感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

感染経路不明のC型肝炎のアウトブレイク

2011-01-28 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
"アウトブレイク"は「集団」(たくさん)ということばかりではなく、想定外、予想を超えて多い(本来ゼロであるべきなのに、1例発生!)という事象に使います。

病院内で、C型肝炎ウイルスが水平感染で広がっていくことは、あってはならない、おきないよな手立てを通常していますので、それが院内で疫学的リンクのある広がりをみせたらアウトブレイクです。

静岡の大学病院で、C型肝炎が院内感染「?」という記事がありました。

朝日新聞
入院患者からC型肝炎ウイルス 浜松医大病院、1人死亡

毎日新聞
浜松医科大付属病院:C型肝炎、院内感染か 男性1人死亡

時事通信
C型肝炎、院内感染か=手術後2人からウイルス-浜松医大病院


血液透析に関連した肝炎ウイルスのアウトブレイクは文献でもたくさんあります。

B型肝炎が7名に広がった透析施設の事例(6名死亡)では、感染経路となる医療行為が特定できなかった、という報告です。

スペインの事例:2000年7月、6週間前の同じ日に救急を受診した6名の患者が急性HCVを発症。積極的疫学調査で当日受診をした65名をさらに検査したところ、8名がHCV陽性で、うち4名は急性感染を示す兆候がありました。
「・・accidental contamination of a multidose heparin solution with blood from an unrecognized HCV carrier was identified as the source of this nosocomial outbreak of hepatitis C.」
複数回使用するヘパリンが汚染されていた、と考えられたそうです。
Outbreak of Nosocomial Hepatitis C Virus Infection Resolved by Genetic Analysis of HCV RNA

Hepatitis C virus population analysis of a single-source nosocomial outbreak reveals an
inverse correlation between viral load and quasispecies complexity




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 遅れてきたXmas card | トップ | 日本のワクチンは、10年ビハ... »
最新の画像もっと見る

毎日いんふぇくしょん(編集部)」カテゴリの最新記事