都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「MOTアニュアル2011」 東京都現代美術館
東京都現代美術館
「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」
2/26~5/8

恒例のアニュアル展も今年で11回目を迎えました。東京都現代美術館で開催中の「MOTアニュアル2011」へ行って来ました。
本展に出品の作家は以下の通りです。 (参加アーティスト)
池内晶子
椛田ちひろ
木藤純子
関根直子
冨井大裕
八木良太
毎年テーマを設定して現代アーティストを紹介するグループ展ですが、個々に全く異なった性格を持つ作家をとりあげながらも、全体の統一感のある展示にはいつもながらに感心させられます。
今回のサブタイトルは「Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」です。いずれもがシンプルな素材でありながら、独特の静謐感や意外性を見せる作品などが並んでいました。

冨井大裕「ball sheet ball」2006 アルミ板、スーパーボール
そのシンプルと意外性において最も注目すべきは、トップバッターの冨井大裕かもしれません。つい先だってのレントゲンの個展でも薄いカーペットを用いながら、逆に強度のあるオブジェを出品していましたが、今回は画鋲にストローに鉛筆、またハンマーといった日用品が思わぬ非日常的な形をとって会場を賑わせています。
一推しは「えんぴつのテーブル」です。素材は色鉛筆のみですが、それが文字通りテーブルを象っての意外な美しさを見せています。
また壁面に画鋲をひたすらにおした「ゴールドフィンガー」を見ていると、そこに特段の図像がないのにも関わらず、不思議と何らかのイメージが浮き上がってくるような気がしてなりません。「見慣れた世界の風景」(ちらしより引用)は、作家のさりげない作為によって確かに変化していました。

関根直子「点の配置」2007 鉛筆、水彩紙(シリウス)
カラフルな素材を使う冨井とは一変、他の作家は主にモノクロの世界で見る側の想像力を喚起します。目黒区美術館の「線の迷宮」展(2007年)の印象も鮮烈な関根直子の鉛筆によるドローイングは、さざ波のような繊細極まりないタッチによって、闇夜に蛍が舞っているような静謐な光景を生み出していました。
一方で椛田ちひろは、同じくモノクロながらも非常に「強靭」(ちらしより引用)なイメージを作っています。
彼女の素材は黒の油彩ボールペンです。それをひたすらなぞって重ねあわせて出来た面は縦5メートル近くはあろうかというほどに巨大で、それが黒を通り越して光沢を帯びる様はもはや神々しいくらいでした。到底、この壁のような光沢面が、細いボールペンの先から生まれたとは思えません。
視覚だけでなく聴覚を利用して感覚を揺さぶるのは、ラストを飾る八木良太でした。

八木良太「Soundsphere」2010 ミクストメディア
ここで八木はカセットテープを素材にした双方向のインスタレーション「Sound sphere」で、刻まれた音の痕跡を新たなる形に解き放っています。テープのボールを持って再生機に近づけた時、元の文脈から切り離された記録の叫びが館内を木霊しました。
会期中、作家を交えてのイベントも予定されています。
MOTアニュアル2011 関連イベント
なお地震により木藤純子の作品の一部が撤去されていましたが、4月7日より展示が再開しました。

木藤純子「空見の間」2010 カッティングシート、ガラス、水、紙、ほか *参考図版
決して派手さはありませんが、じっくりと作品と向き合える良質な企画です。
5月8日まで開催されています。
「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」 東京都現代美術館
会期:2月26日(土)~5月8日(日)
時間:10:00~17:00(通常より1時間早く閉館。)
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」
2/26~5/8

恒例のアニュアル展も今年で11回目を迎えました。東京都現代美術館で開催中の「MOTアニュアル2011」へ行って来ました。
本展に出品の作家は以下の通りです。 (参加アーティスト)
池内晶子
椛田ちひろ
木藤純子
関根直子
冨井大裕
八木良太
毎年テーマを設定して現代アーティストを紹介するグループ展ですが、個々に全く異なった性格を持つ作家をとりあげながらも、全体の統一感のある展示にはいつもながらに感心させられます。
今回のサブタイトルは「Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」です。いずれもがシンプルな素材でありながら、独特の静謐感や意外性を見せる作品などが並んでいました。

冨井大裕「ball sheet ball」2006 アルミ板、スーパーボール
そのシンプルと意外性において最も注目すべきは、トップバッターの冨井大裕かもしれません。つい先だってのレントゲンの個展でも薄いカーペットを用いながら、逆に強度のあるオブジェを出品していましたが、今回は画鋲にストローに鉛筆、またハンマーといった日用品が思わぬ非日常的な形をとって会場を賑わせています。
一推しは「えんぴつのテーブル」です。素材は色鉛筆のみですが、それが文字通りテーブルを象っての意外な美しさを見せています。
また壁面に画鋲をひたすらにおした「ゴールドフィンガー」を見ていると、そこに特段の図像がないのにも関わらず、不思議と何らかのイメージが浮き上がってくるような気がしてなりません。「見慣れた世界の風景」(ちらしより引用)は、作家のさりげない作為によって確かに変化していました。

関根直子「点の配置」2007 鉛筆、水彩紙(シリウス)
カラフルな素材を使う冨井とは一変、他の作家は主にモノクロの世界で見る側の想像力を喚起します。目黒区美術館の「線の迷宮」展(2007年)の印象も鮮烈な関根直子の鉛筆によるドローイングは、さざ波のような繊細極まりないタッチによって、闇夜に蛍が舞っているような静謐な光景を生み出していました。
一方で椛田ちひろは、同じくモノクロながらも非常に「強靭」(ちらしより引用)なイメージを作っています。
彼女の素材は黒の油彩ボールペンです。それをひたすらなぞって重ねあわせて出来た面は縦5メートル近くはあろうかというほどに巨大で、それが黒を通り越して光沢を帯びる様はもはや神々しいくらいでした。到底、この壁のような光沢面が、細いボールペンの先から生まれたとは思えません。
視覚だけでなく聴覚を利用して感覚を揺さぶるのは、ラストを飾る八木良太でした。

八木良太「Soundsphere」2010 ミクストメディア
ここで八木はカセットテープを素材にした双方向のインスタレーション「Sound sphere」で、刻まれた音の痕跡を新たなる形に解き放っています。テープのボールを持って再生機に近づけた時、元の文脈から切り離された記録の叫びが館内を木霊しました。
会期中、作家を交えてのイベントも予定されています。
MOTアニュアル2011 関連イベント
なお地震により木藤純子の作品の一部が撤去されていましたが、4月7日より展示が再開しました。

木藤純子「空見の間」2010 カッティングシート、ガラス、水、紙、ほか *参考図版
決して派手さはありませんが、じっくりと作品と向き合える良質な企画です。
5月8日まで開催されています。
「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」 東京都現代美術館
会期:2月26日(土)~5月8日(日)
時間:10:00~17:00(通常より1時間早く閉館。)
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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