及川 均 Logbook

フォトグラファー及川によるblogです。

X4のシンクロについて

2011年09月12日 | 写真のお勉強
自分もそうですが、ゲストにも露出モードをM(マニュアル)にして、ストロボもマニュアルで調光することをオススメしております。

理由は、ストロボ光が当たる被写体の明るさと、ストロボ光が当たらない背景の明るさを別々にコントロールでき、自分の好みの写真が撮れるからです。

また、TTL自動調光などを使うと(デジタルカメラなら)必ずプレ発光が必要になり、臆病な生物などはプレ発光に驚いて動いてしまい、本発光(シャッター)の時には思い通りの構図にならないこともあるという問題も実感しているからです。

ただ、多くのコンデジでは露出モードをMにできないので、その場合はTTLにせざるを得ないのですが、Canon S90やS95などは露出モードにMがあり、絞りもシャッタースピードも任意の数値が使えるので、S90が出た時には迷わず購入した次第です。



デジイチの場合はどんな機種でも露出モードにMがあるので気にしていなかったのですが、先日Canon EOS X4のゲストと潜った時に非常に気になったことがあり、本日メーカーに問い合わせてスッキリしたので忘れないうちに文書に残しておこうと思います。

ので、ここから下はかなり面倒な事が書いてありますから興味のない方は読まなくてもいいでしょう。






私はデジイチの場合も露出モードをM、ストロボ調光(明るさ)もマニュアルで撮るように指導していますが、まずその方法を説明します。

露出モードは当然Mにします。

そうすると絞りもシャッタースピードも任意の値を使用することができ、写真の明るさを自分で決定することになります。(M以外のモードは全てオートなので、写真の明るさはカメラが決定します)

多くの(水中写真の)場合、このままだとほぼ真っ暗な写真になるのですが、ここにストロボ光を足すことで好みの明るさの写真にします。

この時、ストロボをTTLにすると自動的に適正な発光量をカメラとストロボが決定してくれるので、ある程度良い感じの明るさで撮影が可能になります。

しかし、それはあくまでもカメラとストロボが決めた明るさであり、その明るさが撮影者の好みと異なる場合に撮影者の意図を写真に反映させるのが難しいのです。(基本的にオートなので)

そこで、及川的にはさらにストロボの強さもマニュアルで自分の任意の明るさにして、全て自分の好みの明るさに仕上げるようにしていただいております。




ここで、ストロボの設定に問題が生じてきます。




TTL自動調光にしている場合、既述のように必ずプレ発光が必要になるのですが、このプレ発光で被写体が逃げてしまっては意味がないので、どうせマニュアルで発光させるのですから、プレ発光なしでいきなり本発光で撮影したいというワケです。

そのために必要なのはカメラの設定とストロボの設定を合わせること。




ここがかなり問題なのです。




まず、私が使っているニコンのデジイチ&SEA&SEAのストロボの場合

カメラの内蔵ストロボをMにして最小発光量にする。これでプレ発光なしで一発発光になります。(最小発光量にする理由は、内蔵ストロボは外部ストロボを発光させるためだけに使用しているので、無意味にハウジング内で強く光らせる必要はないため)

次に外部ストロボ側のシンクロモードをプレ発光非対応にする。(多くのストロボはプレ発光対応モードがありますが、今の場合プレ発光には何の意味もないどころか生物に逃げられる恐れがあるので必要ない)

このようにカメラ側、ストロボ側の設定を同じくすることでシャッターとストロボ発光のタイミングが合う(シンクロする)。


また、実はカメラのストロボ発光モードの中にはTTLモードも存在するので、この場合は(当然プレ発光するが)ストロボ側も(プレ発光対応)TTLにすることでストロボの強さは自動的に調節してくれます。


ちなみに、INONのD2000およびS2000の場合、プレ発光非対応にさせる場合、ストロボの背面にマグネットを埋め込む必要があり、水中でのM/TTLの切り替えは不可能になります。(INONのZ240、SEA&SEAのYS-110αなどは水中でも切り替えが可能)


というのが、私の使っているニコンのデジイチの設定の組み合わせです。




次にS90の場合

露出モードをMにするとストロボも勝手にマニュアル調光になってしまうのです。

つまり、プレ発光しない。

これはごく当たり前の考えでしょう。

だって、露出モードをMにしたい人は当然ストロボだってマニュアル調光したいハズだから。

このため、S90で外部ストロボをマニュアル調光したいのなら、ストロボ側をプレ発光非対応にする必要があり、D2000やS2000を使用している人はマグネットが必要になります。(しかも水中でのM/TTLの切り替えができなくなる)

当然私もストロボはマニュアル調光で使用しております。(基本的にデジイチだからとかコンデジだからという差はありません)

まあ、S90やS95をD2000やS2000と組み合わせて使っている人は水中での(M/TTL)切り替えができなくなるので、悩みどころでしょう。





さて、ここからが本題です。


先日のX4のゲスト(二人いました)にも当然のことながら露出モードをMにしてストロボ調光もマニュアルでプレ発光非対応にしてもらったのですが・・・




なぜかシンクロしません。




既述の考え通りなら、これで上手くいくハズなのに何度やっても同調しないのです。




で、ストロボをプレ発光対応にすると上手くいくのです。




???になりますよね。

どう考えても内蔵ストロボがプレ発光しているとしか考えられないのです。




結局最後までわからずにプレ発光対応モードのまま撮影はできたのですが、どうしても腑に落ちずにメーカーに聞きました。



すると、「X4は露出モードをマニュアルにしてもストロボはプレ発光してTTL自動調光をする。(他の設定はできない)」


だそうです。(私の想像通りでした)



つまり、露出モードをMにして、絞り・シャッタースピードを任意に決めて、ワザと暗い写真を撮りたい場合でも、内蔵ストロボを使う限り、ストロボが自動的に調光して結局適正露出になるということです。


コレって、本当にマニュアル露出と言えるのでしょうか?





ちなみに、ニコンのデジイチの場合は露出モードがMの場合、当然ストロボの発光量を任意に決められる(マニュアル調光)ができ、その上X4と同様にTTLも使えます。


S90の場合はTTLは使えないけど、マニュアル調光が可能になります。


さらに、以前に使っていたオリンパスのSP-350もマニュアル調光もできTTLも使えます。




なのに、ナゼ最新機種に近いX4ではマニュアル調光ができないのでしょうか?



一応、今回のゲストにやってもらったように外部ストロボをプレ発光対応にすることで、外見上はマニュアル調光が可能ですが、ハウジングの中ではストロボは無駄に光りまくっていることになります。

まあ、これでも外部ストロボのプレ発光はなくなり私の理想とする撮影方法にはなりますが、バッテリーの無駄使いのような気がするのと、天下のキャノン様が(自社のコンデジではやっているのに)そんなこともできないのか?と思ってしまいます。

他機種についても確認したのですが、マニュアル調光とTTLの両方が使える(ニコンと同じ)のが7Dと60Dで、50DはX4と同じだそうです・・・


従いまして、X4および50Dのユーザーはストロボをマニュアル調光する場合、外部ストロボのシンクロモードを「プレ発光対応」にしなければならないという結論に達しました。

D2000およびS2000と組み合わせて使っている方はマグネットの取扱に注意する必要がありますね。



いや~、個人的にですがなかなか勉強になりました。

これでキャノンデジイチユーザーにさらに細かいアドバイスができそうです。