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HBVのUp to date

2009-07-23 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
昨日のHBVの話題についてUp to Dateの「Serologic diagnosis of hepatitis B virus infection」をもとに青木編集長から編集部あてにメモが届きました。

編集部からの質問は、「どの状態の人からHBVは新たに感染する可能性があるんですか?」です。
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急性期はAntiHBc-AbのほとんどはIgMです。
そして急性感染時、HBsAgが消失し、HBsAbが出現する間に陽性になります。
但し慢性HBV感染でも急性増悪の時にIgm AntiHBc-Abが陽性になる事があり、必ずしも急性期の指標ではありません。

AntiHBc-Abのみが陽性でHBsのAg, Abが陰性のシナリオは3種類。
1)急性HBV感染症でHBsAgが消失、まだHBsAbが出現してない場合。
2)急性感染が見事に押さえられたが、次第にHBsAbが次第に抗体価が低下してHBc-Abのみが検出。
3)慢性感染だが、HBsAgの価が低下して、HBc-Abのみが検出されている。
→3)の場合、感染源になりえます。
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このUp to date記事の筆者Anna S. F. Lok, MD は
NIH Consensus Development Conference: Management of Hepatitis B
October 20-22, 2008の講師の一人で、
http://consensus.nih.gov/2008/HepBwebcast/HepatitisBwebcast.htm
2009年7月13日にClinical Care Optionsで公開されたばかりの講義モジュールがありました。
http://www.clinicaloptions.com/Hepatitis/Annual%20Updates/2009%20Annual%20Update/Modules/Lok.aspx
これは登録(無料)すれば使えます。
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2 コメント

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HBVの診断と感染性 (Goh Ohji)
2009-07-23 11:56:52
HBVは非常に変異しやすい株なので臨床的には

4、当初からHBsAgが検出できない(または産生しない)のキャリア

というものも問題となります。というのは兵庫県では通常のEIA法ではHBsAg、HBsAb双方ずっと陰性のB型肝炎キャリアのグループ(感染源は同一)が存在しています。DNAは振り切れているので感染性はかなりありそうですが、当初から一貫してHBsAgは陰性でした。
下記のreportの株などどうやって検出するのだという感があります。
また、台湾では現在、Universal vaccination後にワクチンからエスケープした株に感染するHBVキャリアが問題となっています。今後の新型HBVワクチン開発にも期待したいと思っています。

J Clin Virol. 2007 Nov;40(3):255-8.
Detection of a premature stop codon in the surface gene of hepatitis B virus from an HBsAg and antiHBc negative blood donor.
Datta S, Banerjee A, Chandra PK, Chakraborty S, Basu SK, Chakravarty R.
返信する
これでは・・ (Aoki)
2009-07-23 18:28:04
Ohji先生:

ハンカチ王子とか、~王子とかいう言葉が一時流行りましたが、先生はさしずめ神戸大の感染王子でしょうか・・。

また、くだらないオヤジギャグを書くと編集部に叱られるのでこのぐらいにしますが、HBs抗原もHBc抗体も陰性では、どのように見つけるんでしょうね・・!! この領域も深いですね。
返信する

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