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へんたい みやけ さんの仮想世界? 理想郷

「あなたに不利な証拠として」 ローリー・リン・ドラモンド

2011-08-21 | 本と雑誌
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早川書房(ハヤカワ・ミステリ) 308ページ 1300円+税
アメリカの女性警官 5人を主人公にした10篇の短編集。それぞれの話が行きつ戻りつお互いに絡み合って女性警官の仕事と生活を描いていく。
警官が犯してしまった殺人、親に虐待される幼友達、同じく警官であった夫の殉職、警官の父親に抱いた殺意、傷害レイプ未遂事件なのか自作自演なのかが分からない女性、交通事故にて脳味噌が飛び散った運転者などの事件を軸として、そこに働く女性警官の悩み、悦びがこれまでにはなかった観点から描かれています。

なるほど、訳者のあとがきによると作者は警官としての勤務、交通事故で辞職後に本作を12年かけてまとめたとのこと。最初の1篇目から登場した、警官の装備についての課題の臨場感はこの実体験に基づいているのですね。
15ポンドのガンベルト
ホルスターと拳銃
携帯無線機
乾電池を4~6本入れる懐中電灯
キーホルダー
手錠
防弾チョッキ
警察バッジ
これだけの装備を身につけて、女性警官が逃走する犯人を追うことの大変さ。拳銃が腰骨あたりにこすれて、消えることのない黄色くなった痣ができる。走ると防弾チョッキがずり上がって、首筋の皮膚が破れてしまう。トイレに行くと、男性の数倍の時間がかかる。
このようなエピソードを積み上げて、その上に女性警官達の心を描いています。

推理小説、警察小説を期待していましたが、全く別物。しかし、これは面白かった。
短編の最後の9、10作目だけが、分量はあるのですが内容が薄く別の作者の作品かと思うほど。警官時代のエピソードなどの情報が枯渇して、苦しんでいるのでしょうか。これとあいまって、文章がこなれていなくなっています。こちらは訳者の課題かもしれませんが、この2篇だけはいただけませんでした。

フレッシュな今までにない切り口から描かれた短編小説集です。お薦めします。


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