何故、防衛施設庁長官と防衛庁長官は、辞任しないのか! 2月12日

先の防衛施設庁の談合事件は、霞ヶ関にはびこる官製談合の、氷山のほんの一角にすぎない。防衛施設庁のあまりにもわかりやすい談合の構図が、ナンバー3である技術審議官の逮捕に、特捜を踏み切らせたのだ。

逮捕された施設庁技術審議官のポストに就く人物は、退官後100%「財団法人防衛施設技術協会」に再就職し、「本来の天下りポスト」に就くために「待機」する。財団法人防衛施設技術協会とは、「①防衛思想の普及②防衛施設の建設技術の調査研究③国と民間との相互交流を図り、防衛施設の円滑かつ効率的な建設に協力する」ことを目的とする公益法人だ。いかにも、とってつけたような、「防衛施設庁の防衛施設庁による防衛施設庁のため」のプレ天下り機関が、財団法人防衛施設技術協会なのだ。

防衛施設庁技術審議官は、1~3年間「待機」したのち、防衛施設庁と取引きのある民間企業に天下りし、壮大な談合劇を繰り広げていたのだ。先に天下りした施設庁OBが、企業が受け入れる天下りの人数に応じて、当該企業の落札金額を決めていた。現役とOBとが一体となって、これまで何十年もの間、談合を繰り返してきたのだ。

談合は、刑法96条違反のれっきとした犯罪行為だ。天下りと表裏一体となった犯罪が、防衛施設庁ばかりでなく、霞ヶ関全体で日常的に行われている・・・。小泉政権は、公務員制度改革を改革の総仕上げと位置付けているが、民営化や民間委託による人件費削減だけで、肝心の天下りについてはまったく触れていない。改革を標榜する小泉政権であっても、官僚利権の本丸である「天下り」は、温存したい聖域なのだ。

官製談合は、一般の競争入札の約1.2倍の高値で落札されると言われている。少なくとも防衛施設庁だけでざっと年間400億、この10年間でなんと4,000億円もの税金が、官製談合によって無駄遣いされてきた計算だ。他の省庁を含めると・・・・想像しただけでもゾッとするっ!!サラリーマン増税をやる前に、官製談合という最大の税金の無駄遣いを廃止することのほうが先決だ。小泉政権は、緊縮財政を歌い文句にしてきたが、あらためて談合の実態を垣間見ると、どこが緊縮なのかと問いたくなる。

今回の談合事件で最も腑に落ちないのは、何故、防衛施設庁長官と防衛庁長官が責任をとって辞任しないのかという点だ。まさか、施設庁長官が今回の談合を知らなかったとは言わせない。完全な共犯か、少なくとも、見て見ぬ振りをしてきた告発義務違反に値する。1日も早く辞任して責任をとるべきだ。そして、防衛庁を「省」に昇格させようとする額賀福志郎防衛庁長官その人こそ、実は暴けば埃まみれの確信犯、日本一の防衛族議員であることを忘れてはならない。氏のパーティー券の購入企業リストを見れば、談合すなわち天下り先企業の名前が、ズラリと並んでいるはずだ。

犯罪たる談合を誘引する天下りを、小泉政権はいまだに禁止していない。小泉改革が、いかにまやかしザル改革であるかが、そこに表れている。小泉政権の失われた5年間を取り戻す次のリーダーは、直ちに天下りを禁止できる人でなくてはならない。長年、政権の座にいた自民党では、政官の癒着を断ち切ることは絶対にできない。民主党はその任を果たすべくブラッシュアップして、真の責任政党へと脱皮していかなければならない。そして一刻も早く、「官製談合」という犯罪を、この世から葬り去らなければならないのだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

米国BSE検査体制の甘さ 2月11日

2004年11月、アメリカで2頭目のBSE感染牛が発見された。そもそも2頭目なんて少なすぎる。アメリカがBSEをひた隠しにしていることは容易に想像されるが、案の定、この2頭目でさえ、アメリカ農務省は「シロ」の判定を下そうとしていたことが判明した。共和党に限らずアメリカの政治家にとって、畜産業界は最大の支持勢力といえる。BSEが発覚すると死活問題になりかねない畜産業界は、政治家に圧力をかけ、検査をしないか、陽性の検査結果をねじ曲げるよう強要するのだ。

日本農業新聞によると、このダウナー牛から採取した脳を国立獣医研究所に送ったところ、3度にわたって「クロ」の判定結果が出たにもかかわらず、免疫組織化学検査と顕微鏡による検査では陰性だったとして、農務省は「シロ」の判定を下したそうだ。これに疑問を持った専門家たちが、日本でも採用しているウエスタン・ブロット法などによる検査を提案したが、農務省は「必要なし」と退け、無理やり「シロ」と断定したのだ。

この杜撰な検査結果に対し、農務省監査局が警告を発し、国立獣医研究所はついに、ウエスタン・ブロット法による検査を行った。その結果、3つのサンプルのうち1つが陽性と反応。念のため、英国の研究所で再確認をしたところ陽性であったため、半年以上の曲折を経てこの「2頭目」の感染が明らかになったのだ。

