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ワクチンのお値段 Cervarix vs Gardasil

2011-05-20 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
久々にHPVワクチンの話です。現在Cervarixは在庫管理の問題で(ベルギーから輸送中)、新規接種は6月以後にしてね状況にあります。接種タイミングがずれて不都合が生じる人たちも公費補助機関は自治体で配慮してもらえることになりました。

Gardasilが認可されても薬価収載までにもう少し時間がかかりますが、年度内であるならば公費補助枠が使えるようになっている自治体が多いので、なんとかなるでしょう。

日本ではCervarixの納入価格は12000円(これに税金プラス)。
接種の手技や書類作成その他、もともとかかるコストがプラスされるために、実際に病院で接種するときは1回15000円~20000円くらいになっています。3回接種すると5-6万円

HPVの型は16と18だけの2価のCervarixと、6、11もはいっている4価のGardasilは、他の国での価格がほぼ同じ。

米国の場合、

Gardasil CDC購入価格 $108.724 プライベートセクター購入価格 $130.27
Cervarix $96.08 $128.75

米国はすべての納入価格をCDCのHPで常時公開しています。

カナダ政府のサイトにGardasilの各国の値段リストがあります。カナダドル表記です。

Canada   $134.8894    ※Cervarixは$134.95
France $170.4902
Germany $183.5870
Italy n/a
Sweden $177.2312
Switzerland $187.7860
United Kingdom $181.8804
United States $152.1041

そして、国際的な平均価格 $179.5558 ということです。

日本の薬価の仕組みは実はよく知りません。こんど詳しい人たちに教えてもらおうと思います。
平成19年度と平成20年度におけるワクチン類の薬価について

もちろん「HPVワクチン高すぎね?」と各国で言われています。

子宮頸がんの症例の8割以上は途上国で問題になっていますが、1回あたりの接種費用が下がらないと普及は難しいでしょう。

といっているところに、2011年5月7日のLancetにはルワンダでのGardasil接種プログラムが紹介されています。Financing HPV vaccination in developing countries

これは、メルク社が200万接種分、Qiagen社が25万回分のHPVスクリーニング検査を寄付しておこなわれるものです。
メルク社はこのあとさらに3年間、ディスカウント価格でGardasilを提供する予定。

メルク社は、現在9価のGardasil(V503)のPhase3進行中
(6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58型)

2012年には生物製剤許可申請の予定。
先進国で9価が認可されたら、それまでの4価格はどうなるのだろう?ですが。

日本はこどもの肺炎球菌ワクチンも他の先進国が13価を承認する時点で、7価をやっと承認するというタイムラグが生じています。日本のHPVワクチンはどうなるのでしょうね。

現在開発中の次世代HPV ワクチン;
■9-価 HPV L1 VLP  メルク社 (4価HPVワクチンとの比較試験~2013年8月)
■ HPV L2 Vaccine (early development)
■ HPV L1 recombinant Ty21a Salmonella typhi (early development)
• HPV L1 recombinant measles (early development)

値段を下げると言えばジェネリックですが、インドのジェネリック会社はより価格の安いHPVワクチン開発に意欲をみせています。
Compulsory Licenses: A Tool to Improve Global Access to the HPV Vaccine?

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