今日は大遠征、
茨城県立陶芸美術館
『古陶の譜 中世のやきもの-六古窯とその周辺-』展。
上野から常磐線を特急「フレッシュひたち」で約1時間、
茨城県笠間市。
関東平野を端から端へ移動する。
日立製作所関係者輸送専用と思っていたが、
柏からほぼ満席になった。水戸の偕楽園の梅が見ごろらしい
関東から北に特有の景色として、
「荒れ地」があげられると思う。
耕作放棄地なのか、用途不明の原っぱが多いなかを、
ぐんぐん「ひたち」は走る。
牛久沼、霞ヶ浦をかすめ、
筑波山がうしろに去ったころ、
ようやく「友部駅」に到着。
なにもない北口ロータリーから、
10席ほどの小さな笠間周遊バスで10分、
美術館のある「工芸の丘」に着く。
芝生が広がる起伏のうえに美術館はある。
ほかに周辺の窯元の作品を展示販売する建て物や
県の窯業指導所などが集まる
小山冨士夫が提唱した六古窯、
瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前。
現在までに残るのがこの6つであって、
中世期には需要に応じて各地に多くの窯があり、
それが「その周辺」80数か所。
猿投、渥美、湖西、珠洲はもちろん、
近年研究が進んだ東北地方のもののほか、
岡山の勝間田と亀山、香川の十瓶山の大甕などが出てた。
中世陶器には、古代以来の土師器系、須恵器系と
瓷器系があるというのだが、
須恵器と瓷器の区別がよくわからない。
備前周辺がつくられた12世紀ころをもって
「中世陶器」の成立というのも、
なんだか「中世」ということばに、
とらわれすぎてるような感じがしたのだが、
まだ全部図録を読んでないので……。
その図録がすごいです。
A4より2cmほど幅のある変形サイズ、
クロス貼りの上製本、506ページ、ほぼオールカラー。
うしろ1/3はびっしり研究編で、さらに50ページは英語訳、
ボールケース入り、これでたったの3,000円!
茶器を含めれば人は集まるが、
安土・桃山期まで入れると収拾がつかなくなるし、
とかいろいろ議論があったようです。
さて、展示ですが、
猿投、瀬戸、美濃、常滑、渥美、
このあたりまで、いかにも中世っぽい。
やはり主役は信楽、存在感がちがう。
長珪石のゴツゴツ、大胆に流れる釉、
ガラス越しでも感触が伝わってくる。
そして丹波の赤土部の光沢、
珠洲の粗っぽい肌、素朴な越前、
きわめつけが備前。
と、盛り上げてみようと思ったが、
やはり全体に地味なんかな。
場所も悪いけど、ガラガラだった。
こんなにいい展覧会なのに~。
だらだら書いたのは、
わたしの贔屓やから。
とくに備前が好き。
20年まえに伊部の窯元で買うた湯のみを、
だいじに使い続けてる。
使うほどに味がでる。
『古陶の譜 中世のやきもの-六古窯とその周辺-』展、
そのあと、
愛知県陶磁資料館 4月2日~5月22日
福井県陶芸館 5月28日~7月31日
山口県立萩美術館・浦上記念館 8月13日~9月25日
に巡回の予定だそうです。
滋賀県・MIHO MUSEUMは終了。
時間があれば近くの笠間日動美術館の
『鴨居怜』展も立ち寄られては。
すごいダンディな人です。
わたしは横浜そごうでみました。