感染症診療の原則

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続報 真菌で汚染された薬剤による髄膜炎アウトブレイク 1例目の詳細

2012-10-20 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
メディアの2次情報ではなく、1次情報にアクセスすることが危機管理や意思決定において重要なわけですが、
米国の複数の州にまたがっておきている薬剤由来の髄膜炎アウトブレイク情報は、経時的にCDCのサイトで公的な報告を見ることができます。

Multistate Fungal Meningitis Outbreak Investigation Current Situationです。

「現在の最新情報」を公的機関が公開しているというところで、数字を知る以上に信頼を構築することに貢献します。

汚染した薬剤が使用された医療機関名のリスト


ちなみに、今日現在までに把握されているのは271症例、うち死亡が21例まで拡大。


新聞等よりは医師の信頼の高いNew England Journal of Medicineには、このアウトブレイクでの1例目の症例の詳細な経過が画像情報などもともに掲載されています。

もともと免疫に異常のない50代の男性が8日の経過で受診。吐き気、倦怠感、食欲減はあったものの発熱や発疹はなし。
入院から22日目に死亡。

臨床医による迅速な報告や、Public Health部門でこのようなアウトブレイク対応にあたるひとにはとても参考になる情報です。



アウトブレイクとコミュニケーションの話にもどります。

厚労省のHPにも感染研のHPにもそういった機能はないので、メディア解釈をいれた、分母がよくわからない2次情報を最初にみることになるのが現状。

日本のお役所のホームページは既報をPDFでじゃんじゃか並べますが、リアルタイムでのコミュニケーションとなるようなページが不足しているように思います。

結核感染症課が毎週金曜日に発行しているメルマガ感染症エクスプレスも、既報の内容ばかりですし(それを一覧で確認したい人には便利)、 同じ厚労省の他の部署が扱っている感染症関連のことは掲載されていないし、公知申請であらたに適応拡大となった感染症治療薬の情報も紹介されないし、もう少しリソースと言えるような公的な情報が充実することを期待。
(他の部署のことは載せてはいけないという内規があるのかどうかは不明)
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