芝居3本目。今回見た中では一番ヨカった。家族がテーマ。桑原さんってヒトは見かけはアタシャ、一人で生きていけるわ的豪快さがあるのだが、この前NHKで見たのもそうだったけど家族の壊れやすいビミョーなつながりのようなもの、というか、家族の中の個人、みたいなコトに関心があるのだろう。もちろんソレは大きな問題だと思うが、誰もが多かれ少なかれ苦いモノを持っている部分であるのは間違いないから見る側はジブン自身の問題としてソレを見てしまう。だから難しいところでやってるなあ、という感じはする。見ていてときどき痛い。
全体に説明的な部分が少なく流れをつかむのに時間はかかったがそれはそれで受け入れやすい。その流れをつかんだところから始めると、4人か5人の姉妹がいてその中の長女が10年くらい前に交通事故で意識不明になってこん睡状態だったのがある日突然目が覚める。一緒に車に乗っていた夫は事故で死に、小さな息子は妹たちの間を転々としながら育てられ、すでに思春期の難しい年頃になっていた。
目が覚めた長女は夫の墓参りに行きたいという。妹たちはそれぞれの生活を送っていて長女の見舞いにもほとんど行っていなかった後ろめたさを感じながらその家族旅行に付いて行く。その中には長女が入院中にずっと世話をしていた介護師のオトコがいて長女のことを姉妹以上に心配している。で、あとでそれは、その長女夫婦の交通事故が、その男がジサツしようとして飛び出してきたのを無理によけたために起こったことがわかる。それで姉妹たちはその男を責めるが、その男もまたジブンもジブンが起こしたコトに苦しんで、失ったものを取り返すために介護を尽くしてきたと言う。このへんはかなりキワドイ展開。ありえねー、みたいな。
で、この旅行のあいだに自閉的だった息子が家出少女に出会ったりしながら心をひらいていく。姉妹の間をたらいまわしにされ、その間にそういう難しい環境の中でジブンを表現することをやめていたのが、生き返った母親とのつながりの中からジブンを取り戻していく。オンナの子と寝ようとしながらやめといたり、みんなの前でダンスをしたり、ジブンのやりたいことをジブンで決めていこうとし始める。
ところがところが、、その先に大きなコトが起きて。。
結論的には失われた時間を、それは長い間こん睡状態だった長女の時間でもあり、その周囲のヒト達の時間でもあるのだが、それを家族が旅行をすることで取り戻していく、そういう話と、過ぎ去った時間も記憶の中で何度でも繰り返すことができる、みたいな感覚。そういう話をこん睡状態のヒトが何十年振りかに目覚めるという非現実的なネタを使って作り上げる。「トーク・トゥ・ハー」ってペドロ・アルドモバルの映画を思い出したが、やっぱり芝居っていうのは作りモノの世界とはいえそういう非現実的な設定の中でリアルな話を展開させるっていうやりかたは相当テクニックがいるはずで、コノ芝居ではそれがうまくいっていたように思いまシタ。
全体の中でどういう意味があるのかよくわからない部分とか登場人物もあったが、それはそれで隠し味的に必要なのか、作る側にはもちろん意図するところがあったのだろうけど。
2010.5.23 世田谷パブリックシアター、シアタートラムにて。
全体に説明的な部分が少なく流れをつかむのに時間はかかったがそれはそれで受け入れやすい。その流れをつかんだところから始めると、4人か5人の姉妹がいてその中の長女が10年くらい前に交通事故で意識不明になってこん睡状態だったのがある日突然目が覚める。一緒に車に乗っていた夫は事故で死に、小さな息子は妹たちの間を転々としながら育てられ、すでに思春期の難しい年頃になっていた。
目が覚めた長女は夫の墓参りに行きたいという。妹たちはそれぞれの生活を送っていて長女の見舞いにもほとんど行っていなかった後ろめたさを感じながらその家族旅行に付いて行く。その中には長女が入院中にずっと世話をしていた介護師のオトコがいて長女のことを姉妹以上に心配している。で、あとでそれは、その長女夫婦の交通事故が、その男がジサツしようとして飛び出してきたのを無理によけたために起こったことがわかる。それで姉妹たちはその男を責めるが、その男もまたジブンもジブンが起こしたコトに苦しんで、失ったものを取り返すために介護を尽くしてきたと言う。このへんはかなりキワドイ展開。ありえねー、みたいな。
で、この旅行のあいだに自閉的だった息子が家出少女に出会ったりしながら心をひらいていく。姉妹の間をたらいまわしにされ、その間にそういう難しい環境の中でジブンを表現することをやめていたのが、生き返った母親とのつながりの中からジブンを取り戻していく。オンナの子と寝ようとしながらやめといたり、みんなの前でダンスをしたり、ジブンのやりたいことをジブンで決めていこうとし始める。
ところがところが、、その先に大きなコトが起きて。。
結論的には失われた時間を、それは長い間こん睡状態だった長女の時間でもあり、その周囲のヒト達の時間でもあるのだが、それを家族が旅行をすることで取り戻していく、そういう話と、過ぎ去った時間も記憶の中で何度でも繰り返すことができる、みたいな感覚。そういう話をこん睡状態のヒトが何十年振りかに目覚めるという非現実的なネタを使って作り上げる。「トーク・トゥ・ハー」ってペドロ・アルドモバルの映画を思い出したが、やっぱり芝居っていうのは作りモノの世界とはいえそういう非現実的な設定の中でリアルな話を展開させるっていうやりかたは相当テクニックがいるはずで、コノ芝居ではそれがうまくいっていたように思いまシタ。
全体の中でどういう意味があるのかよくわからない部分とか登場人物もあったが、それはそれで隠し味的に必要なのか、作る側にはもちろん意図するところがあったのだろうけど。
2010.5.23 世田谷パブリックシアター、シアタートラムにて。