都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「田窪恭治展」 東京都現代美術館
東京都現代美術館
「田窪恭治 - 風景芸術」
2/26-5/8

東京都現代美術館で開催中の田窪恭治展へ行って来ました。
作家、田窪恭治(1949~)のプロフィールについては同館WEBサイトをご覧下さい。
「田窪恭治展 風景芸術」アーティスト
既に美術家としてのキャリアの長い田窪ですが、意外にも東京での「包括的」(ちらしより引用)な個展は初めてだそうです。
さて元々、絵画を学び、その後パフォーマンスなどで制作を続けてきた田窪ですが、今回の展示では主に彼が近年手掛けている建築や文化遺産の再生計画を紹介するものとなっています。
とりわけ重要なのがフランス、ノルマンディー地方の廃墟と化した礼拝堂を再生した「林檎の礼拝堂」と、今も進行中の金刀比羅宮全体を対象とした「琴平山再生計画」です。
会場ではこの2つのプロジェクトを時に実寸大のスケールで紹介しています。現代美術館の広々とした空間を用いての大がかりな建築インスタレーションが一番の見どころでした。

田窪恭治「林檎の礼拝堂」1999年
田窪がフランスの礼拝堂を再生するプロジェクトに着手したのは1989年のことです。以来10数年、建物の修復と補強、それに改築を行い、最後には屋内を装飾するための絵画を制作して、このプロジェクトを完成させました。
会場では礼拝堂の映像の他、壁面などが紹介されていますが、中でも圧巻なのは実寸の床面による礼拝堂の敷地の再現展示です。
実際には現地で叶わなかった部分にも手を加えた「東京バージョン」と呼ばれるセットですが、床一面に敷かれた大谷石や鋳物の上を歩いていると、あたかも礼拝堂へと旅したかのような気分を味わうことが出来ます。
また美術館で最も天井高のあるB2の吹き抜けフロアと礼拝堂の床面がほぼ同一サイズというのにも驚かされました。まさにこの会場だからこその展示と言えるかもしれません。
一方で現在も二次プランが進む琴平山再生計画では、礼拝堂と同様の鋳物を敷き詰めた空間の他、制作中の椿の襖絵、また同じく椿を描いた有田焼の磁器の壁面などが展示されています。

田窪恭治「ヤブツバキ」2005年 金刀比羅宮白書院襖絵、オイルパステル
この襖絵が若冲と応挙の書院の間に設置されるというだけでも名誉なことですが、作品自体の魅力はともかくも、現地の風景をとりこんで設置された書院の再現はなかなか壮観でした。

鈴木了二・田窪恭治・安齊重男「絶対現場 1987」1987年
他にも初期のパフォーマンスや、後の礼拝堂や琴平山にもつながっていく木造住宅の解体プロジェクト「絶対現場」など、時代がいささか前後する部分もありましたが、一人の美術家の業績を知るには遜色のない展覧会でした。
なお地震の影響で遅れていた図録が完成したそうです。また同館サイトにも記載がありますが、会場には鋳物などを敷き詰めたフロアがあります。歩きやすい靴での観覧が良さそうです。
「林檎の礼拝堂 La chapelle des pommiers/集英社」
5月8日まで開催されています。
「田窪恭治 - 風景芸術」 東京都現代美術館
会期:2月26日(土)~5月8日(日)
時間:10:00~17:00(通常より1時間早く閉館。)
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
「田窪恭治 - 風景芸術」
2/26-5/8

東京都現代美術館で開催中の田窪恭治展へ行って来ました。
作家、田窪恭治(1949~)のプロフィールについては同館WEBサイトをご覧下さい。
「田窪恭治展 風景芸術」アーティスト
既に美術家としてのキャリアの長い田窪ですが、意外にも東京での「包括的」(ちらしより引用)な個展は初めてだそうです。
さて元々、絵画を学び、その後パフォーマンスなどで制作を続けてきた田窪ですが、今回の展示では主に彼が近年手掛けている建築や文化遺産の再生計画を紹介するものとなっています。
とりわけ重要なのがフランス、ノルマンディー地方の廃墟と化した礼拝堂を再生した「林檎の礼拝堂」と、今も進行中の金刀比羅宮全体を対象とした「琴平山再生計画」です。
会場ではこの2つのプロジェクトを時に実寸大のスケールで紹介しています。現代美術館の広々とした空間を用いての大がかりな建築インスタレーションが一番の見どころでした。

田窪恭治「林檎の礼拝堂」1999年
田窪がフランスの礼拝堂を再生するプロジェクトに着手したのは1989年のことです。以来10数年、建物の修復と補強、それに改築を行い、最後には屋内を装飾するための絵画を制作して、このプロジェクトを完成させました。
会場では礼拝堂の映像の他、壁面などが紹介されていますが、中でも圧巻なのは実寸の床面による礼拝堂の敷地の再現展示です。
実際には現地で叶わなかった部分にも手を加えた「東京バージョン」と呼ばれるセットですが、床一面に敷かれた大谷石や鋳物の上を歩いていると、あたかも礼拝堂へと旅したかのような気分を味わうことが出来ます。
また美術館で最も天井高のあるB2の吹き抜けフロアと礼拝堂の床面がほぼ同一サイズというのにも驚かされました。まさにこの会場だからこその展示と言えるかもしれません。
一方で現在も二次プランが進む琴平山再生計画では、礼拝堂と同様の鋳物を敷き詰めた空間の他、制作中の椿の襖絵、また同じく椿を描いた有田焼の磁器の壁面などが展示されています。

田窪恭治「ヤブツバキ」2005年 金刀比羅宮白書院襖絵、オイルパステル
この襖絵が若冲と応挙の書院の間に設置されるというだけでも名誉なことですが、作品自体の魅力はともかくも、現地の風景をとりこんで設置された書院の再現はなかなか壮観でした。

鈴木了二・田窪恭治・安齊重男「絶対現場 1987」1987年
他にも初期のパフォーマンスや、後の礼拝堂や琴平山にもつながっていく木造住宅の解体プロジェクト「絶対現場」など、時代がいささか前後する部分もありましたが、一人の美術家の業績を知るには遜色のない展覧会でした。
なお地震の影響で遅れていた図録が完成したそうです。また同館サイトにも記載がありますが、会場には鋳物などを敷き詰めたフロアがあります。歩きやすい靴での観覧が良さそうです。

5月8日まで開催されています。
「田窪恭治 - 風景芸術」 東京都現代美術館
会期:2月26日(土)~5月8日(日)
時間:10:00~17:00(通常より1時間早く閉館。)
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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