数日前にツイッターで米トランプが
シリアから米軍を無条件ですぐに撤退させる
と述べ、すぐに米ボルトンが中東を訪問して
シリアから米軍を有条件で時間をかけて撤退
と述べました。ボルトンの
トランプ支持には今のところ変わりがなさそうですが、トランプ発言の訂正と見られます。いつもの「無知に基づくその場しのぎ」でしょうか。
トランプは、会見してもフェイク・ニュース(米メディア)が誤って伝える、として直接ツイッターで述べるのを増やしたのですが、そのツイッターに多くの前言訂正があり、しかも訂正しないところなど独裁者(習近平・プーチン)なみですね。
それでなくても自分自身がフェイク・ニュース発信者であるのに米メディアをフェイク・ニュースだと断定するところなど「いとをかし」。
もし無知でなければボルトンを派遣するはずがないし、若い男女兵士の帰還を歌いあげるはずがないのです。
ただしトランプは、状況によれば「自分とはあわない」としてボルトンを解任するかも知れませんね(笑)。すでにトランプをさとす人がいないのに、この上さらに強行派のボルトンまでいなくなればもうこの国はお手上げで、まるで「闇に包まれた中国かロシア」そっくりです。
念のため
2018年末までに辞めた主要側近は以下の通りです。このほかにも一杯いますが、多すぎるので略します(笑)。
- 補佐官 ケリー
- 司法長官 セッションズ
- 国防長官 マティス
- 国務長官 ティラーソン
- 国連大使 ヘイリー
- 広報官 サンダーズ
次の辞任解任候補者(あくまでも予言ですが・・・)
ボルトン安全保障担当補佐官、ポンペオ米国務長官
やってられないと投げ出す恐れがあります(笑)。
その米軍撤退条件の中に
「トルコがシリアでクルド人を攻撃しない」ことが入っており、トルコのエルドアンが反発しております(下記で引用)。
そもそもクルド人は
勝手に国境を引かれてしまったため、複数の国(シリア・イラク・トルコ・イランなど)にわかれて住んでいます。
トルコは国内でも長くクルド人を敵視していて、国外のシリアでもトルコはクルド人を攻撃してきました。
米軍から支援されているクルド人が言っています。「もし米軍が撤退するなら、我々は米軍が敵視していたシリア政府につく」。これはクルド人が、シリアでISから攻撃されていて、トルコでも迫害されているので、米軍が撤退すれば「もう反ISのシリア政府につくしかない」という叫び声かも知れません。
とは言え私は「クルド人シンパ」ではないので「ご安心を」(大笑)。
ボルトンがこれに応えて「クルド人の安全を保障」という条件を出し、これにトルコが反発したわけです。あっちを立てればこっちが立たないと、これもアメリカが事情も知らずに介入したからです。
トルコ大統領、米補佐官を批判 シリアのクルド人勢力巡る発言で:ロイター 2019年1月9日
先月〔2018/12 トランプ〕大統領は、シリアから米軍を撤退させると発表し懸念の声が上がりました。論議が続く中、国防長官〔マティス〕とIS戦略の責任者〔マガーク〕が発表に抗議して辞任しました。それ以来、大統領とその周辺は、撤退を一旦延期したようで、補佐官らは延期が数ヶ月あるいはそれ以上になる可能性を示唆しました。:米PBS NHKBS1 2019/01/07
確か私の記憶しているところでは
2018/12/14にトランプがエルドアンとの電話会談で「シリアから米軍が撤退する」と表明し2018/12/19正式に発表しました。
その後、中東を訪問したボルトンが
2019/01/06に「クルド人の安全」という条件をつけたものです。これもトランプが混乱を引き起こしたからで、もう米国内でも国外でも大混乱を巻き起こしている「老人性認知症」に近いトランプかと疑われます。もう少し混乱が小さければいいかと思いますが・・・・・・。
シリア内戦問題が複雑なことの1つに
複雑な「反~組織」が多いことが上げられます。茶道・華道・仏教など小さなお山の大将をめざす流派が多い日本と似ていますね。
ただしそんな複雑で不安定な関係の中東へロシアやアメリカが介入することが問題を複雑化させています。もっと言えば、そういう内戦を勃発させておきながら、ロシアやイランという外部からの支援を求めたシリアのアサド大統領に根源的な要因があると思います。さらにこれを混乱させたのが、反ISと反シリア政府支援というアメリカ有志連合の介入でした。
そのアメリカが
撤退するとしておきながら、すぐには撤退しないと方向を変えました。
なるほど、このようにして「介入を決意しても、やがて撤退できなくなり、ずるずると介入し続け」、それぞれが正義を偽装するのだと思いました。
シリア関係
シリア政府の
敵方:アメリカ、サウジアラビア
味方:イラン、ロシア
アメリカの
敵方:シリア政府、IS、イラン、
味方:イスラエル、サウジアラビア
トルコは味方のはずが、最近あやしい関係に
トルコの
敵方:クルド人、IS、シリア、サウジアラビア
味方:EU参加ならず米と不仲で、中露イランに接近
米は味方のはずでしたが、最近あやしい関係に
クルド人の
敵方:トルコ
味方:米
米軍は味方ですが撤退ならシリアと組むと威嚇
もともとトルコで敵視されているクルド人を米軍が支援してきたのが不思議。
一言でいえば、ISが勃興する前から、トルコ・イラン・イラク・シリアにまたがる広大な地域にクルド人は居住していました。
シリアのアサドがイランやロシアに支援を求めたシリア内戦があり、そこにアメリカ有志連合が加わったため一層不可解になってきました。
あれほど勢力を誇っていたISがあまりにも粗雑なために反IS連合によって衰退しつつありますが、まだ完全に組織がなくなったとは言えない段階なのに米軍が撤退すると言い始めたところに問題点があろうかと思います。そもそも介入した時点で、あるいはその前の内戦状態で外国に支援を仰いだアサドに問題があることは、すでに述べました。
その反IS連合にも
もともと激しい対立があり、政府軍と反政府軍があることは知られています。
さてさて、皆様はどう思われますか。