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「大島梢 - 図鑑」 ミヅマアクション

ミヅマアクション目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5階)
「大島梢 - 図鑑」
6/12-7/11



見果てぬ夢の中に潜んだ幻想世界を絵画で綴ります。1978年生まれのアーティスト、大島梢のミヅマ初個展へと行ってきました。



会場に入ってまず目に飛び込んで来るのは、横は3mはあろうかという大作のペイント、「深部器官」です。森の奥深くで凍り付いた洞窟の中には、滝のように流れゆく柱がまるで神殿のように連なり、また飛沫を上げながら、それ自体が生き物(=植物)であるかのような空間を作っていました。細部まで描き込まれたモチーフの緻密さはもちろんのこと、蛍光色をも思わせるビビットな色遣いなどは、シュールな景色にどことない神秘的な物語を呼び込むことに成功しています。うねる樹木と飛沫を上げた生命体に囲まれながら、作品世界を探検しながら存分に楽しむことが出来ました。



大島の魅力は何も大作にだけあるわけではありません。鉄道を取り込み、的確なデッサンで奇想の物語を描く「EF65」の他、赤坂真理の小説、「太陽の涙」にも用いられた小品などには、植物と人間の有機的な結びつきを連想させる夢幻の世界が展開されています。写実的な細部と空想的な全体との織りなす独特の物語に思わず酔いしれてしまいました。



上の写真は画廊内で製作中の大島さんです。作中世界にはほぼ人物が登場しませんが、その主人公はまさに彼女なのかもしれません。一心不乱にペンを動かし、あたかも創造主のように多様な光景を描き出す様が印象に残りました。

7月11日まで開催されています。

「太陽の涙/赤坂真理,大島梢/岩波書店」

注)写真の撮影と掲載は許可をいただいています。
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