宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

田口ランディ(1959-)『座禅ガール』祥伝社、2004年:テーマは「いじめ」、および女性の「美人性」の問題

2017-11-01 13:01:42 | Weblog
(0)
松下りん子は、スゴイ美人。33歳。
ひょんなことから、りん子が、私(よう子)の家の居候となった。
(1)
美人のりん子は、弁当屋「ほんわかキッチン」でバイトをしていた。
ヨットマンの彼氏ができる。りん子は幸せだった。しかし彼は仙台に転勤になった。
りん子は淋しかった。彼が、憎かった。
(2)
アイリーン浄蓮は、アメリカ人で、70代の座禅の先生。
「座禅には目的がない」と言う。「ただ座る。」
また「他者だけが、私が何者かを教える。自分で考えても無意味。」と言う。
アイリーンは、かつてキャリアウーマンとして頑張っていたが、40歳代前半、過労で倒れ、夫とも離婚。
その時、座禅に出会う。
(3)
りん子に、新たにDVDの店に勤める若い彼氏ができる。「ふたまた」の恋愛。
仙台の彼氏からの連絡が少なく、りん子は淋しかった。
(4)
2011年、東日本大震災のとき、仙台の彼から「大丈夫?」との電話が、りん子に来たきり、以後、彼は消息不明。
(5)
私(40歳代後半、作家、よう子)には、妹がいたが、母の60歳の誕生日に自殺した。
妹は、私より美人だった。
女は、美しく見られたい。
(6)
りん子は、つながらない電話で、しばしば、仙台の幻の彼と、話していた。
りん子は、遠くへ行ってしまいそうな目。つまらなそうな顔。
お金がなく、家賃滞納のまま、アパートを出てしまった。今は、ホームレス状態。
対人恐怖症。
(7)
私は、50歳位の彼(妻と死別)と、恋仲になりそうになったが、彼は20歳年下の美人と再婚した。
私は「うぬぼれ鏡」を見ていた。
女としての人生が終わった。
(8)
りん子が整形していたとわかり、弁当屋で、気まずくなり、バイトをやめる。
彼女は、美人の「顔面体」で、体をかたに、男から食事を得て暮らした。
(9)
りん子が、私の紹介で、アイリーンさんの座禅の会に参加した。
アイリーンさんが、りん子に言った。
「本当のあなたは、光の存在だ。」
座禅とは、「人間として生きることをやめ、旅に出ることだ。」
そして自分の心(感情・欲望)の「観察者」となる。
(10)
りん子は、母とそっくりで、ひどい「不細工」な顔だった。
すでに4-5歳の時から、「出っ歯」が「うつる」と、仲間はずれされた。
小学校では「あしゅら」といじめられた。さらに「ウサギ」を殺したと、濡れ衣をきせられた。
皮膚が弱く、また股関節が、すぐ脱臼した。
母も同じ顔だった。父親はなく、母子家庭だった。
(11)
私(=よう子)は、「欲望から起こる因果の連鎖」(カルマ)に囚われ、欲望社会に生きる。
座禅は、「言葉の世界から抜ける」こと。
座禅は、「夢の中で、覚めている」こと。観察者!
考えや、感情に、実体はない。
ただし作家は、考えが湧かなくなったら、オマンマの食い上げ。
(12)
りん子は、《醜い人を集めて、整形手術をし、美人に変身させるテレビ番組》に出て、整形手術をしてもらい、今の美人の顔になった。
りん子は、座禅の先生のアイリーンさんの前で、蛙のようにゲロゲロ鳴きわめいて、すべてを話し、アイリーンさんは聞いてくれた。
アイリーンさんには、殺人鬼アングリマーラを改心させた仏陀のような「存在の静けさ」があった。
(13)
りん子は、NYのアイリーンのもとに、助手として行くことになる。
「あの子は、素直でいい子だわ。」とアイリーン。
りん子は「不思議ちゃんだった」と、座禅会のみんなが言った。
かくて“座禅ガール”が生れた。

《感想1》
顔が「ひどく」、「出っ歯」、腫れぼったい一重まぶた、「鼻ぺちゃ」の女の子(りん子)の話。
彼女が、整形手術で、理想的な美人顔になる。
美人の「顔面体」に支配された精神!
彼女は、座禅と出会い、自分に素直に向かい合った。
アメリカの女の座禅の先生(70歳、アイリーン)の助手として、りん子は、アメリカにわたる。
(座禅中は「呼吸に意識を集中する。」)
《感想2》
テーマは、いじめ、および女性の「美人性」の問題。
りん子さんが、いじめの過去(トラウマ)から解放されて、よかった。
アメリカの方が、日本より、《狭い鶏小屋》的いじめの状況が少なく、りん子さんにはよいだろう。
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