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東京オリンピック 尾身会長批判 五輪リスク ワクチン 検査体制 医療体制

2021年07月10日 06時09分49秒 | 東京オリンピック
東京オリンピック 尾身会長批判 感染防止対策で何を提言したか



新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長 記者会見代表映像


深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 速報 東京に4回目の「緊急事態宣言」 1都3県と北海道、福島は「無観客」



感染防止対策の大失敗 その責任は菅首相と尾身会長
 結局、万策尽き果てて、5回目の「緊急事態宣言」、五輪「無観客」に追い込まれ、菅首相や尾身会長のコロナ対策の無策ぶりが露呈した。海外からの見方は、日本は、感染者数は圧倒的に少ないのに、なんでそんなにうろたえているのかという見方が支配している。
 菅首相や尾身会長が進めたコロナ対策は、「緊急事態宣言」と「重点措置」での「人流抑制」、それに飲食店や酒類をスケープゴードにするだけで、感染拡大防止には効果がなく大失態となった。
 いまだにワクチン接種率は世界でも最低水準、検査体制の充実も進まず、感染源のトレースもやらない、医療逼迫の懸念はいうが医療体制の充実は進めない。尾身会長の率いる専門家グループも感染拡大の分析と予測には熱心だが、どうしたら感染拡大を阻止できるのか、対策は何も提言しない。お粗末な専門家は資格を剥奪すべき。
 そのお粗末さのツケが、四回目の「緊急事態宣言」と「無観客」になったということだろう。
 東京で900人超の感染者が急増して第五波を招いたのは、「五輪」はまったく関係なく、菅首相と尾身会長の感染防止策の大失態。
 菅首相と尾身会長(分科会の専門家たち)は、その責任をとるべきである。
 今回のコロナ対応で、日本はまた世界に「お粗末」さを曝してしまった。

印象論で恐怖を煽るな! 尾身氏提言
 医師で民法・医事法を専門とする米村滋人・東大教授は「東京五輪まで時間が残されておらず、もはや大がかりな対策をとるのは難しい。政府などに配慮した結果、事実上観客ありの開催が決まった時期の公表となった」とし、提言の内容には「目新しい内容はなく、根拠となるデータも乏しい。科学の知識を役立て、社会的決定につなげていくことがこの間の課題だったが、何ら克服できていない」と批判した。(朝日新聞 6月19日)
 今回の提言は納得できるリスク軽減策の説明を望む〝国民目線〟の印象を受けるが、感染症に詳しい専門家の中には、これまでの分科会の対応を「恐怖をあおっているだけでだ」と一蹴している人もいるという。  
 これまで、プロ野球やJリーグを有観客で開催してきて、クラスターが発生したということはない。スポーツイベントでの感染リスクを印象論でなくエビデンスをもって論証していない。 
 尾身氏は、国立競技場に入ったことはあるのだろうか。「6万人収容」の壮大なスタンドに、1万人や2万人の観客を入れてもほとんど「密」にはならず、十分な間隔が維持できる。また国立競技場は、熱中症対策で、「風」をうまく取り込む構造になっていて、中に入ると、「風流」が確保され、換気という点では抜群だ。
 尾身氏は、感染防止対策をプレイブックV3については、選手や大会関係者の感染防止対策として、評価をしている。
 大会の盛り上がりで「気の緩み」が問題だとするが、印象論でエビデンスがない。
 やっぱり、尾身提言には納得できない。
 メディアは、尾身提言を無批判に受け入れて、政府のコロナ対策への批判を大合唱して繰り返す。尾身提言に異論を唱える専門家の意見に耳を貸そうとしない。
 事実を冷静に分析して報道する姿勢を欠いたメディアには猛省を促したい

