Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

フィッシングカレッジにて水圏環境リテラシーを説明しました

2009-06-09 | 水圏環境リテラシープログラム
 フィッシングカレッジにて水圏環境リテラシーの必要性について話す機会を頂いた。

 今回は,はじめて具体的な日本における水圏環境リテラシー(私案)の中身を扱った。第1部では,水圏環境リテラシーとは「海の総合的理解」を示している。リテラシー教育では海が私たちにどのような影響を与えているのか,私たちは海にどのような影響を与えているのかを理解し,責任ある行動が出来る人材育成を目指している事を説明した。

 その後,参加者に6名ずつのグループに分かれて,水圏環境リテラシーは日本人に必要か,というグループディスカッションを実施していだいた。まず,大人の意見として,リテラシーという言葉がわからない,なぜ英語を使うのかというご意見,このような難しい語句を並べられても分からないという意見もいただいた。

 小中学校に海の教育がないということに関しても,疑問の声が上がった。日本人はfish eater であるにもかかわらず,海のことを知らないのは無責任ではないか。魚を食べるのなら,水圏環境のリテラシーを持つことは社会的な責任だ,というご意見も頂戴した。

 水圏環境リテラシー教育は必要であるという意見がほとんどであった。そして高校生からは体系的な教育プログラムがあると水圏環境リテラシーは高まる。ぜひ,水圏環境リテラシーを小中高の学校教育に導入して欲しい。その際,体験と知識を上手く組み合わせることが重要であるとする意見が3人の生徒からあがった。その理由は,我々は,水辺での体験がないからだ,ぜひ知識とともにそれと連動した体験を入れて欲しいということであった。

 そして,第2部として,水圏環境リテラシーをどのようにして普及するか,というテーマで話を進めた。ここで,昨年,閉伊川大学校で作成したワカサギとチカのプログラムのアクティビティを実施しながら,ラーニングサイクルの重要性について強調した。多くの参加者がアクティビティに真剣に取り組んでいた。プログラム終了後,ラーニングサイクルの歴史,その重要性について説明した。水圏環境リテラシーの普及は,ラーニングサイクルを元にした全国各地でのプログラム作成が大変重要であるということも説明した。

 参加者の方々からは,水圏環境リテラシーの難しい語句が並んだものでは理解できないが,そのリテラシーを具体的に推進するラーニングサイクルについて多くの賛同のご意見を頂いた。社会人としても,ぜひ水圏環境リテラシーのリーダー養成プログラムを受講したいがどうしたらいいかという質問や,民間企業の方からも海洋大学の実施しているリテラシー教育と繋がりながら社会還元を実施したいという意見を頂戴した。

 最後に,フィッシングカレッジということで,釣りの探究活動としての可能性についてお話しをした。釣りはリテラシー教育にとって大変重要なツールである。これからは,参加者皆さんによってラーニングサイクルに基づいた釣りの探究学習が実施されることを願っていると期待を込め,カレッジを終了した。

 多くの方から賛同の意見を頂き,中にはシーグラントのような組織を日本に作るべきである,なぜ日本にないのかという積極的な意見を頂戴した。そして,体験が少ない知識偏重の教育に皆さんが疑問を抱いていることもわかった。特に,海というフィールドは体験教育が必須項目である。これまで体験と知識が上手く結びついていなかったのである。ラーニングサイクルに基づいた水圏環境リテラシー教育普及の重要性を改めて認識した次第である。