本日開催された日本脳炎ワクチンについての会議の配布資料と議事録はこちらに掲載されます。
(副反応報告の詳細、経年的な報告数の変化の表、多屋先生(参考人)による日本脳炎について、疫学、ブタ調査結果、ワクチン接種率/抗体獲得率についての説明資料、など)
報道にあった今年7月と10月の症例の詳細、過去数年報告されている脳炎とADEM症例の経過を含めたリストも配布されました。(すべてが因果関係があるというわけではない)
例えば、発熱も接種「翌日」から「1カ月」の発熱まで広くリストになっています。
10月の、心肺蘇生に反応しなかった症例については内服薬の詳細がありました。
アナフィラキシーっぽくないですね、というところで、しかも2次情報ではよくわからないなかで、1次情報にあたることが必要でした。接種をされているフロントラインの先生方が、接種を考えている保護者の方も待っていた情報だと思います。
基礎疾患や内服薬情。
10月の症例は、広汎性発達障害があり
平成24年6月より下記2剤投与:
■アリピプラゾール:副作用に心電図異常。本剤治療中の患者での突然死が報告されている。
■ピモジド製剤:SSRIとの併用禁忌。本剤治療中に原因不明の突然死が報告されている。心電図異常に続く突然死も報告されているので、特にQT延長があれば中止すること。(CYP3A4代謝)
平成24年9月に下記1剤を追加:
■塩酸セルトラリン(SSRI):オーラップ(ピモジド製剤)投与中の患者にはQT延長を引きおこすことがあるので投与禁忌であり、併用禁忌。
QT延長を心電図で理解する
http://meddic.jp/QT延長症候群
薬に関係なく、ストレス、不安、安静時(寝ているとき)などでもおこります。
複数の医師のコメントが資料に掲載されていますが、
搬送先の救命センターで診療にあたった医師の、一度も心拍再開しなかったことで、心臓での異常を考えるということが一番合理的な説明と思われました。
(あたりまですが)問診、観察、バイタル、検体確保、カルテの記録がとても大事だなと思える詳細な資料でした。
会議の中では、資料にないデータとして委員会の質問から解剖結果についても報告がありました。
途中経過(開示許可を得ている範囲)
1)心臓:マクロの解剖ミクロの解剖でも明らかな異常はないが、不整脈は否定できない
2)腹部:死後CTで脂肪肝あり(肝障害あり)
3)アレルギー:肉眼的、組織的には明らかなものは確認できない。
委員のコメント:
ワクチンの安全性、集積があるのかということでは違うだろう(稀な事例)。
7月の症例は、
早産、超低体重出生児。出生児仮死、呼吸不全で2カ月の人工呼吸器管理。甲状腺機能低下で内服中。てんかんについて加療中。接種の翌日に感冒症状。発熱後けいれんを繰り返し挿管。呼吸器のウイルス感染症をベースにした感染症が悪化してDIC、多臓器不全(けいれんでDICや多臓器不全はおきない)。
(白血球1万 肝機能3ケタ CRP 6.38 血小板低下あり)
最終的にはウイルス感染による急性脳症。剖検なし。
この2例はワクチンそのものとの関連性は低い、7月は髄液等の検査を詳細精査が必要、10月は接種「行為」との関係などの精査をさらに検討する事が必要、というコメントでした。
「この2例をもって日本脳炎ワクチン接種を中止するというような結論にはならない」という委員長まとめ。
(今回の会議ではまずもってここを確認することが大事でした)
ところで、「接種をやめろ」「もう流行しているいないから意味がない」という非専門家の意見も今回のニュースの後に見聞きしますが、根拠についてはとても曖昧です。
症例数がもう少ないから、、、でしたらワクチン接種率や効果に着いてどう考えるのか。
接種をやめたあとの中長期的な感染流行や症例発生についての責任をもった発言なのか疑問です。
今回の会議では専門家による推定の値はありました。
予防接種を中止した場合の日本脳炎発生リスク
発症リスク 死亡リスク
東日本(東北) 13600~136000人に1人 75556~755556人に1人
中日本 1410~14098人に1人 7832~78324人に1人
西日本 934~9337人に1人 5187~51871人に1人
Japanese Encephalitis: Surveillance and Elimination Effort in Japan from 1982 to 2004
