うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

ギリシア神話....(C86)

2008年08月06日 11時08分16秒 | 新・星座物語
星座を最初に整備したのは
ギリシア時代の天文学者プトレマイオス・クラディオスだ。
メソポタミア文明に端を発する星空の“絵”は、
オリエント各地を経巡り、プトレマイオスの大天文学書アルマゲストに
星図が記載された際、48の星座絵として登場する。AD150年ころだ。
それが現代の88星座の基本になっている。
プトレマイオスが星座絵を整備したとき、彼らの神話と重ねて物語を抱いて登場した。
ギリシャ神話である。
ギリシア神話は膨大なボリュームなので、星座には一部が重ね合わされているに過ぎないが、
星座神話には、その中のかなりすばらしいエッセンスが活かされて(採用されて)いるようだ。
神話だから主役は神々、そして数多くの人間(王様も人民も)が背景に存在する。
そして、神話の底流に流れるのは永遠のテーマ“愛”と“死”だ。
神々は“不死”である。神々の血を受けて生まれ、生きる子も不死である。
不死であるが故に多くの半神半人は苦しむ。
いて座のケイローン先生しかり、ふたご座の弟ポルックスしかり。
いずれの“人”も、大神ゼウスに不死の力を抜き取ってもらって、
無事死ぬことができるのだが、そこから見えてくることは、死の貴重さである。
限りある命の大切さである。限りある命だからこそ人は懸命に愛し合うのではないか。
そうしてみると、ギリシア神話の主役は、やはり人間なのだろう。
神々の気まぐれや英雄の大活躍がエピソードに彩りを添えるが、“愛”と“死”がテーマなら
やはり“人”が主役。大空の星々は、結局“人々の夢”なのである。

画像はNASA、ギリシアの遺跡に昇る満月。

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