史跡散歩．．「立木仏」．．(b5)

また、防府市桑山だが、北側墓地の一角に、木喰上人の作と伝えられる立木観音がある。
画像の通りだが、観音様らしいことはわかる。かなり傷みが激しく、木喰上人の作かどうかまでは判然としない。
木喰上人は、長州が居心地良かったか、かなり長いこと滞在されて、各地に仏を残していらっしゃる。
私の記憶にあるだけで、大島町、美祢市、萩市、山口市、福栄村だが、もっとあるかもしれない。
ご存じの方は教えてほしい。
その内、立木に彫られた仏像は、私の訪ねた限りで、防府市桑山(銀杏)と、山口市大内御堀(楠)、福栄村(栢)の３体である。
防府も山口も傷みが激しいが、まだ山口の方が木喰さんらしさが残っているように思った。福栄村のものは、これは確かなものだ。お寺の中にも作がある。
立木仏はおもしろい。立木は動かないから、立木仏は作られた当時からそこにあるわけで、生々しい感じがするのがいい。そして、樹は自らの傷を修復しつつ活きているので、像の傷みの進行も早いようで、その点もなまなましい。
樹も像も相克の中で生きているのだ。
いつか、山口市と福江村の立木仏の画も紹介しよう。

木喰仏といえば、萩市木間(こま)の山林の中に、朽ち果てたようなお堂があり、
その中に木喰仏が転がるように安置されているのを見たことがある。
歯を出して笑っていらっしゃる如意輪観音様だったが、曲げた腕の色っぽさに ドキッとした記憶がある。
小島功さんの描く女性の腕だった、と言えば、解って頂けるだろうか。
もったいなくも、思わずそっと撫でさすってしまった。
人知れず、密かに、こういう仏像に会えるのは至福ですぞ。
ちょっと変？