宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻3」(29)「バッコスとペンテウス」:テーバイ王ペンテウスが、テーバイにやって来たバッコスという新しい神を非難する!

2022-01-15 11:30:00 | Weblog
(1)ナルキッソスの運命についてのテイレシアスの予言は実証された!(122頁)
水に住む妖精(ニンフ)レイリオペが河神ケピソスに乱暴されて産んだ可愛らしい男の子ナルキッソスの運命を、テイレシアスが予言した。「この子が老年まで生きながらえることができるでしょうか」と尋ねたレイリオペに、テイレシアスが答えた。「『みずからを知らないでいれば』老年まで生きながらえる。」予言者のこの言葉は、ナルキッソスの死にざまと不思議な狂乱において、実証された。

(2)予言者テイレシアスが、ペンテウスの運命について予言した!(122頁)
だが「エキオンの子ペンテウス」(テーバイ王、カドモスの孫)だけは、老預言者テイレシアスをあざ笑った。テイレシアスがペンテウスに向かって、その運命について予言した。「セメレの息子のバッコス(ディオニソス)という新しい神が、じきに、ここテーバイへやって来る。この神にあなた(ペンテウス)は、神殿を建てて敬意をあらわすことをしないので、あなたは八つ裂きにされ、四方八方にばらまかれるだろう。」

《参考1》「エキオン」は、カドモスが倒した蛇の歯をから生まれた戦士たちの一人でテーバイの建国に協力した。エキオンはテーバイ王カドモスの娘アガウエーを妻とし、ペンテウスをもうけた。ペンテウス(カドモスの孫)はテーバイ王となる。
《参考2》バッコス(ディオニソス)は、大神ユピテルとセメレの子。ユピテルの子を宿したセメレは、ユノーの嫉妬により、ユピテルの天の雷火で焼け死んだ。バッコスは、母親の胎内から救い出され、父親ユピテルの太腿に縫い込まれて、そこから生まれ出た。母親セメレの妹イノーが、バッコスをこっそりとゆりかごで育てた。そのあと預けられたニュサの妖精(ニンフ)たちがバッコスを養った。

(3)テーバイ王ペンテウスが、テーバイにやって来たバッコスという新しい神を非難する!(122-124頁)
バッコスが、テーバイにやって来た。信者たちの叫びが、田野にとどろきわたる。群衆が殺到する。男たちをまじえた老若の女たちが、貴賤をとわず、新しい祭儀へと馳せ集まる。ペンテウスが叫ぶ。「打ち鳴らされるシンバル、曲がった角(ツノ)の笛、それにごまかしのあの魔術が、そんなにも大きな力を持っているのか?」「いくさの剣に恐怖を覚えることのなかった男たちが、女の叫びや、酒による狂気、みだらな群衆や、うつろな太鼓などに打ち負かされるとは?」

(4)ペンテウスが「バッコスを鎖につなぎ、ここに連れて来い」と従者たちに命じた!(124-125頁)
テーバイ王ペンテウスが従者たちに命じる。「行って、首領とやら(※バッコス)を鎖につなぎ、ここに連れて来い!ぐずぐずしてはならないぞ!」今、テーバイは「素手の少年」に奪われようとしている。「香油に濡れた髪、やわらかな花冠、緋の色と、鮮やかな衣装に縫い付けられた黄金」がテーバイを奪おうとしている。「彼奴(キヤツ)めが言いふらしている父親(※ユピテル)は借り物で、祭りも贋物(ニセモノ)だ!」祖父カドモス、カドモスの娘婿アタマス、その他一族の多数がペンテウスを思いとどまらせようとしたが、無駄だった。


★ニコラ・プッサン「バッカスの勝利」(1635-1636)ネルソン・アトキンス美術館
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