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ICAAC2015シリーズ、本日から環境や食品関連の耐性菌問題を扱います。

2016-04-25 | 青木語録
ICAAC2015シリーズ、本日から環境や食品関連の耐性菌問題を扱います。

タイトルは「036 - Surrounded by the Enemy? The Environment and Foodstuffs as Sources or Reservoirs of Antimicrobial Resistance Threats」

最初の演者はアイルランドのMaynooth大学のFiona Walsh先生
演題はSoil and antibiotic resistance

■ポイント:
・抗生物質の発見自身、土壌の調査から始まっている。(1940~50年代)。
・実際、多くの抗生物質は土壌由来の微生物から得たものである。
・基本的に、抗生物質の作り方は昔と変わらない(沢山の微生物を培養して有用なものを見つける)
・耐性の問題は土壌~人間と直接に結びつく関係ではなく下図のように非常に複雑である。(土壌・下水・野菜・食肉・食肉用動物・動物用飼料・家畜解体業者・・・・)


・当然のことながら耐性問題を扱う論文は人間に関するものは無数にあり、土壌に関するものは極めて少ない。これは土壌に関する知識が少ないという事。


・土壌中の抗生物質を産生する微生物に興味が集中するが、抗生物質を作らない微生物にも耐性メカニズムがあるかもしれない。しかも人間が遭遇した事のない耐性メカニズムが。
・ところで土壌から微生物を検出し、Breakpointを決定しようにも、非病原性微生物にはBreakpoint自体、存在しない。「耐性の定義」からして難解なのである。
・「実験のためにTentativeに作った”耐性”の定義」にしたがって耐性菌を検出した。そして、耐性のメカニズムを検討した。そして病原性微生物に耐性が入りうるのかなどを検討した。

■結論:
・土壌には既知・未知の耐性メカニズムが存在する。
・その耐性の種類は人間の腸管内の微生物に比較すると少ない。
・土壌の耐性メカニズムが人間や動物にリスクであるかは?
・世界中の土壌の調査が必要。(大変・・)
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