民主党に続き自民党の調査団も米国パッカーの視察に出かけたが、従って、加工処理の段階でどんなに精密にチェックしたところで、感染を隠蔽された牛がラインに乗っている可能性が高い以上、安全が科学的に証明されることはあり得ないのだ。全頭検査をしない米国では、BSE感染検査が実施されている牛は、食肉処理される牛の1%。へたり牛であっても、ノーチェックで処理されているのが現実だ。たとえ「日本向けの牛は、万全のチェックをしている」と当局が主張しても、「クロ」のものを「シロ」に書き換えてしまうような米国農務省を、誰が信用できようか。

米国が、牛の肉骨粉を鶏やブタに食べさせることを放任し、その肉骨粉入りの鶏糞が牛の飼料になっている以上、BSEの感染リスクは拭い去れない。ノーベル賞を受賞した米国の神経学者スタンリー・プルシナー氏は、少なくとも全てのダウナー牛を検査することから始めるべきだと警告している。昨年12月には、米国マクドナルドが、更には乳製品大手のランド・オ・レイクス社が、FDAに対して安全強化を求める意見書を提出している。米国の消費者そして食品業界でさえも、畜産業界の杜撰な安全管理に疑問を抱き始めているのだ。

明らかにされているだけでも米国では年間数百例に及ぶヤコブ病などプリオンが原因の疾患が報告されている。この中には、アルツハイマーと診断された患者は含まれておらず、ヤコブ病による死亡例の報告を義務付けていない州が半数以上あることを考慮すると、米国におけるヤコブ病患者は数千人にのぼることが予想される。米国が正式に発表している変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者は昨年までの5年間でたったの1名だが、ヤコブ病と診断されても、死亡したのち脳を解剖して調べない限り、孤発型か変異型かの区別はつかない。BSEをできるだけ隠蔽したい米国では、殆どの場合、脳が解剖されることはない。

恐ろしいことに、既に孤発型ヤコブ病は、米国各地で集団発生している。そして米国では、近年アルツハイマーが激増している。1975年には50万人だったものが2005年には450万人に、2050年には1千数百万人にのぼると推測されており、この中には、ヤコブ病患者が含まれていることはもはや否定できない。米国のアルツハイマー発症率が、宗教上、牛を食さないインド人の約1,000倍であることも、牛と疾病との関連を示唆している。

このような状況にあっても、畜産業界が政治家を抑え込む米国では、来年度のBSE検査に関る予算が、現行の1/10に削減されようとしている。米国政府は、畜産業界の言いなりになるあまり、米国消費者の食の安全をも、危険にさらしてしまっている。そんな驚愕の実態を踏まえると、米国国内での徹底した飼料規制と検査体制が確立されない限り、米国産牛肉が日本に輸入されることなど、絶対にあり得ないのである。

割安で効果的な肉骨粉を、米国農家が使用しなくなる唯一の手段は、法律で規制する以外にない。日本と米国とが、政治的な駆け引きの道具にするほど、BSE問題の底は浅くない。レンダリングによる肉骨粉と油脂がBSEの原因である以上、全世界の公衆衛生のために、WHOによる「肉骨粉の全面使用禁止」の勧告を、強く望みたい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「糖みつ飼育若姫牛」の怪 2月8日

今日の衆議院予算委員会での民主党・川内博史議員の質問に対し、小泉総理は「米国に対して、鶏や豚の飼料に牛の肉骨粉を使用しないよう、規制の強化を求めていく」とついに言明した。川内議員の粘り勝ち。一歩も二歩も前進した小泉総理の答弁だ。

11月18日の日米首脳会談にあわせて、12月12日の輸入再開決定と、その後の現地調査が決まっていたことは紛れもない事実で、川内博史議員の質問主意書への政府答弁書通りには事態は進行しなかった。しかし、この際、そのことは二の次だ。中川農水大臣の首をとれば、BSE問題が解決するわけでもない。米国畜産業界の、レンダリングを容認する飼料規制の甘さが最大の問題であって、輸入再開を前提とする以上、与野党あげて米国の飼料規制の強化を求めていくことが最も重要なテーマなのだ。

小泉総理は今日初めて、米国の飼料規制の甘さを認めた。本来草食動物である牛が、牛の肉骨粉が混入した鶏糞や鶏舎のゴミ(肉骨粉の残骸)を食する異常を、小泉総理も認識したのだ。あらゆる資料を読みこなし、日本の国会議員の中でBSE問題に関しては最も詳しい川内議員の今日の質問は、政府のBSE対策に一石を投じるものだった。質問終了後、元農水大臣の大島予算委員会委員長が、直接川内議員に電話をしてきて、川内議員の勉強ぶりを褒め称えたそうだ。政府も野党も目的はただ一つ、私たち日本国民の食の安全の確保なのだ。