やっぱりおかしい! 尾身茂会長 「五輪観客」提言以外に何もしていない
 6月18日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らは、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う新型コロナの感染拡大リスクに関する提言を政府と大会組織委員会に提出した。現在の感染状況では、「会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましい」と無観客開催が望ましいとした。
 また観客を入れる場合は「観客数は現行の大規模イベント開催基準よりも厳しい基準にすべき」で、「観客は開催地の人に限る」、「感染拡大・医療逼迫の予兆が探知されれば、無観客とする」といった提言も盛り込んだ。
 五輪開催を巡る観客対策では、尾身会長を始め分科会有志は極めて「具体的」な提言をまとめた。
 しかし、最大の問題は、五輪観客問題にこれだけ熱心なのに、肝心なコロナ感染防止対策については、まったく何も具体的な提言をしていないことだ。まるで五輪だけをスケープゴードにすれば、コロナの感染拡大は収まるといっているような印象がある。
 今、コロナ対策で最も重要なのは、東京や大阪など7都道府県が緊急事態宣言を7月20日を期限に解除して「まん延防止等重点措置」に移行したするが、リバウンドを防ぐためにどんな感染防止対策を行うかである。一方で長引い緊急事態宣言で、国民が疲弊していることも考慮すべきだ。
 飲食店の対策が焦点になっていて、酒類の提供や営業時間の制限、人数制限などの対応が注目された。
 長引くコロナ禍の中で、休業要請や時短営業などの規制措置の度重なる延長、延長で、飲食店は、困窮を極めている。また観光・旅行関係者も限界だ。
 筆者の疑問は、飲食店の営業時間を1時間~2時間短縮させて、一体、どれほど感染防止に役立つのか。飲食店や酒の提供をスケープゴードにしているが本当に感染感染拡大の大きな要因なのか? 印象論でなく、エビデンスが欲しい。感染源のトレースを科学的にいつまでたっても行わない体制が悪い。分科会には感染症の専門家がならんでいるのから、エビデンスを示すことは、やろうと思えばできると思う。国民に顔が向いていない分科会の姿勢は、即刻、改める必要がある。
 規制緩和でリバウンドの懸念、しかし困窮した飲食店などに対する規制緩和、こうした状況の中で、求められるのは知恵を振り絞った建設的なコロナ対策である。ワクチン接種の促進、検査体制の充実、それに医療逼迫を避ける医療体制の充実などコロナ対策は山ほどある。
 しかし、尾身会長ら分科会は、いっさい建設的な提言を出していない。口を開けば、感染拡大の懸念と「人流抑制」、それに五輪問題だけだ。
 一体、何のための専門家分科会なのか、ほとんど役に立っていない。建設的な提言を出すために何か努力をしたのか?
 コロナ禍を克服する最大の武器は、ワクチン接種、それに疑問はないだろう。
 しかし、昨年からワクチンの確保や接種体制について、尾身会長や分科会は、一切、具体的かつ建設的な提言を出していない。なぜワクチン問題について発言しないのか。唖然というほかない。
 コロナ感染拡大防止対策として、「PCR検査体制の充実」や「医療体制の充実」、「感染経路の追跡」、「保健所体制の充実」が肝要であることは、昨年来、専門家から指摘されていた。
 しかし、尾身会長は「PCR検査体制の充実」は否定的で、その他の対策について、何か具体的に提言をした気配はない。
 国民が望んでいるのは、誰でもいつでも、感染の不安を感じたら身近な場所で検査が受けられてたり、帰省したり出張したりする時に容易に検査が受けられる体制であろう。できれば無料、さもなければ保険適用の格安の経費で受けられようにする。ニューヨークでは誰でも無料で何回でも検査が受けれれる。
 医療逼迫が懸念されるなら、コロナ病床や重症者用病床を拡充すれば解消すると思うが、医療体制充実に関する提言も一切ない。「コロナ専門病院」も東京都は2棟を整備したが、その後、まったく動きがない。
 Withコロナの時代の社会を考えるなら、医療体制充実こそ必須だろう。
 医師会から医療体制充実に向けての取り組みや建設的な提言もない。分科会もメンバーに医師会の代表者が入っていことを鑑みて、医療体制に触れない。
 一方で、ワクチン接種に関する医療機関の取り組み積極的で、ワクチン接種率の急上昇の主役になっている。ワクチン接種で医療機関に対して報酬が支払われることが大きいとされている。一方、コロナ患者を受けいれると負担が大きく、経営的メリットがないので尻込みすることで、コロナ医療体制はなかなか改善しない。
 こうしたジレンマに対して、尾身会長や分科会は何も発言しない。
 筆者が、今、専門家としての分析が最優先で欲しいテーマは、イギリスの感染状況の分析である。イギリスでは、ワクチン接種率が国民の半分を超え、一時、感染者が激減したが、ここにきて新規感染者が激増している。6月18日には、1万人を超えた。なぜ、新規感染者が急増したのか、ワクチン未接種の人に感染が広がっているのか、1回目の接種では効果がないのか、あるいは新規株に対してはワクチンの有効性がないのか、知りたいことは山ほどある。
 こうした疑問に答えるのか尾身会長ら分科会の専門家の責任で、今、全力を上げて取り組まなければならないテーマであろう。
 尾身会長ら分科会のメンバーに忠告する。五輪観客問題を議論する時間があったら、こうした今最も重要なコロナ感染防止対策について具体的な提言を議論する時間に割いて欲しい。それが専門家として責務だ。
 五輪は「無観客開催」になっても、コロナの感染拡大はまったく収束しない。
 肝心なのは、いかにしてコロナ禍を克服して、「日常生活」を取り戻すことだ。

