感染症診療の原則

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感染症データのトリセツ ~風疹流行の理解のために1~

2013-03-10 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
その2で風疹をとりあげます。
まず基本から。



感染症疫学<記述疫学>を考える基本です。


あるとき感染症がぐぐっと増えます。はたして、それは何か問題なのか?です。



いろいろな理由で感染症は増えたり減ったりするので、まずその基礎情報をおさえます。
情報を「人」「時間」「場所」で整理します。
増えた減ったのと気はまずこれを考えます。



人の因子:年齢、で整理できることもあります。


人の因子:性差
感染症でみる「男女差」はなかなか興味深いです。 
例えばセックスでうつるのにHIVは8割以上が男性です。女性は感染していないのか、診断されていないだけなのか。
同じパーティにでていて食事をしていたのに、女性だけが圧倒的に多い場合もあります。それは野菜サラダやアイスクリームが汚染されているような場合です。(男女の嗜好の差)


人/時間/場所、のうちの「時間」をみてみましょう。


大きなピークがある場合と、小さな山が2つ3つと出来る場合とあります。病原体や人間の社会的な行動(移動シーズンやお祭りなど)の影響も受けます。


それが「本当にアウトブレイクなのか」。手元にある情報を元に考えます。
想定を超えた事象がおきているのかどうか。


長い眼でみて、ある時期からふえてくるものはなんでしょうか。新しい病気が認知されたり、病原体が発見されて、健診に取り入れられたりするとこのようなカーブがみえてきます。


いつ頃から報告(把握)が増えてきたのか?もグラフにするとわかりやすいです。
増えているよ、とメディアなどで広報されると、受診者が増えて後からこの棒グラフに上乗せ(遅れ報告)症例が加わることもあります。 もっと前から実は診断された例があったことも把握されることがあります。


ワクチンが無い、あまり有効でないような場合は、毎年同じようなカーブを描くことが多い。



共通因子をみていくと、「ある特定のイベント」が関与しているのではないか?ということも見えてきます。


人/時間/場所。 最後に場所の情報です。


まだ病原体や感染経路の概念が確立していないときに、市内で流行していたコレラをとめた人がいます。
Public Health領域では有名な ジョン・スノウ先生です。
地図に印をつけていき、その感染源をつきとめていきました。

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