Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

都道府県別18歳人口に対する大学入学定員の割合(2017年度)

2021-02-09 | コロナ対策

都道府県別18歳人口に対する大学入学定員の割合について,入学定員に最大で10の差が存在している。10人のうち一人は大学生に出会う町と,100人に一人では社会貢献度の違いがある。大学には,国からの予算が多く投じられる。地元住民が所得の再分配による国家予算を拒否する理由はないはずだ。しかし,自然環境と人びとの生活のバランスを考えたときに,新しい取り組みを拒む人びとも存在する。学問の発展がバランスを崩す要因になったことは事実だ。

http://www.crepe.e.u-tokyo.ac.jp/material/uil2.html


なぜ芭蕉はみちのくを目指したのか

2021-01-17 | コロナ対策

江戸深川にある芭蕉の庵をたずねて 

コロナ禍中,特に東京都民はできるだけ都外に出ないよう奨励されている。私も,今年度はできるだけ地元を離れず粛々と生活をするように心がけた。しかしながら,動物である。動物の宿命は動いてなんぼの世界。植物はその場に腰を下ろして何千年とじっとこらえて恵みをもたらす。ブナやナラの大木が動き回ったら大変である。また,動物が動かなくなったらこれも大変だ。動き回るようにできている。

どうしても動きたい。近所の深川周辺を探索した。深川で生活し10年目を迎えるが意外にも知らないことがたくさんある。一番実感することは,江戸時代文化人が多く住んでいたことだ。日本の国土の地図を作成した伊能忠敬,読本(よみほん)作家の滝沢馬琴,樺太が陸続きでないことを発見した間宮林蔵,吉田松陰をはじめ橋本左内、坂本龍馬など幕末の志士たちに影響を与えた佐久間象山,そして奥の細道を書き表した松尾芭蕉。

山形県出身の作家藤沢周平も深川の魅力について次のように語っている。深川の魅力は,「その土地を縦横に走る掘割である。」とした上で、「町を縫う水路、物をはこび、人をはこぶ舟の行き来は、深川の町々に水辺の町といった一種独特の風情をつけ加えていたに違いない。春の草花が咲き茨の蔓がはう岸辺には、柳なども植えられたかも知れず、河岸の荷揚げ場や、船宿の舟着き場はしじゅうにぎわい、そのそばを時には燕が飛びすぎたろうし、また油堀の一直線の水路は、日暮れには江戸の町の向こうに落ちる日に赤々と染まったかもしれない。」(『深川江戸散歩』所収)

深川は,隅田川の河口にあり,江戸城の東側,今の江東区の門前仲町駅周辺である。それ以前,隅田川は暴れ川で洪水が多く発生していた。徳川家康の命を受け,徳川家四代にわたる大事業「利根川東遷事業」にょって発達した街である。当時,交通手段として船が発達しており町民にとって暮らしやすい場所であり,風情のある場所だったのだろう。そうした自由でのびのびとした空間の中に,自然と文化が創造されたのは想像に難くない。文化は,時自由な空間の中での探究によって生まれる。


「国連海洋科学の10年」のスタートの年を迎えて

2021-01-05 | コロナ対策

新年あけましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い致します。        

 この一年,COVID-19で私達の生活は,多くの制限を強いられました。重苦しい雰囲気の中で,私は多くの人々に励まされている自分がいることに気づきました。絆の重要性を実感した1年でした。絆は,私達人類にとって自分の命と同様にかけがえのない大切なものです。絆があるからこそ,命の尊さを解かり合えるのです。

 絆は,人間と人間の関係だけではありません。人間と自然との関わりも同様です。人間と自然は相互作用があることを理解しケアすることが,命を守ることにつながります。津波被災地である岩手県三陸沿岸の人々は古来,自然と人間との関わりを大事に生きてきました。人間は自然の一部であるという概念です。津波地震が多い地域に住む人々は,度重なる災害があっても,自然を大切に思い自然とともに生きることを糧として生き続けています。

 反対に,人間と自然との相互作用を無視することは,シリアスな損害を被ることになりかねません。特に,地球上の7割を占める海の存在は無視できません。IPCCによりますと,海水温の上昇がこのまま続けば,今まで100年に一度起きていた大災害が1年に一度の頻度で発生すると予測しています。その予測どおり,世界中で巨大台風,干ばつ,大雨,大雪が頻発しています。もう一度,私達は,人類と海洋との相互作用について十分に理解した上で,何をすればよいのか真剣に考えて決断し行動する必要があります。

 こうした中,2017年ユネスコ政府間海洋科学委員会(IOC-UNESCO)は,地球規模の海洋環境問題の解決を図るためには,専門的な研究だけはいけない。世界のすべての人々とともに海洋科学の成果を共有することが必要であると結論に達しました。その声を受け,国連は本年2021年~2030年を海洋科学の10年と定めました。これに呼応し,IOC-UNESCOは,世界各国で海洋リテラシー教育を実施すると発表しました。海と人間との相互作用に関する海洋リテラシー教育の国際的なネットワークが求められています。