日本版ニューズウイークも報じている通り、米国の消費者もレンダリングが許されている米国の飼料規制の甘さに不安を感じている。ただ現状では、一介の主婦がどんなに声をあげても、「農産物名誉毀損法」という奇妙な法律が現存する米国では、権力と一体の畜産業界の力のほうが強い。しかし、米国マクドナルド社でさえ、FDAに対して意見表明したように、米国民も、肉骨粉を飼料としたレンダリングを容認する畜産業界の杜撰な安全管理に、警鐘を鳴らし始めているのだ。

今日の川内議員の質問によって、「米国の牧畜の最大の問題点は、飼料規制の甘さにある」という点で与野党の認識が一致した。従って、仮に再び輸入が再開されようとも、飼料規制がなされ肉骨粉が禁止されない限り、科学的に安全な牛肉と言えるには程遠いままなのだ。

昨年2月民主党の山田正彦議員は、「ショートプレート」通称「吉野家カット」と呼ばれる輸入牛肉について問題提起している。ショートプレートとは、加工の段階で廃棄される米国民は食べない捨て肉の部分なのだが、まさに吉野家の牛丼の上に乗っかっているのが、このショートプレートなのだ。米国の捨て肉を、日本では一部の消費者が、「吉ギュー」ともてはやし好んで食していたわけだ。

何故「吉ギュー」は、脂がのっていて美味しいと感じるのか、その秘密を知れば更に驚く。吉野家は、米国のタイソンというパッカーを通して、「糖みつ飼育若姫牛」と称する牛のショートプレートを輸入していた(る)。「糖みつ飼育若姫牛」とは、糖みつをかけ食べやすくした鶏糞を飼料とした牛で、糖みつのせいで脂肪分を多く含むしもふり肉だ。まさに「吉ギューの吉ギューによる吉ギューのための牛肉」なのだ。肉骨粉タップリの鶏糞を飼料とした牛の肉が、吉ギューの正体なのだ。それでも吉ギュー食べる???

この「糖みつ飼育若姫牛」に迂回輸入の疑惑があると、山田正彦議員は指摘している。糖みつ飼育若姫牛は米国産であるにもかかわらず、メキシコ産と産地を偽装して日本に輸入されていた(る)可能性があるのだ。日増しにBSEが日本でも大きな社会問題となる中、一貫して1日も早い米国産牛肉の輸入再開を訴え続けていたのが吉野家だ。吉野家が、米国産牛肉禁輸期間中も、他の牛丼チェーンのように豪州産に切り替えることをしなかった理由は、その名も怪しい「糖みつ飼育若姫牛」にあったのだ。米国産牛肉の禁輸が長引いたため、とうとう吉野家は、メキシコ産と偽称して、若姫牛を輸入しようとしていた気配がある。表示のチェックしか行わない税関を相手に、産地の偽装は簡単だったようだ。

日本政府は、このような実態を正確に把握して、不正に米国産牛肉が輸入されることのないように十分なチェック体制を構築していかなければならない。そして何よりも、牛の肉骨粉やへたり牛の死骸が鶏の飼料となり、その鶏糞や鶏舎のゴミ(肉骨粉の残渣)が牛の飼料となっているレンダリングサイクルを断ち切るように、日本政府は米国に強力に要求する必要がある。日本国民のみならず米国民のため、また世界中の人々の食の安全と公衆衛生のためにも、米国に対して日本政府は、「レンダリングを止めない限り、輸入再開はしない」という強気の姿勢で臨むべきなのだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

米国の手先「日経新聞」 2月6日

特に最近は、メディアリタラシーを持たねば新聞など読めないが、今日の日経新聞に掲載された「米国のBSE安全対策」に関する記事の異常ぶりには驚いた。明らかに誤解を招く内容だけに、新聞社の見識をも疑わざるを得ないほどの代物だ。事実とほぼ正反対の内容は、同時に2面に掲載した「輸入再開に時間をかけるべき=79%」との世論調査の結果に対して、なるべく速やかに輸入を再開するためのくさびを打ったつもりなのだろう。しかし、それにしても最悪の記事だ。

朝日新聞が、電通を通して、5千万円で「米国食肉輸出連合会」の全面広告を出したことは有名な話。以後、朝日新聞のBSEに関する記事は、限りなく米国寄りの、偏向したものばかり。「11月18日の日米首脳会談で、12月12日の輸入再開決定と、再開後に現地査察を行うことが決まっていた」とのニュースを、朝日新聞は事前に入手していたにもかかわらず、一切記事にしていない。そんな朝日も朝日だが、日経はもっと酷い。世論操作もここまでやると、他の記事に対する信頼も、すべて失墜してしまう。

日経の記事には「米消費者の関心は低調」とあるが、昨年12月、米国マクドナルドは、牛肉の安全対策を強化するよう、FDAに対して正式に意見表明しているのだ。日本でも100円マックでお馴染みのマクドナルドでさえ、米国の牛肉の安全管理について疑問を投げかけているのだ。