 筆者は、五輪開催の行方を、尾身茂氏一人だけにすべてを委ねる風潮には断固反対をする。尾身氏は、五輪開催について異論を唱える専門家とどれだけ真摯に対話を重ねたのだろうか。尾身氏の主張をすべて「善」とするメディアの姿勢も問題がある。「有観客」開催でも感染リスク限定的とする専門家や「有観客」のメリットについても耳を傾けるべきだ。
 「五輪開催反対」、「支持」という二者択一ではなく、どうやったら開催できるのか、できないのか、きちんと議論をしてもらいたい。「無観客」、「有観客」も同様だ。
 現代の科学技術では、感染者数の予測や状況ごとの感染リスクなどを分析しようとすれば可能だろう。その成果を元に科学的、論理的な分析を進めるべきだ。

東京2020大会 新型コロナウイルス感染リスクに関する提言

東京五輪開催、G7全首脳が「力強い支持」 菅首相
 6月13日、菅義偉首相は、英コーンウォールで主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後に記者団の取材に応じ、東京2020大会の開催について「全首脳から大変力強い支持をいただいた」と述べ、五輪の成功に決意を新たにしたと述べた。
 菅首相は「感染対策の徹底、そして安全・安心の大会について説明し、全首脳から大変力強い支持をいただいた」と説明。「改めて主催国の首相として心強く思うとともに、東京大会をなんとしても開会・成功しないといけないとの決意を新たにした」と語った。
 サミットの首脳宣言では東京大会を「新型コロナウイルス克服に向けた世界の団結の象徴」と位置付け、「安全、安心な方法での開催」への「支持」を盛り込んだ。
 尾身会長も、このファクトを踏まえて、「五輪中止」論を放棄して、どうやったら「安全・安心」な大会として開催できるのかを提言する建設的な提言に姿勢を改めるべきだろう。いつまでもネガティブな印象論の発言を繰り返すだけでなく、本来の政府のコロナ分科会の役割である「感染防止対策」の提言をすべきだ。感染拡大への懸念の表明でなく、具体的な「対策」を検討することに全力を上げて欲しい。
 



「開催は普通はない」 警告を繰り返す政府・分科会尾身茂会長
 2021年6月2日、衆院厚生労働委員会で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「今の感染状況での開催は普通はない」、「開催する場合は関係者がその理由を明確に説明する重要」とし、「五輪を開催すれば国内の感染や医療の状況に必ず何らかの影響を起こす。感染リスクや医療逼迫の影響について評価するのはプロフェッショナルの責任だ」と警鐘を鳴らして、「政府に行ってもIOCに届かないと意味がないのでどこに我々の考えを述べたらいいのか、早い時期に我々の考えを正式にしかるべき場所に表明するのが我々の責任」と述べ、緊急事態宣言の期限がくる20日までに五輪開催のリスク評価に関する提言をまとめる考えを示した。

 この尾身発言に対して、菅政権は不快感を示し、田村厚生労働大臣は、「自主的なご研究の成果の発表ということだと思う」と述べ、丸川五輪相は「感染症に対処する枠組みが基本的には国民の皆様にお願いをするという中での発言。他方、我々は「スポーツの持つ力」を信じて今までなってきた。まったく別の地平から見てきた言葉をそのまま行っても通じづらいというは私の実感だ」と反発した。
 その後、田村厚生労働大臣は「『勝手な研究』と言ったと受け取られたと思うが、自主的な研究は非常に重要だ。誤解を招いたとしたら言葉の使い方を改めなければならない」と述べ、「参考になるものはしっかり取り入れると言いたかった」と強調した。


