で、コンテンツ・プロバイダーやエレクトロニクス企業が大きなビジネス・チャンスだとして熱い視線を浴びせている。
 OBSは、このVRサービスをリオデジャネイロ五輪で本格的に実施すると発表した。
 開会式や閉会式、そして毎日一つずつの競技をサービスし、臨場感あふれたオリンピックの迫力を楽しむことができるとしている。
VRサービスはライブ中継で行われるが、ビデオ・オン・デマンドでダウンロードも可能にする計画だ。またOBSは開会式や閉会式、競技映像のハイライト・コンテンツがヘッドセットなしで視聴可能にするVRサービスも合わせて開始する予定だ。
  VRのサービスは、Oculus Rift やSamsung Gear VRなどの限定されたヘッドセットに向けたサービスなのか、Google Cardboardでも視聴可能なのか明らかになっていない。 また、ヘッドセットなどを使用しないVRサービスはFacebookなどを通して行うとしている。
 OBSでは、2016年2月に開催されたノルウエ―のリリハンメル冬季ユース五輪で、サムスン(Samsung)とサムスンのVRサービスのパートナー NextVR の協力を得て、初めてのVRサービスに挑戦した。
 スピードスケート、スノボー、スキー・ジャンプ、フィギアスケートの競技を毎日、ハイライトVR映像をビデオ・オン・デマンドでサービスした。サムスンのGear VRとGalaxyを使用すれば、インターネットを通して世界中の人々がVR映像を楽しむことを可能にした。



Samsung Gear VR

 OBSは、リリハンメルでは180度のVRサービスで実施したが、それを更に進化させてリオデジャネイロ五輪では360度のVRサービスも実施するとしている。
OBSのエグザーチョス会長は、「今、かつてないスピードで次々に革新的な技術開発が展開されて、スポーツの映像サービスの手法も劇的に変化している。こうしたイノベーションを積極的に取り入れ、視聴者を引き付ける魅力的なサービスを提供していく。リオデジャネイロ五輪では、これまでで最大の放送時間やコンテンツ件数を制作する。さらに単に量的な拡大だけでなく、OBSは、リオデジャネイロ五輪をスポーツ放送の未来を形作る新技術に挑戦する場として位置付ける」と新技術への意気込みを語っている。





VRの放送予定 OBS

危うくなった4K・8Kロードマップ
 リオデジャネイロ五輪に合わせて、BS17ch使用した 4K/8K放送の試験放送開始をアピールしようとした4K・8K推進のためのロードマップは、早くも挫折しようとしている。4K試験放送は、リオデジャネイロ五輪には間に合わず、2106年12月1日開始となった。しかも、1日4Kがわずか50分(8Kを10分)の放送時間という計画だ。このペースで2年後の2018年に実用放送は本格的にできるのだろうか。8K試験放送については、一般家庭用の8Kテレビやチューナーなどの受信機器がまだ市販されていない。8月1日に試験放送を開始しても一般家庭ででは誰も視聴できない。これで“放送”と言えるのだろうか?
2020年東京オリンピック・パラリンピックで “世界に先駆けて高繊細放送の実現”という目標は、早くも暗雲が漂っている。


(月刊ニューメディア 2016年7月号 加筆)




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2016年7月29日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
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URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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