マクドナルドも指摘しているように、米国の畜産業界の最大の問題点は、SRMが含まれたウシの死体から作られた肉骨粉を飼料とする鶏の糞や、鶏が食べ残した肉骨粉が、ウシの飼料となっている点だ。そして、米国ではこのレンダリングサイクルが、禁止されていないのだ。日経新聞の「米政府は日本よりも4年早く肉骨粉の使用を禁止」との一文は、米国の飼料規制のほうが日本よりも優れているかのような印象を与え、明らかに事実に反する間違った報道だ。

正確に言うと、米国では牛由来の肉骨粉を牛に与えることは禁止されているが、これを豚や鶏に与えることは禁止されていない。一方、鶏糞や鶏舎のゴミ(チキンリッター~肉骨粉の残渣)を牛の飼料とすることは許可されている。米国では、毎年100万トンの鶏糞が、牛の飼料となっている。2003年8月、FDA・クロフォード長官代理は、肉骨粉の鶏糞への混入率は30%程度であると発表した。

更に、米国のレンダリング業界団体「National Renderers Association」は、2004年度、ウシのSRM(特定危険部位)が肉骨粉に16万トン・動物性油脂に16万トン混入していると発表した。ウシの肉骨粉を直接ウシに与えなくても、レンダリングサイクルの中で、最終的にSRMからつくられた肉骨粉がウシの飼料になっているのだ。日経の記事が、いかに嘘八百かがわかる。

西部開拓時代から、米国はカウボーイの国家だ。米国の畜産業界は、共和党の最大の支持母体であり、米連邦議会は畜産業界に頭が上がらない。なんと米国には、「農産物名誉毀損法」という前代未聞の州法が存在する。この法律のおかげで、よほどの根拠がない限り、消費者は農産物を批判することができない仕組みになっている。日経の記事にあるように、「米国の消費者団体が、BSEに関心がない」なんて、真っ赤な嘘。政業がズブズブに癒着して、消費者を抑圧しているわけだ。それにもかかわらず、マクドナルドが声を挙げたように、米国の消費者もBSEのリスクを認識し始めているのだ。

日経新聞は、政府の世論操作にしばしば利用される。しかし、今日のBSEに関する記事は、限度を超えている。神聖な読者を冒涜するものだ。米国産牛の「とも食い」の事実を、日本の消費者に知らせる義務をメディアは負っている。英国では今尚、年間数名の人々が、BSEに感染し変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症している。進行性の痴呆と運動失調・・・筆舌に尽くしがたい悲劇が襲う。「99.9%では駄目なのだ。100%安全なものしか食べてはいけない。」変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のため15歳で亡くなった英国少女の父親のこの言葉が、全てなのだ。

 

(日経新聞・記事全文 2006.2.6朝刊)

米国内BSE安全対策

米消費者の関心は低調・食品行政への信頼崩れず

日本政府が米国牛肉の輸入を再禁止したのを受け、米国内のBSE(牛海綿状脳症)安全対策のずさんさがクローズアップされているが、米消費者の関心は低い。日米メディアの報道ぶりの違いや、食品安全行政に寄せる信頼感の格差が、両国の消費者の関心の差の一因だとみられる。

先月20日、米国からの輸入牛肉から特定危険部位である背骨が見つかり、日本が再禁輸を決めた。この時は米主要紙やテレビも最新ニュースとして取り上げたが、それ以降の続報は目立たない。日米でニュースの扱いに大きな差が出たのは、米農務省が2日発表したBSE対策の監査報告書について。報告書は、同省の監査官が訪れた全米12箇所の食肉加工施設のうち、4分の3の9施設で危険部位の除去記録が適切に保存されていなかったなど、ずさんな管理状況を指摘。日本の主要紙は軒並み3日付夕刊1面で報じた。

これに対し米主要紙は、3日付ワシントン・ポストとウオールストリート・ジャーナルが中面で記事を扱ったものの、ニューヨーク・タイムズ、USAトウデーなどは記事を載せていない。米国内の牛肉の需要には「日本の再禁輸後も特段の変化はない」(大手商社)という。米政府のBSE対策に批判的な米大手消費者団体コンシューマーズ・ユニオンのマイケル・ハンセン氏は「米消費者の多くはBSEにあまり関心がないため、米メディアの扱いも総じて地味だ」と指摘する。

だが「米国民の食の安全への関心は低いわけではない」(ハンセン氏)。例えば、すしブームでマグロの消費が急増する米国では、大型魚介類の水銀汚染について日本よりも関心が高い。

米食品医薬品局は妊婦に大型魚類の摂取量を抑えるよう、日本の厚生労働省よりも早くから警告。シカゴ・トリビューンが昨年暮れにマグロの水銀汚染の大型の調査報道記事を掲載するなど、メディアの注目も高い。米食肉加工大手の幹部は「日本では、なぜ牛肉だけが突出して大きな問題になるのか」と嘆く。

日米のBSE問題の経緯に詳しい米ハーバード大公衆衛生学部のデービット・ロペック講師は、「政府の食品安全行政に寄せる日米の消費者の信頼の違いが、BSE問題への関心の差として表れている」と分析する。

