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HIV検査と初期症状

2013-12-03 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
12月1日が世界エイズデーであったので、各方面でイベントや記事をみかけます。

一番大きな話題だったのは、献血した人から提供された血液が、ハイリスク行為直後のために日赤の検査をすりぬけて輸血に使われてしまった、というニュースでした。

献血を検査目的でするな!いう炎上コメントをたくさんみましたが、いっぽうで、健康チェックに使っていますけど?な人も一定数います。

生化学や貧血関連のデータがもらえてうれしい、、、、とかB型肝炎関連については本人に通知がいっていますので、「HIV検査だけなぜ教えてくれないのだろう」と思っている人もいることを理解しないと現状を把握することが難しくなります。

対策は、他の検査アクセスをよくする、、、ですが、
保健所は遠いし、知り合いがいるので匿名にはならいよね~な人たちについては保健所で!を連呼しても解決しません。

在宅検査キットは誰にも知られずに、、ということはメリットですが、これは「スクリーニング」であって、確定診断のためには病院でその先の「確認検査」が必要であるということをよく理解していただく必要があります。
(偽陽性になる可能性があるためです)

その他の工夫ですが、、、まだ日本にはなぜか導入されていませんが、唾液での迅速検査キットもありますので、痛い思いをしないでも調べることができますよ、というアプローチもありだとおもいます。

・・・一度やったことがあります。キットを口の中にいれると、にがしょっぱい味がして唾液がじょわーんと出てきます。
OralFluid Test

TVでデモンストレーションでやる人たちは、楽屋で一度自分で試しているのだと思います。
日本では、「寝ている夫の口の中にこっそり入れてもいいでしょうか?」という質問をときどきうけます。



献血の前に口の中に入れて先に検査をするという方法はいかがでしょうか。

もちろんそれをやっても、感染の超初期にはわかりませんので、問診時に、最後の感染しそうな行為を含めたリスクがあったのはいつですか?と聞くことはmustであるのですが。


ちなみに、初期といっても、感染したその日!とか翌日!だとわかりませんが、初期には「Acute HIV」と呼ばれるフェーズがあって、ウイルス血症のプロセスで患者さんは様々な症状を経験していたりします。

この読売の記事はその意味で表記はまちがっているのですが、、、

「都エイズ感染者 横ばい」

"感染初期は、自覚症状はほとんどないので、検査を受けない限り感染したことは分からない。"

発熱やリンパ節腫脹、咽頭痛、発疹、等の症状が出た~4週間くらい前に、コンドームをしない性行為はありませんか?というアセスメントは必要だと思います。

特に、流行している東京や大阪で、リスク世代の男性を診察するときには。

検査前確率のために、地域や対象という切り口での疫学の情報を確認しましょう。

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