Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

水産教育に関わる3つの疑問

2010-02-25 | 水圏環境リテラシープログラム
1 水産の明確な定義は何か?
2 水産教育は誰を対象としているのか?
3 水産教育は水産業とどうか変わるのか?

1 水産の定義とは,どのようなものであろうか?
 水産とは,海洋・河川・湖沼など水中に産すること,またその魚介,海藻等(広辞苑)とされている。水産業となると,幅が広くなり,水産動植物の漁獲,採取,養殖,加工に関する産業となる。

 私は,この水産の意味に疑問を感じている。果たして,水産というのは水中に産することだけでとどめていいものであろうか?また,水産業も加工で止めていいのだろうか?この水産の意味からは,日本人が永い年月をかけて培ってきた生業としての水産が見えてこない。本来の水産は,それぞれの地域社会の中で営まれてきたものである。確かに,水産は「水中に産するもの」であるが,水中に産するものを人間が利用することによって初めて魚介,海藻という認識が生じる。

  一方,一般的に水産の訳語とされるfishery(リーダーズ英和辞典)は,オックスフォード英英辞典ではthe occupation or industry of catching or rearing fish(Oxford dictionary of english)とされている。

 この訳語から考えると,水産はFisheryと同義語として訳していいのか?という疑問が生じる。水産は単なる仕事や産業という意味合いのものではない,西洋的な発想では理解できない別の意味も含んでいる。

 また,近年,水産・海洋という言葉が使われるようになった。水産・海洋とはどのような意味なのであろうか?水産と海洋の意味合いの違いは何であろうか?水産の定義付けの議論なしに新しい語句を並べても混乱を生じるだけである。

 ここでしっかりとした水産の定義付けを行う必要がある。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。