2001年秋に日本で初の感染牛が見つかった時、「日本の牛肉は安全だ」と言い続けてきた日本政府を消費者は信用しなくなった。BSE感染を招く肉骨粉飼料の使用を認め続けたことも、信用失墜に拍車をかけた。

一方、米政府は日本よりも4年早く肉骨粉の使用を禁止。米国内のBSE発生リスクについても「非常に低いが、ゼロではない」と認めていた。03年暮れに初の感染牛が発生した時も「日本よりも対策が数年先行していたことや、米政府が適切な情報開示を続けたことなどが消費者の行政への信頼をつなぎ止め、パニックを防いだ」とロペック講師はみる。

米農務省の品質保証マーク付きの牛肉には、今も米国民が信頼を寄せる。米国内でBSE感染牛が続出するなど米メディアが大騒ぎするような事件が起きない限り、米消費者のBSEへの関心は高まりそうにない。(ワシントン=吉田透)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

BSEについての政府答弁書と政府統一見解 2月5日

国会を紛糾させた、川内博史衆議院議員が昨年10月28日提出した、「BSE問題に関する質問主意書」の九-(1)を、あらためて考えてみたい。

(質問主意書の質問文)九 輸出プログラムの輸出再開前の渡米確認検査について                                (1)厚生労働省と農林水産省により、米国で未実施の規制が完全に遵守されることを前提に、食品安全委員会において米国牛肉および内臓の安全性評価が行われているが、輸出再開以前に、対象工場における具体的な完全遵守の確認方法や、SRM除去率などの科学的キットを用いた調査結果、調査人員、予算、確認頻度などを渡米して確認すべきだと思うが、政府の見解を求める。また、完全遵守にはマニュアル策定や定期検査のスケジュール策定や抜き打ち検査なども必要と考えるが、それら具体的計画について答弁を求める

(閣議決定した政府答弁書)九の(1)について                                 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)に対する現地調査を実施することが必要と考えている。具体的には、米国政府による対日輸出施設の監督状況、日本向け輸出証明プログラムに規定する品質管理プログラムの文書化の状況、SRMの除去の実施状況、月齢二十月以下の月齢証明についての遵守状況等について現地において確認したいと考えている。                                      お尋ねの抜き打ち検査の実施については、対象が外国にある施設であることから困難と考えている。

しかし、実際には答弁書に書いてある事前の現地調査は行われなかった。1月30日午前の衆議院予算委員会で、中川農水大臣は事実関係を認め、自身が閣議決定に違反し、「事前」ではなく事後調査とした責任をとるとまで言い切った。この中川大臣の第一声とも言うべき発言は、大臣としてまさに正直な心境を吐露したものだと、見ている多くの人は感じたはずだ。ところが、休憩をはさんだ午後の答弁では、中川大臣の態度は一変する。「その後、日米協議などにより状況が変わったので、事前の調査は行わないことになったが、そのことを川内議員や衆議院に説明しなかったことはお詫びしたい」と、主張を切り替えたのだ。大臣辞任をも想像させた「責任」の二文字は、引き続き職務を遂行することで果たしていくという、お決まりのパターンにすり替えられた。

更に今日のサンプロでは、10月31日農水大臣に就任した中川氏は、10月末の石原農水事務次官の「事前の現地調査は必要ない」との発言を、大臣の権限で修正させたことを明らかにした。即ち、11月18日に閣議決定された答弁書の「輸入再開以前に」の文言は、中川農水大臣自身の意思の表れだったことが判明したのだ。つまり、中川大臣の辞任をも匂わせた「第一声」は、中川大臣の嘘偽りのない本音だったのだ。

しかし、中川大臣が責任を認めてしまったら、困るのは何を隠そう小泉総理だ。11月16日の日米首脳会談の想定問答集には、「12月12日に輸入再開を決定し、その後に調査団を派遣する」という内容が記されていたことは、既に周知の事実。米国の主張を受け入れるために日本国民をも欺く小泉総理に説得されて、中川大臣は、「答弁書がどのようにして書かれたのか調査すると、今は言うしかないのだ。

1月30日予算委員会の日の夜、あらためて発表された、答弁書に関する政府統一見解は以下の通り。                                                                                                                                                      川内議員への答弁書では「厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)に対する現地調査を実施することが必要と考えている。」といたしました。これは厚労省及び農水省の当時の認識・考え方を内閣として是としたものであり、必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではありません。

その後、実際には、

①日本向けの牛肉輸出プログラムについて、米国が行う施設認定を日本側も調査できること 

②輸出解禁以降でなければ、履行状況の調査ができないこと

が判明しました。 

また、12月12日に米国との間で、輸入再開を決定した後、13日には査察に出発し、第一便の米国産牛肉が我が国に到着したのは16日となっております。                                  なお、閣議決定以降の12月8日に出された食品安全委員会の最終答申においては、査察の実施は輸入再開の条件とはなっていませんでした。       したがって、厚生労働大臣及び農林水産大臣の輸入再開の決定は、11月18日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反している訳ではないと理解しております。                         しかしながら、答弁書の閣議決定以降に生じた御説明申し上げたような過程について、院に対し十分な説明を行わなかったことは事実であり、誠に遺憾であります。

