一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月1日のLPSA芝浦ナイタートーナメント(前編)・イケメン氏との将棋

2011-03-05 15:25:22 | LPSA芝浦サロン
3月1日(火)のLPSA芝浦サロンは、石橋幸緒天河の担当だった。石橋天河もFさんと私の将棋の序盤を見ていたが、投了図を見て
「よくあの局面から(Fさんは)穴熊を完成させましたねえ」
と、妙な感心をする。私はただただヘコむばかりだ。
この日の芝浦ナイタートーナメントの参加は4人。すでに2人は対局を始めており、私も少し遅れての参戦となった。相手はLPSAスタッフのイケメン氏。
氏は学生将棋でならし、何かのタイトル獲得寸前まで行ったことがあるらしい。その実力は植山悦行七段が「彼は全国区だから」と太鼓判を押すほどである。イケメン氏は時々私たちの感想戦にも参加してくれるが、私たちが考えもしなかった妙手順を披露し、唸らされることもしばしばだ。風貌は韓流スターのようで、女性教室の講師などをやらせたらおもしろいと思う。
イケメン氏との対局は初めて。いままでにない強敵であるが、そんな人と平手で指すほど私はお人好しではないので、角を落としてもらう。芝浦サロンは下手が自由に手合い(駒落ち)を決められる不文律があるので、何の後ろめたさもない。
イケメン氏も、仕方ないか、と角を駒袋に仕舞って、対局開始。トーナメント戦は20分切れ負けなので、私は飛ばす。対してイケメン氏はゆったりしている。
「大沢さんは上手を持つと強いから下手でも指せるだろうけど、前の将棋を引きずる傾向があるからねえ」
と植山七段。イケメン氏も
「ボクの狙いもそこなんですよ」
と笑う。私は前の将棋を頭から追い払わなければならない。
右の席は片方の山の将棋が指されている。横の青年氏は初見だが、相手の男性氏は何度か拝見したことがある。あれは一昨年の将棋ペンクラブ・関東交流会の将棋大会でのこと。男性氏も参加したこの大会で、私は5戦全勝で対局を終え、1位通過すると信じていた。
ところが男性氏は何と7戦全勝、私は2位に甘んじたのだった。
芝浦トーナメントはたった4人の参加だが、なかなかの腕自慢が揃ったというべきだろう。
私は2筋の歩を切り、飛車を4筋に回って、右銀で4筋の歩も交換する。私だけ2歩を手持ちにし、若干指しやすくなったと思った。
これで☗3六歩と突ければ、☗3七桂~☗4五歩が見込め、手に困らない。そうはさせじとイケメン氏、☖3五歩。さらに☖3四銀~☖3三桂とされ、先ほどまでの指しやすさはどこへやら、妙に息苦しさを感じた。
局後植山七段は、
「上手が☖3三桂と跳んだところでは、もう下手が勝ちにくい。☖3五歩のときに、すぐ☗3六歩☖同歩☗3八飛と動くべきだった」
と論じた。
船戸女流女流二段の声がする。幻聴だろうか。しかし確認する余裕がない。少し経って、船戸女流二段と思しき女性が、お茶を出してくれた。ああ、この細い腕は船戸女流二段だ…。彼女とのおしゃべりは楽しいが、対局中は、私も無愛想になってしまう。このときも、軽くお辞儀をするだけだった。
私は9筋に味をつけ、☗6三歩と垂らすが、じっと☖5三金と上がられ、どうもパッとしない。
それにしても、イケメン氏の熟考が目立つ。時間が切れてはオシマイだから私は早めに指しているが、イケメン氏は関係ないと言わんばかりに、どんどん時間を消費する。イケメン氏の残り時間は、とうに10分を切っている。以前イケメン氏に切れ負け将棋での指し方を聞いたことがあるが、
「残り10分までは時間を気にせずに指していいです。10分を切ったら時間とニラメッコして指してください」
というような回答だったと思う。
上手にガッチリ押さえこまれ、私は☗4四角と暴発する。これに☖同金☗同飛☖4三銀☗4八飛☖4四歩でも上手十分だし、☖5五歩と銀取りに突く手もある。これに☗4七銀では4四の角がタダだから☗7一角成しかないが、☖5六歩と銀をボロッと取られては下手勝てない。
これはどう指されても負けだ…。私は観念したが、イケメン氏の長考は続いている。この一手にもう5分は考えているだろうか。時間は1分を切った。30秒を切った。と、イケメン氏が
「あれ? これ、切れ負けですか!?」
と頓狂な声を上げた。
何と、イケメン氏は30秒の秒読みが付いていると思ったのだ。道理でゆったりと構えていたわけだ。
「ああー、そうですか。秒読み30秒なら何とかなったんだけどな…」
とイケメン氏。お気の毒だったが、イケメン氏はスタッフだから、ルールを知らなかった、の言い訳は利かない。
結果、釈然としないが、数手後に私の時間切れ勝ちとなった。ただスタッフ氏が毎度毎度決勝進出してしまっては味がわるいという考え方もできるわけで、そう考えてみれば、イケメン氏はハナから私に勝ちを譲るつもりだったフシもある。
終了図は上手勝勢。イケメン氏との記念すべき初対局として、その局面の符号を、以下に記しておく。

上手(角落ち)・イケメン氏:1一香、1四歩、2四歩、3二王、3三桂、3四銀、3五歩、4三金、4四歩、5二飛、6三金、6四銀、6五歩、7三桂、7四歩、8五歩、9一香、9五歩 持駒:銀、歩
下手・一公:1六歩、1九香、2九桂、3七歩、4八飛、5六歩、6一馬、6七銀、6八金、7六歩、7八金、7九玉、8七歩、8九桂、9三歩、9九香 持駒:歩3
(☗6一馬まで)

(つづく)
コメント
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