Jpn. J. Infect. Dis., 61 (5), 333-338, 2008
日本脳炎 感染症の話国立感染症研究所
(副反応報告の詳細、経年的な報告数の変化の表、多屋先生(参考人)による日本脳炎について、疫学、ブタ調査結果、ワクチン接種率/抗体獲得率についての説明資料、など)
報道にあった今年7月と10月の症例の詳細、過去数年報告されている脳炎とADEM症例の経過を含めたリストも配布されました。(すべてが因果関係があるというわけではない)
例えば、発熱も接種「翌日」から「1カ月」の発熱まで広くリストになっています。
10月の、心肺蘇生に反応しなかった症例については内服薬の詳細がありました。
アナフィラキシーっぽくないですね、というところで、しかも2次情報ではよくわからないなかで、1次情報にあたることが必要でした。接種をされているフロントラインの先生方が、接種を考えている保護者の方も待っていた情報だと思います。
基礎疾患や内服薬情。
10月の症例は、広汎性発達障害があり
平成24年6月より下記2剤投与:
■アリピプラゾール:副作用に心電図異常。本剤治療中の患者での突然死が報告されている。
■ピモジド製剤:SSRIとの併用禁忌。本剤治療中に原因不明の突然死が報告されている。心電図異常に続く突然死も報告されているので、特にQT延長があれば中止すること。(CYP3A4代謝)
平成24年9月に下記1剤を追加:
■塩酸セルトラリン(SSRI):オーラップ(ピモジド製剤)投与中の患者にはQT延長を引きおこすことがあるので投与禁忌であり、併用禁忌。
QT延長を心電図で理解する
http://meddic.jp/QT延長症候群
薬に関係なく、ストレス、不安、安静時(寝ているとき)などでもおこります。
複数の医師のコメントが資料に掲載されていますが、
搬送先の救命センターで診療にあたった医師の、一度も心拍再開しなかったことで、心臓での異常を考えるということが一番合理的な説明と思われました。
(あたりまですが)問診、観察、バイタル、検体確保、カルテの記録がとても大事だなと思える詳細な資料でした。
会議の中では、資料にないデータとして委員会の質問から解剖結果についても報告がありました。
途中経過(開示許可を得ている範囲)
1)心臓:マクロの解剖ミクロの解剖でも明らかな異常はないが、不整脈は否定できない
2)腹部:死後CTで脂肪肝あり(肝障害あり)
3)アレルギー:肉眼的、組織的には明らかなものは確認できない。
委員のコメント:
ワクチンの安全性、集積があるのかということでは違うだろう(稀な事例)。
7月の症例は、
早産、超低体重出生児。出生児仮死、呼吸不全で2カ月の人工呼吸器管理。甲状腺機能低下で内服中。てんかんについて加療中。接種の翌日に感冒症状。発熱後けいれんを繰り返し挿管。呼吸器のウイルス感染症をベースにした感染症が悪化してDIC、多臓器不全(けいれんでDICや多臓器不全はおきない)。
(白血球1万 肝機能3ケタ CRP 6.38 血小板低下あり)
最終的にはウイルス感染による急性脳症。剖検なし。
この2例はワクチンそのものとの関連性は低い、7月は髄液等の検査を詳細精査が必要、10月は接種「行為」との関係などの精査をさらに検討する事が必要、というコメントでした。
「この2例をもって日本脳炎ワクチン接種を中止するというような結論にはならない」という委員長まとめ。
(今回の会議ではまずもってここを確認することが大事でした)
ところで、「接種をやめろ」「もう流行して
症例数がもう少ないから、、、でしたらワクチン接種率や効果に着いてどう考えるのか。
接種をやめたあとの中長期的な感染流行や症例発生についての責任をもった発言なのか疑問です。
今回の会議では専門家による推定の値はありました。
予防接種を中止した場合の日本脳炎発生リスク
発症リスク 死亡リスク
東日本(東北) 13600~136000人に1人 75556~755556人に1人
中日本 1410~14098人に1人 7832~78324人に1人
西日本 934~9337人に1人 5187~51871人に1人
Japanese Encephalitis: Surveillance and Elimination Effort in Japan from 1982 to 2004
Jpn. J. Infect. Dis., 61 (5), 333-338, 2008
日本脳炎 感染症の話国立感染症研究所