最大の問題は、答弁書の文言を、責任逃れと米国の言い分をできる限り聞き入れる為に、不自然な形で解釈しようとしている政府にある。「国民の食の安全のために、事前調査をすべきだった」との反省の弁は、一言もどの閣僚からも出てこない。本来なら十分にチェックを行うべき問題にもかかわらず、米国の言いなりになって事前査察を控えた小泉総理の姿勢は、言語道断。飼料規制も含め、安全意識の低い、極めて杜撰な管理体制にある米国畜産業界が、日本の要請通りの処理を実行するか否かは、徹底的に査察をしてチェックするしか方法はないではないか。中川大臣も必要性を感じたように、当然、事前調査は行うべきだったのだ。ブッシュ大統領のご機嫌とりのために、事前調査をしなかった小泉総理こそ、確信犯なのだ。

更に、米国産牛肉に関する最大の問題が、ウシの飼料規制の甘さにあることを忘れてはならない。SRM(特定危険部位)の脳や脊髄が含まれたウシの死体から作られたウシの肉骨粉を飼料とする鶏の糞あるいは鶏舎のゴミ(食べ残しの肉骨粉)を、ウシの飼料としているレンダリングサイクルこそが、米国畜産業界の最大の問題なのだ。米国国内では、高所得者向けに、「オーガニック」という名の「まともなウシ」も飼育しているが、日本向けの牛肉は、低所得者向けに作られた牛肉と同等のものだ。パッカーの査察を徹底して、SRMを除去しているか否かをチェックすることも重要だが、何よりも、米国には、レンダリングの禁止も含め飼料に対して厳格な規制をさせることのほうが先決なのだ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

薬事法改正直前に発売許可された「エンブレル」の疑惑 2月3日

現在我が国では、ウシ由来の原料を使用した医薬品は2500品目存在する。その大半が、BSEが世界的に大問題となり、(おそらくここ1~3年の間のうちに)豪州産やニュージーランド産のウシに切り替えられたとされているが、いまだに米国産ウシを原料に使用している医薬品が19品目存在することが、参議院予算委員会での家西議員の質問で明らかになった。英国にたった1日でも滞在経験のある人の献血を禁止する厚労省が、何故、人体に直接投与される医薬品について放置するのか、不思議でならない。

川内議員の質問主意書では、昨年1月に承認された抗リウマチ薬「エンブレル」について、特に追及している。何故ならエンブレルは、その承認過程で、非常に奇妙な経過をたどったからだ。

エンブレルは、昨年1月19日、世界各国に次ぎ日本で承認された。米国でBSE感染牛が発見されたのち承認された2つの医薬品のうちの1つだ。エンブレルは当初、3月25日に発売される予定だったが、承認直後の1月27日、海外でエンブレル使用者患者がクロイツフェルト・ヤコブ病を発症し死亡するというアクシデントに見舞われ、予定が狂ってしまった。極めて不自然なのは、製造販売元であるワイス社のその後の対応だ。ワイス社は、それから1ヶ月以上経過した3月9日の時点で、初めて死亡報告を承知したと装い、更に、それから遅れること1週間、3月17日になってようやく、(独)医薬品医療機器総合機構に、エンブレル使用患者がクロイツフェルト・ヤコブ病を発症し致死した旨を報告した。

それを受けて、厚労省は3月24日、「薬事・食品衛生審議会安全対策部会伝達性海綿状脳症対策調査会」を開き、本件について安全性ならびに対応を協議している。ここで特筆すべきは、「薬事・食品衛生審議会安全対策部会伝達性海綿状脳症対策調査会」には、「食品安全委員会プリオン専門調査会」の吉川座長以下5名のメンバーが含まれているという事実だ。ワイス社が提出した資料のみをもとに、24日に開催された会議一回きりで、「エンブレルと変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との因果関係は非常に低い」と、調査会は結論付けた。そして間髪入れず3月30日(水)、エンブレルの発売が開始されたのだ。

この異例のスピードには、重要な意図が隠されている。翌々日の4月1より改正薬事法が施行され、薬事法第68条11に、生物由来の医薬品について、原料の抽出・加工・製造過程を調査することができるとの規定が設けられた。ワイス社がエンブレルの発売を急いだ大きな理由が、ここにある。ワイス社は不測の事態に備えて、旧薬事法をたてに「現地調査は不可能だった」との免罪符を残したかったわけだ。このことは、牛肉の輸入再開に際しての、政府調査団による現地パッカーの「査察」を想起させるが、これには薬事法のような法的根拠はなく、単に見学させてもらっているにすぎない。

