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誰もおしえてくれないB型肝炎ワクチン

2010-11-10 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
HPVワクチンの公費化だけを要求している人たちがいますが、これはとてもおかしな願望・動きです。

現在、日本の予防接種制度は見直し中。見直そうと思ったというよりは、新型インフル騒動のときに、ワクチン行政がトホホであることが皆にバレてしまったから、ということが背景にあります。
皆が気づいて、おかしいんじゃないか?と指摘しないとかわらないのがこの国の行政の仕組です(仕組知った上で改善を提案する必要があります)。

改善計画ですが、

1)米国のACIPのような予防接種の専門の機関を「厚生労働省の外側に・独立したかたちで」つくり、利権や利害にとらわれない、多くの関連団体が参加できる、科学に基づいた判断や提案をする組織をつくる。

2)予防接種の費用を、公費でカバーする。
現在は「定期接種」と「任意接種」にわかれており、任意接種は保護者の費用負担が大きく、必要なワクチンが普及しにくいと言う問題があります。
親によっては「無料じゃないってことは、国や専門家が勧めているわけではないらしい。重要じゃないみたい」と考えてしまう人たちがいます。

このため赤ちゃんにとって重要なワクチンが保護者や自治体の財政状況で接種できなくなっているが問題です。

そのなかで、とても高額な「HPVワクチン」の公費だけを言う人たちは間違っています。
予算が限られているならば、赤ちゃんに重要なワクチンの公費化が先のはずです。

HPVワクチンは輸入ワクチンですが、ポリオの生ワクチンは危険性については、国内のメーカーが開発中だからということで「海外の不活化ワクチンを輸入しない」状況にあります。

そして、国内にワクチンがあるのに、その重要性の普及啓発が遅れているものにB型肝炎ワクチンがあります。

B型肝炎は、大人になってからは性的接触・性行為で感染するリスクが一番の問題ですが、赤ちゃんやちいさな子どもでは保育園や幼稚園・小学校での集団生活の中での体液曝露のリスクを考えての接種が必要です。

そんなに高いワクチンではありません。

B型肝炎は家庭内で父親やおじいちゃんから子ども・孫に感染する事例も複数報告されており、共同生活のなかでの感染リスクは昔からわかっていることです。


保育園や幼稚園に行く子どもには接種をしたほうがいいよなんてことを妊娠中に教えてくれる場所・人は少ないです。

過去のブログ記事「日本の赤ちゃんがB型肝炎ワクチンを接種してもらえない理由」
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/83bbc7e5eb1a18939eb68e7f052d2622

赤ちゃん全員に接種しましょう、とWHOはいっています。
先進国で接種をしないのは日本とあと2カ国のみです。

赤ちゃんのときにしないとなると、次に接種するタイミングは思春期です。「性交開始前にしておいたほうがいい」ということで、HPVワクチンとあわせて教育することができます。
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