感染症診療の原則

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発疹のない麻疹でのARDS (フランス)

2012-01-25 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
春休みに向けて大学生等の若者が海外旅行準備のためにワクチン接種の相談に来ています。
相談に来るということはその必要性がわかっているわけです。
アフリカやアジア、南米が行先の人が多いですが、実は先進国でも注意が必要な感染症があります。

例えば麻疹は、ニュージーランドの一部やヨーロッパでも流行しているところがあります。免疫がなければ感染→発症ということになりかねません。

フランスで、29歳の女性がARDSで死亡したという報道があります。
麻疹ウイルスの感染によるものとされています。

しかも、発疹がなかったということが話題になっています。
(免疫不全の要因なし、喫煙あり)

CDCのEID(Emerging Infectious Diseases)の2012年3月号On-line
Emerg Infect
Dis [serial on the Internet]. 2012 Ma
に詳細があります。

(リファレンスには、非典型的な症例などもあがっています)


こちらはニュースとして扱われている内容:
Fatal Case of Measles Without Rash Found in Young Woman
January 13, 2012 Cleveland Clinic Center for Continuing Education

この女性は、外来受診時に発熱、咳、鼻かぜ、下痢、体重減少の症状があり、医師は5日分の抗炎症薬と経口ステロイドを処方。

しかし、症状が改善せず、医師が免疫不全をうたがったため2日目に入院となりました。

入院後の検査では、再生不良性貧血、リンパ球減少を伴う白血球減少症が認められました。
胸部XPは両側びまん性間質浸潤が確認され、抗生剤による治療が開始されました。

入院3日目に重症呼吸不全となり、人工呼吸器が必要となりICUへ。
6日目に麻疹ウイルスに対する抗IgM 抗体が検出されました。

その後、リバビリン、ステロイド、免疫グロブリンが投与されたものの死亡。

”This unusual case underscores the need for physicians to consider the diagnosis of measles, even in the absence of classical clinical features, during measles outbreaks. It also reemphasizes the insufficient vaccination coverage against measles in France”

典型的な症状でなくても、疫学情報は頭の隅に・・。

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