一番の問題は、調査会が、ワイス社が提出した資料のみを材料に断を下している点だ。結局は、薬害エイズの教訓が、まったく生かされていないのだ。製薬会社は、厚労省にとって「大事な天下り先」なのだ。件の19品目について、「速やかに原産国を切り替えるよう指導している」と参議院予算委員会の質疑の中でも川崎厚労大臣は述べているが、それはつまり、厚労省の不作為を公言したのも同然だ。天下り先を確保するために、BSE感染リスクをも黙認する厚労省の対応を、このまま看過しても良いのか。

ワイス社によると、エンブレルの原料となるウシ血清は、「隔離し厳重なエサの管理下で飼育した仔ウシ」のものとされている。しかし、川内議員の質問主意書でもわかるように、米国の飼料規制は、想像を絶する杜撰さだ。ウシのSRM(特定危険部位)をたっぷりと含んだ肉骨粉を飼料とする鶏糞や、鶏の食べ残しの肉骨粉が、ウシの飼料となっている。肉骨粉や代用乳は、レンダリングサイクルの中で生産されたものだ。エンブレルについてもメーカーの主張を鵜呑みにすることなく、どこでどんな飼料を使用して飼育した仔牛なのか、厚労省には精査する責任がある。

参議院予算委員会での川崎厚労大臣の答弁が正確であれば、公表された19品目以外のすべての医薬品には、米国産ウシ由来の原料は使用していないことになる。つまり、HIV治療薬「フォートベースカプセル」を除き全てのカプセル剤が、原料のウシゼラチンの原産国を、米国産から豪州あるいはニュージーランド産に切り替えたということになるのだ。しかし問題は、抗ウイルス薬「タミフル」の例もあるように、いつどの時点でカプセルの原料を豪州産に切り替えたのかということだ。タミフル販売元の中外製薬が、切り替えの時期を曖昧にしたまま依然として公表しないのは、公表できない理由が存在するからに違いないのだ。

そして、何故、件の19品目は、いまだに原産国が切り替えられないのか?メーカーの姿勢が問われるところだ。

参議院予算委員会での川崎厚労大臣の答弁は、国民(患者)の安心・安全を確保すべき立場にある人物の発言とは思えぬ、国民(患者)に心を寄せない荒唐無稽なものだった。役所や政府は、自分たちが責任を回避するための法整備は行っても、あえて性善説に立ち、メーカーのコンプライアンスに対する監視を甘くする。BSEに限ったことではない。政府の対応は、一事が万事だ。メディアを巻き込んだ世論操作を武器にポピュリズム政治を装ってきた小泉政権の本質は、アメリカ追従で業界寄りの弱肉強食社会の形成なのだ。

もう既に、政府による米国産ウシの「安全キャンペーン」が始まっている。信じられないほどの「アメポチ政権」だ!レンダリング米国産ウシの、いったいどこが安全なのか!!川内博史議員をはじめとする、民主党の心ある議員の活躍を期待するしかない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

質問主意書 2月1日

BSE問題に関する川内博史代議士の質問主意書に対する答弁書が証拠になって、政府に大きな打撃を与えたことは間違いない。この質問主意書は、官僚でさえ知らない事実もあったくらいで、BSEに関して、おそらく全ての国会議員の中で最も踏み込んだ質問内容といえるものだ。問題となった部分以外にも不十分な点の多い答弁書だが、そういう政府の対応も含めて、BSEの恐怖から日本の国民を守っていくための、ある意味切り札になり得る質問主意書と答弁書だったわけで、政府の閣議決定違反は重大な国民への裏切り行為となった。

今回問題になったのは、政府答弁書通りに、事前の現地査察が実行されなかったことだ。行政の最高意志決定である閣議決定は、閣議決定をもってのみ、内容を修正あるいは変更できるわけで、「事前調査」を勝手に「事後調査」に変更することは、閣議決定を経ずしてあり得ない話なのだ。

この失態を受けて、なんと政府は、質問主意書に新たな規制を設けようとしているらしい。第一は、閣議決定を経れば、答弁書の変更あるいは撤回をしても良いというものだ。とんでもない!そんなことになれば、東横インと同じ不正が、必ず行われる。答弁書を出しながら、その後の閣議で内容の撤回がいつでも可能になれば(今の政府なら、十分やりかねない)、それでは質問主意書の存在意義が完全に失われてしまう。

第二は、質問主意書の提出回数に、制限をもたせるというものだ。これは川内議員の質問主意書とは直接の関係はなく、要するに、鈴木宗男議員の連発する質問主意書に、外務省が困り果ててのことらしい。鈴木議員は、民主党など他の政党が協力しない限り、委員会や本会議で質問のチャンスは回ってこない。鈴木議員の、おそらく唯一の国会活動が質問主意書の提出だったわけで、決して悪い話ではないが、行き過ぎは禁物だ。鈴木議員への答弁書作成のため、外務省が機能しなくなっているという説もあるくらいで、案の定、質問回数の制限という議論が持ち上がってしまった。

