ノーベル平和賞を選考するノルウェー・ノーベル委員会が
- 国際政治に左右される運命にある
- 国際政治を左右する意図がある
のどちらかに振れるのかわかりませんが、とにかく他の賞と比べても異論が大変多い賞だと思います。
例えば、近年のノーベル平和賞の一部をみると
今回は黄色く網をかけた受賞者について、私の意見を書いております。
私の結論は
北朝鮮、中国、ロシア、がノーベル平和賞を逆用した
というもの。その根拠は次の通りです。
■2000年の金大中(韓国)
朝鮮半島の南の韓国が北朝鮮に対して、それまで反共(反共産主義)・反日(反日本主義)という敵対政策を実施してきましたが、大統領の金大中〔在任 1998-2003〕が突然、太陽政策へ切り替えました。これを見た北朝鮮の金正日は、同胞韓国との見せかけの対話政策を実行〔南北首脳会談は2000年〕。
この会談の前に巨額の秘密資金援助をさせ、結局は韓国が金正日にだまされていたことが発覚しました。韓国最高裁で韓国側である国家情報院長や現代グループ社長の有罪が確定したのは2004年。
北朝鮮は、金大中がノーベル平和賞を受賞したのだから妙な武力反撃はできないだろうと考え、これを逆用・悪用し国境付近などで小規模な武力攻撃に至っております。
北朝鮮は、
いまでは韓国と再び敵対関係にいたり、おなじみの反日セリフが聞かれず、かえって心配させます。もちろん韓国との関係が好転すれば、再び口汚い反日表明が再登場することでしょう。そんな程度の国なんです。
今、拉致被害者の調査を本格的にやっているところだから
北朝鮮批判を自粛している日本ですが、今までの経緯をみる限り、やがて「だまされた」ことになるのは見え透いています。
相手を刺激するから批判しない、というのは、甘い期待が上まわっている証拠で、かえって逆用の口実を与えかねません。
そうです、いつでも、言うべきことは言わねばならないのです。
■2009年のオバマ(米国)
オバマは、核兵器禁止という、従来の米国大統領としては考えられない方針を発表しました。
中国は、オバマがノーベル平和賞を受賞したのだから妙な武力反撃はできないだろうと考え、これを逆用・悪用し武力攻撃に至ったというわけです。中国の、軍事優先政治、東アジアでの野蛮な武力行使を見れば、誰でも納得できるはずです。
また2014年8月にはロシアのプーチンが、「我々には核兵器がある」と国民を奮い立たせる意図で、世界中に不安を与える危険な「核抑止力」の言葉を発し、防御を装いながらウクライナへの継続的な武力侵略を正当化し、ウクライナ東部の分離独立を狙い、EUとヨーロッパの緩衝地域設立に奔走しております。 CNN(2014/08/30)
かつてヨーロッパとソ連のにらみ合いの緩衝地帯になっていた東欧と呼ばれる地域が、ソ連崩壊と共にこぞってヨーロッパへなびきました。
崩壊したソ連を引く継ぐことになったロシアは、ウクライナさえEU入りを狙っているのだから、ウクライナ東部を何とか独立させて再び緩衝地帯にさせたいという考えをもっているようです。
何しろ独裁・全体主義のロシアがヨーロッパ諸国と直接国境を接するというのは、何が何でも避けなければなりません。
クッション材となるべき地域が必要なのです。緩衝地帯へ圧力をかけることでしか自分の暴発を自ら押さえることができない国なんですね。これがうまくいけば、さらに外側に緩衝地域が必要となる、そして領土をどんどん拡張する。これがロシアや中国といった共産主義者たちの、本質なのではないでしょうか。
■2012年の欧州連合(EU)
2014年にはロシアが、突然ウクライナのクリミアを武力占領し、引き続いてウクライナ東部で親ロシア派を支援し続けウクライナを分断しようと試みています。
ロシアはウクライナ国内のロシア系国民の人権を守るとするのですが、話し合いなどを略して突然他国へ侵入する権利など、どの国にもありません。
またロシア国内でプーチンの方針と異なる意見を述べると人権などを無視して、ことごとく逮捕・拘束しているプーチンですから、ロシアが堂々と「人道的」という言葉を使う姿を笑うしかありません。国内で人権を無視するプーチンだからこそ、国外で「ロシアは人権を大切にしている」、とでたらめ発言ができるわけですね(笑)。
中国では、あれだけ国民を弾圧・粛正し、言論の自由を奪い、人権など無視しています。国内で人権を無視する中国だからこそ、国外で「中国は平和を愛する国だ」、とでたらめ発言ができるわけですね(笑)。
言論の自由を制限し、政府の方針と異なる発言者を徹底的に逮捕・弾圧してきたロシア政府・中国政府だからこそ、言う資格がないことを平気で言えるに違いありません。
ロシアは、EUがノーベル平和賞を受賞したのだから妙な武力反撃はできないだろうと考え、これを逆用・悪用し武力攻撃に至ったというわけです。
ノルウェー・ノーベル委員会は
世の中には、「ノーベル平和賞」が敵対国にわたることに憤りを感じ、受賞者が「平和」にふさわしく武力行使しにくいことを逆用して、武力行動に出ようとする国が、現実にある
と理解した上で、それでも大丈夫かと慎重になってノーベル平和賞受賞者を選定すべき時代に来ている、と言えます。
事実上、この逆用を防ぐ手段はありませんが、
「対決ではなく対話を呼びかけた人や組織に、安堵感から安易に平和賞を授与していいのかどうか」
は、深刻な問題となっています。
近年の様子を見る限り、ノーベル委員会が「平和賞受賞を決めた人・地域が被害にあっている現実」を考慮しているとは思えない、のが残念です。
黒い冗談だと受け取られるかも知れませんが、ノーベル平和賞を、独裁を続ける加害国家群
などへ与えるべき口実を慎重に探す時代に来たのかも。
こうでもしないと、これら連中は、何をしでかすかわからない(笑)。
これは
- 元暴力団員を、暴力団の撲滅運動に参加させる日本のやり方
- ハッカー集団の幹部を、不正侵入撲滅運動に参加させるアメリカのやり方
に通じるところがあります。
つまり、
性善説に従う人たちを平気で裏切る国家が実際に存在するからには、性善説に従ってノーベル平和賞を選考する場合きわめて慎重な姿勢が必要
ということでしょうか。
でないと、われわれは「ノルウェーのノーベル委員会」の決定を、
「そんな授与で委員会」
にて、大いに議論し始めなければならなくなるでしょう(大笑)。