① 質問者 : 岐阜 研修医 2年目
質問内容 : ERでの最初の3分はどうするべきでしょうか?
疾患の重症度によると思います。症状から心筋梗塞やくも膜下出血が想定されるときは、問診はできるだけ短くして確定診断のための検査(心電図や頭部CT)を優先してください。少し余裕があれば、手を握り「辛かったですね」という共感の言葉を述べてから、患者さんの訴えを聞いてあげてください。
② 質問者 : 循環器内科
質問内容 : 重症患者さんの問診はどういうふうにするのですか?
重症では意識レベルの低下や苦痛のため話すことができないケースがあります。その場合は家族や施設職員からの状況聴取、前医からの紹介状、バイタルサインが鑑別診断を考えるために大変参考となります。
③ 質問者 : 研修医一年目 兵庫県
質問内容 : 攻める問診をするためにはきちんとした鑑別診断があると思うのですが、鑑別診断を鍛えるためにはどのように研修を送ればよろしいでしょうか?先生方はどのように鍛えていかれたのでしょうか?
医学書(教科書、診療マニュアル)や医学雑誌(症例をもとに診断推論が展開されている記事)を読んでいると、「キーワード」から数個の鑑別診断が展開されていることに気がつく場合があります。たとえば、「大球性貧血」から想起される疾患には、ビタミンB12/葉酸欠乏、骨髄異形成症候群、アルコール多飲、甲状腺機能低下症、溶血性貧血があります。そのような「キーワード」からの展開をメモし集めておくと診断推論が楽になります。
④ 質問者 :研修医
質問内容 : 既往歴を聴く際にいつもどのような聞き方をすれば良いのか迷います。今までにあるいは現在ご病気はしていますかと聞いてもDMやHTは病気だと思っていない患者さんもいたりして上手く既往歴を拾えないことがありました。上手い問診法をお教えいただければ幸いです。
糖尿病や高血圧は鑑別診断を考えていくうえで非常に重要な疾患なので、私は「糖尿病や高血圧はありませんか」と全ての患者さんに必ず聞くこととしています。鑑別診断を展開していくために必要な疾患は自分から聞くのがよいと思います。
⑤ 質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : SIRS診断をつける意味合いは、予後推定でしょうか。インフルエンザをはじめとする急性ウイルス感染症でもこうしたバイタルサインになることはあると思いますが、白血球計測が必要なのでしょうか。
私はSIRS基準を予後推定ではなく、来院される多くの患者さんの中から敗血症の恐れがある方をスクリーニングするために使っています。ご指摘のように敗血症以外の疾患でもこの基準を満たすことがあるため確定診断には使えません。
10万人以上を対象としたニュージーランドの研究では、重症敗血症の12%はSIRSの基準(4項目中2つ以上)を満たしませんでした(NEJM 2015 Mar17;e-pub)。80%では一つの基準だけ満たし、その多くは白血球数の異常でした。したがって、SIRS基準で全ての敗血症患者を検出することにも限界があります。SIRSの基準を満たしていないけれど臨床状況から敗血症が想定される場合には、(前述の論文結果から推定すれば)白血球数測定はある程度意味があるのかもしれません。
⑥質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 先生は、問診から多くの患者さんの診断をされていますが、その診断が間違っているかもしれないという不安感に襲われることはありませんか。不安を払うために多くの検査をしたり、多くの薬剤を投与したりすることは望ましくありませんが、私を含めた若手の先生方にメッセージをいただけたらと思います。
自分の診断に対する不安はいつも持ち続けています。目の前にいる患者さんが死ぬとしたら、どんな病気を自分が見逃した場合だろうかと考えることは大切だと思います。若手医師は「検査で大きな異常がなければ重大な疾患はない」という錯覚に陥ることがありますが、致死的疾患である壊死性筋膜炎は最初の検査では大きな異常を示しません。最初の3分間の問診から重要な「キーワード」(「見た目と不一致な、激しい疼痛の訴え」)を見つける努力を地道に続けていくことが、臨床能力の向上には大切だと私は考えています。
⑦質問者 : 研修医一年目 明石
質問内容 : ユニークであるためには研修すればよろしいでしょうか?
全ての医師が研修を行っているわけですから、研修さえ行えばユニークになるということはありません。5年後に、10年後にどのような医師になりたいかという夢を描きながら、コツコツと努力を続けることが大切です。自分の気持ちを大切にして、自分にしか描けない独自の夢を追求してください。
⑧質問者 : 40代nurse
質問内容 : 素晴らしい講演を有難うございました。
ご視聴いただきありがとうございました。高齢社会に直面し、今後ますます多職種連携が重要な時代になります。ナースの皆様とも力を合わせて、一人でも多くの患者さんを幸せにしたいと願っております。
質問内容 : ERでの最初の3分はどうするべきでしょうか?