 幸いにも,日本のユネスコ国内委員会は12月11日の講演会で2021年から全国で海洋教育を実施すると発表しました。海洋基本法第28条に海洋教育の推進が明記されていますが,文部科学省が率先して海洋教育を推進するとした発表はこれまでありませんでした。全国各地の数多くの海洋教育の取り組みを,公共政策として後押しすれば,ユネスコ海洋リテラシー教育の世界的な規範として貢献することができるでしょう。

 5月には,ドイツ教育研究省がホストとなって国連「海洋科学の10年」のキックオフミーティングが開催されます。世界各国の海洋リテラシー教育の取組方針に期待がかかります。同じ東アジアの中国,韓国,台湾の海洋教育の取り組みは眼を見張るものがあります。日本政府には,日本の取り組み方針を堂々と紹介していただきたいと思います。

https://www.oceandecadeheritage.org/event/kick-off-conference-2021-un-decade-of-ocean-science-for-sustainable-development/

 人類の未来にとって大切なスタートの年となります。多くの皆様のご支援をご協力を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年1月1日 @岩手県大槌町にて

アジア海洋教育学会,水圏環境教育研究会

東京海洋大学水圏環境教育学研究室 

(佐々木 剛) 

#oceandecade #oceanliteracy #ForestRiverOcean #JAMEE #TUMSAT参考文献 ユネスコ海洋リテラシー教育における日本の果たすべき役割 (https://ippjapan.org/archives/4924 )

 

 

Happy new year. Thank you very much for your help last year. We are celebrating the start of the United Nations Decade of Marine Science. I look forward to working with you this year as well.
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Celebrating the start year of "The United Nations Decade of Marine Science"
Over the past year, COVID-19 has imposed many restrictions on our lives. In a heavy atmosphere, I realized that I was encouraged by many people. It was a year when I realized the importance of ties. Ties are as irreplaceable and important to us as our lives. It is because of the ties that we can understand the preciousness of life.
Ties are not limited to human-to-human relationships. The same is true of the relationship between humans and nature. Understanding and caring for the interaction between humans and nature can save lives. Since ancient times, people along the Sanriku coast of Iwate prefecture, which is a tsunami-stricken area, have lived cherishing the relationship between nature and humans. The concept is that humans are part of nature. People living in areas where there are many tsunami earthquakes continue to live on the basis of cherishing nature and living with it, even in the face of repeated disasters.
On the contrary, ignoring the interaction between humans and nature can result in serious damage. In particular, the existence of the sea, which occupies 70% of the earth, cannot be ignored. According to the IPCC, if the seawater temperature continues to rise, catastrophes that have occurred once every 100 years will occur once a year. As expected, huge typhoons, droughts, heavy rains, and heavy snow are occurring all over the world. Once again, we need to fully understand the interaction of mankind with the ocean, and then seriously consider, decide and act on what to do.
Under these circumstances, the 2017 UNESCO Intergovernmental Ocean Science Committee (IOC-UNESCO) should not only carry out specialized research in order to solve global marine environmental problems. We have come to the conclusion that it is necessary to share the achievements of marine science with all the people of the world.
In response to that voice, the United Nations has designated 2021 to 2030 as the 10th year of marine science. In response to this, IOC-UNESCO announced that it will implement marine literacy education around the world. There is a need for an international network of marine literacy education on the interaction of the ocean with humans.
Fortunately, the Japanese National Commission for UNESCO announced at a lecture on December 11 that it will implement marine education nationwide from 2021. Article 28 of the Basic Law on the Ocean clearly states the promotion of marine education, but there has been no announcement that the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) will take the initiative in promoting marine education. If Japan's MEXT supports a number of marine education efforts across the country as a public policy, it could contribute as a global norm for UNESCO marine literacy education.
In May, a kick-off meeting of the United Nations "10 Years of Oceanology" will be held hosted by the German Ministry of Education and Research. Expectations are high for the policies of marine literacy education around the world. The efforts of marine education in China, South Korea, and Taiwan in the same East Asia are remarkable. I would like the Government of Japan to openly introduce Japan's approach policy.
It will be an important start year for the future of humankind. We look forward to the support and cooperation of many people.
January 1, 2021 @ at Otsuchi Town, Iwate Prefecture
Asia Marine Educators Association, Japan Aquatic Marine Environmental Education Association,
Tokyo University of Marine Science and Technology,
Laboratory of Aquatic Marine Environmental Education
Tsuyoshi Sasaki
References: Japan's role in UNESCO Ocean Literacy education (https://ippjapan.org/archives/4924)
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