感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

混合ワクチン:3種、4種、5種、6種

2011-09-02 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
(動物病院では6種類より多い混合ワクチンがあるそうですね)

混合ワクチンのメリットは、接種回数を減らし赤ちゃんや保護者の負担を軽減すること、またタイミングを遅らせず適時のワクチンが接種できることです。

検討されるは、「副反応や有害事象の発生率や関連性の判定」、「単独ワクチンとの効果(強さや持続期間の違い)」です。

様々な評価が認可前の臨床試験、販売後の「市販後調査」で行われます。

■3種混合は、DPT(ジフテリア+百日咳+破傷風)のワクチンで、日本にもあります。

■4種混合は、現在、日本の国内メーカーが開発途上のもので、DPT+不活化ポリオワクチンです。来年度に認可予定というニュースが流れています。

■5種混合は、DPT+不活化ポリオ+Hibです。

■6種混合は、DPT+不活化ポリオ+Hib+B型肝炎です。

日本でも輸入で接種可能なワクチンではあります。対応可能機関はHPで公開されており、(がんばると)検索でみつかります。例えば都内では、

江東区  有明こどもクリニック
渋谷区  たからぎ医院
世田谷区 Primary Care Tokyo


その6種混合を扱っているのは、世界に名だたるワクチンメーカー「グラクソスミスクライン(GSK)」で、製品名はINFANRIX Hexaといいます。

Hexaとはギリシャ語の「6」です。

InfanrixはGSK社のワクチン製品に特徴的なネーミング。 

たとえばA型肝炎とB型肝炎の混合ワクチンをGSKはもっていますが、これはTwinrixといいます。
双子をツインといいますね。そのTwinです。
他にも三種混合のブースターワクチンはBoostrix(そのまんまやん)です。

この6種混合、実はすごく新しいワクチンということではなくて、タイやベトナムでも接種可能なワクチンです。

■オーストラリアのクイーンズランド州では2005年から導入。スケジュール説明シート PDF
■シンガポール国立大学病院でも2005年から接種可能 1回77.23ドル(約5千円)

■カナダ ブリティッシュコロンビア州の説明シート PDF

評価はどうでしょうか。

6種混合ワクチンと13価の肺炎球菌ワクチンを同時接種した場合の免疫原性(スペインからの報告)
Immunogenicity of a combination vaccine containing diphtheria toxoid, tetanus toxoid, three-component acellular pertussis, hepatitis B, inactivated polio virus, and Haemophilus influenzae type b when given concomitantly with 13-valent pneumococcal conjugate vaccine
Vaccines 2011年8月

シンガポールにおける6種混合、5種混合ワクチンの市販後調査
Safety and reactogenicity of DTPa-HBV-IPV/Hib and DTPa-IPV/I-Hib vaccines in a post-marketing surveillance setting
Southeast Asian J Trop Med Public Health. 2011 Jan;42(1):138-47.

6種混合接種後2年におけるHBVの免疫(ドイツからの報告)
Lasting immune memory against hepatitis B in children after primary immunization with 4 doses of DTPa-HBV-IPV/Hib in the first and 2nd year of life.
BMC Infect Dis. 2010; 10: 9.

HBVの免疫を強化するために、HBV単独の追加接種。
Hepatitis B immune memory in children primed with hexavalent vaccines and given monovalent booster vaccines: an open-label, randomised, controlled, multicentre study
The Lancet Infectious Diseases, Volume 10, Issue 11, Pages 755 - 761, November 2010


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 再掲【受付開始】10/8(土)... | トップ | 8/31の不活化ポリオワクチン... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
6種混合ワクチンについて (メグママ)
2011-12-05 09:54:49
6種混合ワクチンについて質問です。
6種混合ワクチンについて、免疫獲得率はどれくれなのでしょうか?
先日、6種混合ワクチンを接種しました。
あと、接種後、液漏れした場合は免疫獲得されるのか心配です。
返信する
Unknown (編集部)
2011-12-20 10:20:42
Infanrix Hexaでは特に問題になっていませんが、一番下の比較試験B型肝炎ワクチンについては思春期にブースターをという提案もあります。

(液漏れは「その場」での問題なので、ブログではコメントできません)

英国NHSの見解
http://www.nelm.nhs.uk/en/NeLM-Area/News/2010---September/29/Long-term-immunogenicity-of-the-hexavalent-vaccines-Infanrix-Hexa-and-Hexavac/

カナダ政府の見解
http://www.phac-aspc.gc.ca/naci-ccni/l_review-eng.php

イタリアでの比較試験
http://www.phac-aspc.gc.ca/naci-ccni/l_review-eng.php
返信する
6種混合ワクチンを4回接種後 (B型肝炎ワクチンについて)
2012-02-27 04:31:23
6種混合ワクチンを4回接種後、B型肝炎ワクチンの追加接種は思春期に接種必要ですか?
5種混合ワクチン→B型肝炎ワクチン単独接種した場合は必要ないですか?
わからないので教えていただけませんか?
返信する

毎日いんふぇくしょん(編集部)」カテゴリの最新記事