「東のすみか西のひと」 ASK? art space kimura 10/27

ASK? art space kimura(中央区京橋)
「αMプロジェクト2005/vol.4/鈴木明×山田正好展 -東のすみか西のひと ライフ・リ・リサイクル- 」
10/17~29

京橋のASK? art space kimura(アスク・アートスペースキムラ)で開催中の、鈴木明と山田正好の二人展です。

ともかく会場に入って驚くのは、鈴木明による、新聞紙にて作られたドーム状の二つの「家」です。新聞紙の「かまくら」とも言えるでしょうか。それら大小2つの「家」は、中に入ることも出来て、さらには相互に行き来することも可能です。小さな入口から恐る恐る体を中へ滑らしてみると、そこはインクの匂いもまだ残る新聞紙の体内でした。「家」は、いわゆる古新聞(一度読んだ後という意味で。)ではなく、素材そのものとして、真新しい新聞を使っているようです。新聞の束を頑丈に束ねてそれを積み上げる。どうしても素材としてチープになりがちな新聞紙を、このように塊とすることで、しっかりとした存在感をも示します。また、「家」の内部は、装飾として、写真なども吊るされ、何やら居心地の良い雰囲気も醸し出します。さらに、ギャラリーの休憩スペースとしてのソファーも、大量の新聞紙によって制作されていました。巨大メディアの捉える、日々の悲観的なニュースの詰まった、目を背けたくなるような膨大な活字情報を、体の下で押しつぶすかのように、椅子として使う試み。その上ではお茶菓子も提供されて、ゆったりとくつろぐことも出来ます。これはなかなか皮肉めいているかもしれません。

新聞紙の「家」を取り巻いているのは、山田正好による小型のオブジェです。針金に、動物の皮を巻き付けて制作したという、それこそ生き物のような形をした作品は、不思議にも新聞紙が生み出す匂いと空間にマッチし、辺りを気持ち良さそうに歩き回ります。また、「家」に這いつくばったりする様も、どこか愛くるしいものです。これを最大限に巨大化すると、六本木ヒルズの象徴的なオブジェである、ルイーズ・ブルジョワの「ママン」のような、異様な不気味さへとつながるようにも思えましたが、そこまでの気配はありません。このギャラリーのゆったりとした時間の流れの中で、穏やかに生きていました。

新聞紙と動物の皮による「ホスピタリティ」。意外な組み合わせではありますが、これまた思いの外楽しむことが出来ました。明日29日までの開催です。
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