菅義偉首相 記者会見代表映像

 菅首相は、「(提言)は専門家の方々の感染対策はしっかりやるべきだ」という意見として受け止めている。しっかり対応していきたい」と述べ、党首討論では「国民の命と安全を守るのが自分の責任だ。その前提が崩れたら、(五輪は)やらない」と強調し、表向きには冷静さを保っている。
 しかし、政権内部には、「彼らが一体何を知っているのか。人の流れや五輪競技について分かるのか」「現場を知らない作文だ」「なんの権限があって提言するのか」と感染症対策の専門家が五輪開催に対する発言を強めていることに、いら立ちを強める。

 菅首相はこれまで、緊急事態宣言発令などを発表する記者会見に毎回、尾身氏の同席を求め、外出自粛や休業要請など政策決定の根拠について「先生からもよろしいですか」と発言を促し、いわば「二人三脚」で対応してきた。
 ここにきて、五輪開催のリスク最小化を求める尾身氏らの声を完全に否定すれば、「国民に行動制限を強いるときだけ専門家の権威に頼り、都合の悪いときは無視する」として、「ご都合主義」との批判を浴びる懸念が生まれる。専門家への世論の共感が広がれば、五輪開催の意義や「安全・安心な大会」の根拠を十分に説明できていないと指摘される首相への不満が、さらに激しくなる懸念もある。

竹中平蔵氏 「尾身発言」を批判「明らかに越権」「ひどい」
 「尾身発言」に対して、批判をしたのは慶応大学名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏だ。
 6月6日、竹中氏は、読売テレビの報道番組に出演して、尾身茂会長がの「今のパンデミックの中での五輪開催は普通はない」などと発言したことを「明らかに越権」「ひどい」と強く批判した。
 竹中氏は「こないだの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね」と述べ、「本当にエビデンスがないと私も思いますけど、人流を止めればいいんだとか、なってるでしょ。しかし、人流を止めてロックダウンした国でも抑えられなかったんですよ」と尾身氏の言う「人流」と感染拡大に関しては「エビデンスがない」とした。
 さらに「専門家として、個人で言うのはいいが、、国会で(分科会の)座長として言ってるんですから、あれは明らかに、矩(のり)を踰(こ)えている」と批判した。
 人材派遣会社の「パソナ」は、2020東京五輪大会のオフイシャルサポーターになって、五輪大会業務における人材派遣を一手に握る。大会組織委員会が調達する人材はほとんどすべて「パソナ」を通さなければならない。完全に随意契約で、競争のない調達は、委託費に歯止めがかからず、往々にして破格の高額になる場合が多い。
 東急エージェンシーが受託した「本大会に向けての準備業務」のディレクター業務は1人当たり1日35万円に上ることが明らかにされ、高額の人件費が批判を浴びた。このディレクター業務の人材派遣は、東急エージェンシーから再委託され、「パソナ」が担うシステムになっている。「パソナ」は組織委の調達する人材派遣業務で膨大な利益を挙げているのではないかという疑念が生まれる。
 その「パソナ」の会長が竹中平蔵氏なのである。「パソナ」の大会組織委員会に対する人材派遣業務の不透明さは問われるべきだろう。
 にもかかわらず、竹中氏の「明らかに越権」の主張は、筆者は基本的に支持する。