本来の趣旨からいっても、質問主意書に回数の制限を設けることは理に叶わない。会議や委員会で十分に議論されなかった項目については、質問主意書の形をとらざるをえないわけで、鈴木議員のように質問時間が殆ど与えられない議員の場合は、質問主意書の制限は、議員活動そのものの制限になってしまう。

そして何よりも、いったん閣議決定を経た答弁書の内容を、たとえ再度の閣議決定を経ても撤回することのないように、政府は十分に責任を持ってその作成にあたるべきだ。無責任に答弁書に抜け道をつくる前に、政府は、川内議員の質問事項をじっくりと再検討すべきだ。輸入再開に向けて、クリアしなければならないハードルは、まだまだ沢山ある。このまま不安点を放置するようでは、とてもまっとうな政府とは言えないではないか。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

安倍官房長官に日本は任せられない 1月31日

安倍官房長官の「黒」も、決定的ではないか!
2003年9月、安倍氏が自民党幹事長に就任した際、安晋会、すなわち安倍氏の影の後援会が都内のホテルで祝賀会を開催した際、なんと、沖縄のカプセルホテルで殺されたのではないかとささやかれるエイチ・エス証券の野口英昭氏が、「安晋会理事」の肩書きで、堂々と登壇し紹介されていた事実が判明した。

「安晋会」代表の杉山敏隆氏は、「経営コンサルタント」慧光塾の信者の一人。勿論、安倍氏本人も信者。安倍氏は、慧光塾教祖の長男と、ダイナシティの大株主である穴吹工務店社長の娘との、結婚式の仲人を務めている。片や、謎の宗教団体とも言われる集団。慧光塾は、以前、貴乃花親方を家族と絶縁状態に追いやった、謎の“宗教”だ。そしてもう一方は、フロント企業のダイナシティに関連深い工務店。怪しい集団同士の怪しい結婚式の仲人が、今、総理の椅子に最も近いともてはやされる安部晋三夫妻。なんてこと・・・。

闇社会と太いパイプがあると言われる安部晋三氏が、内閣官房長官であること自体異常だし、ましてや一国の総理大臣だなんて、絶対にあってはならないとんでもないことだ。闇社会に利益誘導しているかもしれない安倍氏を、ポスト小泉に指名するのは、「小泉組」の血を引く小泉総理ぐらいのものだ。テレビ各社は電通に遠慮して、小泉政権の肩を持つ発言ばかりが目立つ。時に、みのもんた氏や田原総一朗氏の偏向ぶりは目に余る。公の電波を通してなかなか口にすることはできない内容も多いけれど、少なくとも視聴者が事実とそぐわない理解をして、誤った判断をすることのないよう、言葉を選んで報道してもらいたいものだ。

「閣議決定は、行政の最高意志決定だ。」と、内閣法制局長官は昨日答弁している。それは即ち、「閣議決定を覆すものは、閣議決定以外にはない。」ということを意味するのだ。中川農水大臣の勝手な判断で、閣議決定事項である事前調査の計画を変更できるわけもないし、ましてや、11月15日京都での小泉・ブッシュ会談の際に、「12月12日に輸入再開し、その後に政府査察団を送る」との密約が既にあったのだとするならば、川内博史代議士に対する答弁書の閣議決定とは、いったいなんだったのかということになる。川内議員の質問主意書には、飼料規制や医薬品の安全性に関する重要な指摘が幾つもある。しかし、閣議決定をまったく無視する政府の答弁書の信頼性は、極めて怪しいと考えざるを得ないではないか。

安倍官房長官は昨日、件の部分について、「厚労大臣や農水大臣の認識を示したもので、事前の現地調査は閣議決定事項ではない」と述べているが、最高意志決定機関である閣議決定を経た答弁書なのだから、その主張は通らない。安倍氏が、国民の食の安全に、まったく心を寄せていない証拠だ。

今夜偶然、BSE感染牛を食したために変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症した13歳の英国少女の映像を目にした。とても直視できるものではなかった。15歳でこの世を去るまで少女を見守った家族の心情は、察するに余りある・・・。悲劇だ・・・。少女の父親は言う。「1/50万の確率に、娘は当たってしまった。99.9%では駄目なのだ。100%安全なものしか食べてはならないのだ。感染するかしないか、二つに一つなのだから。」とても説得力のある言葉だ。

小泉総理も安倍官房長官も中川農水大臣も、みんな安い米国産牛肉なんて食べる必要のない人たちばかりだ。そんな人たちが、まともにBSE問題に取り組むわけがない。あの少女の姿を一目見れば、米国の言いなりになり、十分に安全性を確認しない状態での輸入再開など、絶対にできないはずだ。川内博史議員は、一つ一つ大事な点を、質問主意書を通して政府に問いただしている。しかし、不十分な回答しか得られていない部分も沢山ある。今からでも遅くはない。今国会で、あらためて、疑問点を徹底究明すべきだ。それこそが、国民が望むところであり、政府の責任というものだ。リスクをまとった牛肉を、二度と店頭に並べないで欲しい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »