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米国の集中治療医師のコロナ診療:印象記

2020-03-18 | Aoki Office

以下は中部病院の後輩でミズーリ州で活躍する集中治療医師、大庭先生からの御厚意で頂いた情報です。シアトルの病院からチェーンメールで流れきた情報とのことです。「MUST READ」とのことです。但し、これはあくまでも一施設での経験ですので、全体像を必ずしも反映するものではないかもしれません。

臨床的な印象#1:General
・若い人も時に重症化。発症後、1週間前後してから悪化 ←コロナにユニークな印象。
・軽症・中等症・重症ARDSは1/3ずつ(集中治療室の中で・・?)
1/3はMildな下気道症状(酸素はNasalで1-5L)、
1/3はより重症でFace mask、Non reserve bag 、
1/3はARDSで挿管。

臨床的な印象#1:Laboratory data
・血液
正常白血球数、リンパ球減少(まれに正常白血球数+リンパ球優位)。これが10日経過しても正常白血球数のまま不変。
BALはリンパ球優位(血液はリンパ球減少でも)
AST/ALTは軽度上昇(70-100)。入院時から上昇(150-200)は臨床的に悪化しARDSになる傾向。
・画像
CTなどの数が限られているし、CXR(patchy, reticular, some times perihilar)以上に診療上有用な感じではない。

臨床的な印象#2:突然、急速に呼吸不全が
・呼吸不全:発症から7-10日経過してから突然に、とにかく「速い」
・典型的なシナリオは
入院時、酸素Nasal:1L >> 12時間後にはNPPV >>12-24時間後に人工呼吸器・うつ伏せ。
どうせ挿管になるので、無理にNPPVなど経由せず、「just tube them」
・H1N1と比較して低酸素は治療に抵抗性ではない。

臨床的な印象#3:心臓死(Cardiomyopathy?)が少なくない
・「酸素化できない」というよりも「心停止」で失う症例が多い。
・入院時のEFは正常+正常トロポニン >>重篤な呼吸不全/ 回復 >>12時間程度のスパンで突然、心原性ショック(EF<10%; VT>VF>dead, PEA>asystole):1日で死亡。
・壁運動Wall motion異常なし。Echoでは右室は保たれている。急激なトロポニン上昇はない。 こんなの見たことない・・

若かりし頃の大庭・・↓↓↓


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