疾患の重症度によると思います。症状から心筋梗塞やくも膜下出血が想定されるときは、問診はできるだけ短くして確定診断のための検査(心電図や頭部CT)を優先してください。少し余裕があれば、手を握り「辛かったですね」という共感の言葉を述べてから、患者さんの訴えを聞いてあげてください。
② 質問者 : 循環器内科
質問内容 : 重症患者さんの問診はどういうふうにするのですか?
重症では意識レベルの低下や苦痛のため話すことができないケースがあります。その場合は家族や施設職員からの状況聴取、前医からの紹介状、バイタルサインが鑑別診断を考えるために大変参考となります。
③ 質問者 : 研修医一年目 兵庫県
質問内容 : 攻める問診をするためにはきちんとした鑑別診断があると思うのですが、鑑別診断を鍛えるためにはどのように研修を送ればよろしいでしょうか?先生方はどのように鍛えていかれたのでしょうか?
医学書(教科書、診療マニュアル)や医学雑誌(症例をもとに診断推論が展開されている記事)を読んでいると、「キーワード」から数個の鑑別診断が展開されていることに気がつく場合があります。たとえば、「大球性貧血」から想起される疾患には、ビタミンB12/葉酸欠乏、骨髄異形成症候群、アルコール多飲、甲状腺機能低下症、溶血性貧血があります。そのような「キーワード」からの展開をメモし集めておくと診断推論が楽になります。
④ 質問者 :研修医
質問内容 : 既往歴を聴く際にいつもどのような聞き方をすれば良いのか迷います。今までにあるいは現在ご病気はしていますかと聞いてもDMやHTは病気だと思っていない患者さんもいたりして上手く既往歴を拾えないことがありました。上手い問診法をお教えいただければ幸いです。
糖尿病や高血圧は鑑別診断を考えていくうえで非常に重要な疾患なので、私は「糖尿病や高血圧はありませんか」と全ての患者さんに必ず聞くこととしています。鑑別診断を展開していくために必要な疾患は自分から聞くのがよいと思います。
⑤ 質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : SIRS診断をつける意味合いは、予後推定でしょうか。インフルエンザをはじめとする急性ウイルス感染症でもこうしたバイタルサインになることはあると思いますが、白血球計測が必要なのでしょうか。
私はSIRS基準を予後推定ではなく、来院される多くの患者さんの中から敗血症の恐れがある方をスクリーニングするために使っています。ご指摘のように敗血症以外の疾患でもこの基準を満たすことがあるため確定診断には使えません。
10万人以上を対象としたニュージーランドの研究では、重症敗血症の12%はSIRSの基準(4項目中2つ以上)を満たしませんでした(NEJM 2015 Mar17;e-pub)。80%では一つの基準だけ満たし、その多くは白血球数の異常でした。したがって、SIRS基準で全ての敗血症患者を検出することにも限界があります。SIRSの基準を満たしていないけれど臨床状況から敗血症が想定される場合には、(前述の論文結果から推定すれば)白血球数測定はある程度意味があるのかもしれません。
⑥質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 先生は、問診から多くの患者さんの診断をされていますが、その診断が間違っているかもしれないという不安感に襲われることはありませんか。不安を払うために多くの検査をしたり、多くの薬剤を投与したりすることは望ましくありませんが、私を含めた若手の先生方にメッセージをいただけたらと思います。
自分の診断に対する不安はいつも持ち続けています。目の前にいる患者さんが死ぬとしたら、どんな病気を自分が見逃した場合だろうかと考えることは大切だと思います。若手医師は「検査で大きな異常がなければ重大な疾患はない」という錯覚に陥ることがありますが、致死的疾患である壊死性筋膜炎は最初の検査では大きな異常を示しません。最初の3分間の問診から重要な「キーワード」(「見た目と不一致な、激しい疼痛の訴え」)を見つける努力を地道に続けていくことが、臨床能力の向上には大切だと私は考えています。
⑦質問者 : 研修医一年目 明石
質問内容 : ユニークであるためには研修すればよろしいでしょうか?
全ての医師が研修を行っているわけですから、研修さえ行えばユニークになるということはありません。5年後に、10年後にどのような医師になりたいかという夢を描きながら、コツコツと努力を続けることが大切です。自分の気持ちを大切にして、自分にしか描けない独自の夢を追求してください。
⑧質問者 : 40代nurse
質問内容 : 素晴らしい講演を有難うございました。
ご視聴いただきありがとうございました。高齢社会に直面し、今後ますます多職種連携が重要な時代になります。ナースの皆様とも力を合わせて、一人でも多くの患者さんを幸せにしたいと願っております。