感染症診療の原則

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エイズとコンドームとお金

2010-04-11 | 非・悲・否・避「常識」
ワクチンがありませんのでエイズは「撲滅」をめざす、というのは表現上正しくなく、患者グループ体からは感染者の撲滅をイメージするので控えて欲しいというような意見もききます。

詳しくない人達はエイズがこの世の中からなくなったらいいなーというシンプルな期待をもってこのフレーズを受け取っています。
また、こどもがエイズにならないように、という反対しにくいお題目について意見をいうのは難しい空気がこの島にはあります。

4月10日のニュースにエイズ撲滅をうたった活動に関連した逮捕事件がありました。

投資で考えると、100万ちょっとだして1ヶ月1万円はまあよかろう、ということだったのかもしれませんが。

この報道よりかなり前の2009年12月に、一般の人が「おかしいんじゃないか?」という指摘をしています。
ブログ「猫とトマトと哲学と」
まさに“新聞記事の裏をとる”ですが。脱帽。

ちなみに警察が調べ始めたのは、息子が「母親の口座から大金がなくなっている」と警察に相談をしてからだそうです・・・。

「痛いテレビ」では、先に美談としてこの活動を報じた件について同じ新聞社に問い合わせをいれた経緯が紹介されています。

ところで。

こどもをエイズから守るためにせめてコンドームというのは、ぱっと見正しいようですが、居酒屋やガソリンスタンドなどに設置をするのは???ですし、コンドームを3個で500円って実はスゴイ高いんですよ。

日本での売れ筋コンドームは可能な限り薄いコンドーム(海外では早漏防止のためか、破損防止のためか、厚手が好まれるとききます)。

その極薄タイプも12個入りで1000円くらいで買えますので、お金のない世代に3個500円ってどうよ、ですよ。

そもそも「こども」とは何歳くらいを想定しているのかわかりませんが、2-3割に性交経験のある“高校生”に聞くと、コンビニで買う、100円均一ショップで買う、通販で買うなど入手方法はいろいろです。

自動販売機は在庫管理(品質管理)含めて実はけっこうたいへんなんですよね。

自治体によっては規制もある(あった)ようです。
厚生省保健医療局疾病対策課 結核・感染症対策室長(エイズストップ作戦本部事務局長)・厚生省薬務局医療機器開発課長 平成5年2月通知 コンドーム自動販売機の設置等についての考え方

感染症屋的には、コンドームの限界を知った上で使わないとだめよ、なんですが。「こども」対象に、「せめてコンドーム」というアプローチは疑問大です。
もうちょっとrespectがほしい。

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