「GoToトラベルキャンペーン」で失態 尾身氏
 尾身茂氏は、政府に対して新型コロナウイルス感染症対策を提言する分科会の会長である。感染症対策を提言するのがその責務である。
 しかし、これまで、尾身氏は新型コロナウイルス感染防止対策で、しっかりした提言を行っていいない。それどころか、専門家としての知見に欠く姿勢が目立つ。
 その典型は、「GoToトラベルキャンペーン」の実施開始時の発言である。
 尾身氏は、経団連のフォーラムで、実施開始に懸念の声があがる中で、「旅行自体に問題はない」との見解を述べ、「旅行自体が感染を起こすことはない。もしそれが起きていれば日本中は感染者だらけ」感染拡大を防ぐために旅行を控える必要はないとの見解を示した。 ただ旅行先で飲み屋や接待を伴う店などで3密の状況になったり大声を出すなどの行動を取れば、感染の可能性があるが移動自体は感染拡大につながらないと説明した。
 しかし、「GoToトラベルキャンペーン」の開始で、東京などから地方に感染が拡大して、パンデミックが日本全国に拡大して「第三波」を引き起こした。
 12月になると、窮地に陥った尾身氏は、感染状況が4段階のうち2番目に深刻な「ステージ3」相当と分科会がみている地域の一部について、観光支援策「Go To トラベル」を一時停止するよう求めた。明らかに後手後手に回った発言である。
 感染拡大が抑えられない現状に危機感をあらわにし「(この状態が続けば)さらなる(対策の)強化が必要だということだ」とも語り、国による追加の対応策の検討が必要との考えを示した。
 結局、GoToトラベルと同時に開始されたGoToイートは、年末年始の2020年12月28日から21年1月11日まで「全国一斉一時停止」することになり、その後、この措置は延長され再開のめどは立っていない。
 GoToは、感染拡大による経済停滞が直撃した飲食業や観光業、地域経済を助けようと、2020年7月22日から国内旅行に対する政府からの補助金(Go Toトラベル)が出されたのを皮切りに、10月1日からは飲食店利用に対する補助金(GoToイート)も開始。観光庁の発表によれば、11月末時点で4000億円以上の政府支援が投入され、延べ6800万人以上が利用した。菅政権肝いりの経済対策である。
 GoToが引き起こした「第三波」で、2021年1月初めには1日約1000人の新規感染者を記録した。後手後手に回った尾身氏の責任は大きい。

「ワクチン接種」「検査体制充実」「医療体制拡充」 何も提言をしない尾身氏
 新型コロナウイルスの感染防止対策の決め手は、ワクチン接種であることは、昨年末から世界各国の常識となっていた。国民のワクチン接種率は先進国で最低、明らかにワクチン政策で日本は世界遅れをとって、大失敗した。
 その責任は政府にるが、政府に対してコロナ対策を提言する分科会の責任も大きい。尾身氏は「ワクチン接種」についてその体制整備などについて何も目立った提言をしていない。
 ようやく自治体の集団接種、医療機関の個別接種、そして大規模接種会場に加えて、企業や大学などの「職域接種」も開始される。こうしたワクチン接種体制に対して、尾身氏は何も提言していないのはお粗末である。率先してワクチン接種体制に発言をすべきであろう。
 検査体制についてもまったく同様である。安倍政権の時代から、「検査体制充実」が唱えられていたが、一向に「検査体制充実」は進んでいない。専門家として「検査体制充実」にどのように取り組むのか提言は一切ない。
 「医療体制」に関しても、医療体制の逼迫への危機感は唱えるが、「医療体制拡充」に対する提言はない。コロナ専門病院の整備、重症病棟の拡充、医療従事者の確保など提言しなければならない課題は山積している。
 コロナ対策で重要な柱は、「ワクチン接種」、「検査体制充実」、「医療体制強化」あろう。これらの課題に対して、尾身氏は何も役割を果たしていない。
 「五輪」に対しては、積極的に発言を繰り返しているが、あたかも「五輪中止」がされれば新型コロナウイルス感染拡大は収まると誤解するような印象を与える。
 長引くコロナ禍の中で、困窮している飲食店関係者や観光・交通関係者の悲痛な叫びに向き合っているのだろうか。
 尾身氏が全力を上げて取り組むのは、「ワクチン接種」、「検査体制充実」、「医療体制強化」であろう。今年秋までに国民全員にワクチン接種を完了するために、専門家として知恵を振り絞って有益な提言を考えて欲しい。
 分科会の対策の発想は、緊急警戒宣言やまん延防止等重点措置などの「人流抑制」が中心、前世紀型のコロナ対策である。今世紀型の「ワクチン接種」、「検査体制充実」、「医療体制強化」の発想がない。
 尾身氏は「政府に行ってもIOCに届かないと意味がない」と述べ、五輪リスクの提言をまとめて、国際オリンピック委員会(IOC)に直接伝えたいとしている。
 しかし、頭を冷やして冷静に考えて欲しい。尾身氏は政府のコロナ対策分科会の会長、五輪に関する提言は、政府と大会組織委員会にすべきで、その両者とのコミュニケーションをなぜしようとしないのか。まったく責任放棄である。
 本末転倒な尾身氏の姿勢は、感染防止策を提言する政府の分科会としての役割を放棄している。








2020年6月10日
Copyright (C) 2021 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
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